霜の朝。ちょうど朝陽が射し始めた土手がきらきらと眩しい。 きりりっとした朝の空気。その寒さで身が引き締まるようだった。
一週間ぶりだろうか通い慣れた山道を行く。 見慣れた風景もなぜか新鮮に思えるのは。 新しい年を迎えたせいなのかもしれない。
母も同僚もまだ出勤しておらずしんと静かな職場。 事務所には母が準備したのだろう鏡餅がそなえてあった。 タイムカードの棚には小さな注連縄までつるしてあって。 母らしいなとふっと笑みがこぼれる。
暮から神経痛で苦しんでいた母。 痛み止めの薬が効いたのもつかのま。 元旦にもまた痛みがおそってきたらしい。 それなのに大晦日も仕事をしていたと言う。 ゆっくりと休んだのは元旦だけだったようだ。
今日も薬が効いているからと安静になどしない。 いつもとかわらず元気そうな素振りを見せるばかり。 何を言っても無駄でただはらはらと見守るしかなかった。
かわれるものならかわってあげたいとどんなに思ったことだろう。 ずっと寝正月をしていた自分をとても心苦しく思ったことだった。
さいわいなことに仕事はそれほど忙しくもなく。 穏やかに時がながれいちにちが過ぎていった。
早目に仕事を終え少しでも安静にするようにと母に言い聞かせ。 自分は母よりもずっと早い時間にタイムカードを押す。
今夜はどうか痛みませんように。そればかり祈っている。
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