あんずの毛づくろいをする。 人間で言うと衣替えの季節なのだろう。 冬の間の毛がはがれるように抜けていく。
冬のそれは綿のように柔らかいのだけれど。 夏の毛はさらっとした手触りで少し硬かった。
いつものあんずは手で触れられるのをとても嫌がる。 けれどもブラシは心地よいのだろうかおとなしくしている。
ほうらもう少しよ。そう声をかけながら撫でるようにブラシをかける。 ああそこ痒いの。そんなふうにせがむような仕草をしたりもする。
抜けた毛を丸めてみるとソフトボールくらいの大きさになった。 すっかり夏毛になるまではもうしばらくかかりそうだ。 明日も時間を作ってブラシをかけてあげようと思う。
あんずは幸せなのだろうかと最近よく考えるようになった。 福島の原発近くの村。一時帰宅でやっと帰れた時には。 犬小屋で冷たくなっていた愛犬の姿が待っていたという。 なんとも遣り切れない思い。それが現実だと思うとほんとうに悲しい。
お味噌汁の残りのお豆腐。ドックフードに混ぜてあげると喜ぶ。
幸せだよねとあんずに言う。こんなに幸せなことなんてきっとないよね。
|