今日も真夏日。
エアコンの効いた事務所で仕事をしていると。 なんだか息がつまりそうになってしまって。 時々は手を休めて外の空気を吸いたくなってくる。
工場の裏手は風が吹きぬけていて思いがけず涼しかった。 いちめんの田んぼのおかげだろう。色づき始めた稲穂が。 そよそよと歌うように揺れて見ているだけで心地よくなる。
しばしのおさぼり。風に吹かれながら夏空を仰いだ。
午後。そろそろ帰宅しようと思っていたところ。 母が肩が凝って気分が悪いと言い出す。
少しでもほぐしてあげようと肩をもんであげた。 なんだか照れくさい。母の身体にふれているということ。 幼子が「おかあさん」と言って肩に抱きついた時のような。
どんなに記憶を辿ってみても母の肩をもんだ覚えがなかった。 もしかしたら生まれて初めてのことなのかもしれない。 母の背中。少し猫背でまんまるくなったちいさな背中。
わずか数分のことだったけれど母はとても喜んでいた。
いいことをしたのかな。なんだか子供のように嬉しくなる。
またもんであげるねおかあさん。照れくさくてそれは言えない。
でも私の手はほんのりと紅くなって母の背中より喜んでいるようだった。
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