山里では稲穂がずいぶんと黄金色になり。 なんだか秋の風景を見ているような気持ちになる。
農家の人たちは稲刈りの事を『秋』というのだけれど。 確かにそれが夏だとは思えない独特の風情を感じるのだった。
ひぐらしがしきりに鳴く昼下がり。 こころのどこかに穴が開いたようにふっと寂しさをおぼえる。
いったい何が足りないというのだろう。 こんなに満たされているというのに不思議な気持ちになった。
わたしはもうおんなではないのかもしれない。 ふと唐突にそんなことをおもう時がある。
寂しさもせつなさもただ生きているからこそのこと。
おんなを失ってしまったのだとしたらそれでもいいのだ。
今年も職場の庭に純白のムクゲの花が咲く。
清楚で健気でなんと美しい花なのだろう。
けれども憧れたりはするまいと決心をする。
ありのままのじぶんを愛していたいとおもうのだ。
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