曇り日。灰色の空からかすかにこぼれる冬の陽射し。 今日はもう二十四節気のひとつ『大雪』だということ。 ひと雨降れば寒波が襲って来そうで身構えるような気持ちでいる。
川仕事もあと少し。明日には一段落しそうになった。 一日に三時間ほどの作業だけれど身体を動かすのが心地よい。 ほどよい疲れ。少しも苦にはならずむしろ好きだなと思える。
順調にいけば来年の2月頃から収穫が始まることだろう。 寒いなどと言ってはいられない。待ち遠しい収穫の時だった。
そんな家業を継いでかれこれ30年近くなった。 若い頃には葛藤もあり、どうしてこんな仕事をと苦に思っていた。 毎年秋が来ると拒絶反応のような気分になりどうしようもなかった。 逃げ出したくても逃げられない。 これが宿命なのかと思うには若すぎたのだと思う。
それがいつのまにか好きになった。 すべてを受け止められるようになったのだ。 歳月というものはほんにありがたいものである。
後継者はいない。息子に押し付ける気持ちはまったくない。 だからふたり年老いて動けなくなるまでは家業を守りたいと思っている。
好きなことをとことん遣り遂げられるのは幸せなことだ。
おじいさん、おばあさんと互いの事を呼び合いながら。
ふたり川で生きる。いい人生だったねと微笑んで逝けるように。
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