静かに雨。秋の雨はこんなに優しかったかしら。
あたりの景色がしゅんとしぼんだように見える。
ふと心細さをおぼえる。このまま消えていって。
しまいそう。ここではないところ。そこはどこだろう。
夕暮れて。ほんとにいるのかなと自分をたしかめている。
なんだかからっぽだった。ただ息をしているのが嬉しい。
精一杯なんて嘘。わたしはいつから嘘つきになったのだろう。
けれども。なにもないところからはじまることがある。
たとえば。夜のしじまに投げかけるような夢のかけら。
こんなはずではなかったと思いながらこれでいいと思う。
きっとじゅうぶんなのだ。いまはなにも求めてなどいない。
夢のかけらをそのままにして。わたしは夜の海へ漕ぎ出す。
|