親戚のお葬式があり母とふたりで高知市へ出掛ける。 列車で2時間足らず。始発列車の窓から朝陽を見た。
母とふたり肩を寄せ合って列車の座席に座るなど。 もう何十年も昔の子供の頃からなかったように思う。
母はこんなにちいさかったのかしら。
背中をまるめてちょこんと座る姿は。
すっかり老婆のようでせつなくてならない。
列車をおりて改札口に向かっている時も。 すぐ横を歩いていると思っていたけれど。 気がつけばずっと後ろを歩いているのだった。
「荷物を持ってあげようか」と声をかけると。 「かまん、かまんよ」と荷物をぎゅっと握りしめる。
ずっと気丈な母だった。いつだって溌剌としていて。 それがいつのまにかこんなに老いてしまったなんて。
なんだか見てはいけないような気がしてならない。 胸の奥が疼く。痛々しくてかなしくてならなかった。
そんな私の気持ちをよそに母はとてもはしゃいでいる。 駅の喫茶店でモーニングサービスを美味しそうに食べる。 タクシーに乗り込んだ時もまるで観光客のようだった。
お葬式がおわる。母よりふたつ年下のひとが亡くなった。
やがて母もとわたしはおもう。こんなふうにとかんがえる。
とんぼがえりでまた駅に戻る。お腹空いたねと母が言う。 ふたりでオムライスを食べた。ケチャップたっぷりなのに。 母はその上にウスターソースをかけた。「あんたもかけなさい」 美味しいよと大きな声でしきりにすすめたりするのだった。
帰りの列車のなか。母はぽかんと口を開けたまま眠り込む。
その顔を見たら笑い転げそうになって私は海ばかり見ていた。
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