午前9時。サイレンが鳴って高台を目指した。 徒歩で8分ほどで避難場所に着く。
前もってわかっている訓練だからこそ。 みな冷静でけっこうのんびりと歩いたけれど。
いざと言う時にはパニックになるだろうと思った。 その前に大きな地震があることを忘れてはいけない。
怪我をするひとも必ずいることだろう。 自分は大丈夫か。歩けるのだろうかと不安になる。
足の悪い姑は今日の訓練に参加できなかった。 もしもの時にも「おいて行け」と彼は言う。 どうしてそんなことが出来るだろう。 なんとしても一緒に生き延びなければいけない。
それは真冬かもしれない。真夜中かもしれなかった。 考えれば考えるほど不安はつのるばかりである。
けれども生きることを決して諦めてはいけない。 必死で逃げる。たとえ何もかも失ってしまったとしても。 命だけはなんとしても守らなければいけないのだと思った。
高台から皆で肩を寄せ合いながら。ゆるやかに流れる川を眺めた。
なんと平和なことだろう。なんと幸せなことだろうとつくづく思う。
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