ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2010年03月03日(水) ちいさな旅

親戚のお葬式があり母とふたりで高知市へ出掛ける。
列車で2時間足らず。始発列車の窓から朝陽を見た。

母とふたり肩を寄せ合って列車の座席に座るなど。
もう何十年も昔の子供の頃からなかったように思う。

母はこんなにちいさかったのかしら。

背中をまるめてちょこんと座る姿は。

すっかり老婆のようでせつなくてならない。

列車をおりて改札口に向かっている時も。
すぐ横を歩いていると思っていたけれど。
気がつけばずっと後ろを歩いているのだった。

「荷物を持ってあげようか」と声をかけると。
「かまん、かまんよ」と荷物をぎゅっと握りしめる。

ずっと気丈な母だった。いつだって溌剌としていて。
それがいつのまにかこんなに老いてしまったなんて。

なんだか見てはいけないような気がしてならない。
胸の奥が疼く。痛々しくてかなしくてならなかった。

そんな私の気持ちをよそに母はとてもはしゃいでいる。
駅の喫茶店でモーニングサービスを美味しそうに食べる。
タクシーに乗り込んだ時もまるで観光客のようだった。



お葬式がおわる。母よりふたつ年下のひとが亡くなった。

やがて母もとわたしはおもう。こんなふうにとかんがえる。


とんぼがえりでまた駅に戻る。お腹空いたねと母が言う。
ふたりでオムライスを食べた。ケチャップたっぷりなのに。
母はその上にウスターソースをかけた。「あんたもかけなさい」
美味しいよと大きな声でしきりにすすめたりするのだった。

帰りの列車のなか。母はぽかんと口を開けたまま眠り込む。

その顔を見たら笑い転げそうになって私は海ばかり見ていた。


 < 過去  INDEX  未来 >


anzu10 [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加