朝はいちだんと冷え込んだけれど。 日中は風もなく穏やかによく晴れる。
すっかり冬枯れてしまった職場の庭には。 南天や千両の紅い実がそこだけ明るくて。 冬の陽射しを浴びてきらきらと輝いている。
職場はこのところずっと忙しく嬉しい悲鳴をあげている。 お客様は神様。感謝する気持ちを大切にしなければと思う。 笑顔がいちばん。その笑顔がまた笑顔を呼んで来てくれる。
少し疲れて帰宅すると彼が洗濯物を取り入れてくれていた。 そんなちょっとしたことがとても嬉しくてならなかった。
きゅいんきゅいんと甘えた声であんずが呼んでいる。 いつも私が帰るのを待ちかねているようだった。 「さあ行こうかね」と声をかけると彼女は屈伸運動をする。 それはとても愉快な仕草でなんだか「よういどん」の感じ。
とても老犬には思えなくていつまでも子犬のように思える。 けれども急いで土手の石段を駆け上がっては足を踏み外す。 そうしてよろけてはまたすくっと歩き始めたりするのだった。
彼女の老いを自分に重ねてみてはちょっとした元気をもらっている。 私だって「よういどん」がまだ出来るのかもしれないなんて思う。
何かを始めるのに遅すぎることは決してないと言うけれど。
私に何が出来るのだろうか。いったい何を始めれば良いのか。
それがわからないままスタートラインに立っているような気持ち。
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