夕方から風が強くなる。かたこととうたう窓硝子を。 なだめるようにそっとあけて暮れたばかりの夜空を仰ぐ。
星がひとつ。たったひとつきりだけれどきらきらと輝いている。 一番星を見つけてはしゃいでいた子供の頃から幾度目の冬だろう。
過ぎ去った日々を懐かしく思い浮かべながらまた年を重ねようとしている。
木の実はもう枯れてしまったのかもしれない。 落ち葉に埋もれて静かに眠り始めた頃だろう。
やがて巡り来る春のことを愛しい人に重ねる。 あいたかった。けれどもあわなかったひとは。 いまごろどんなふうに風を感じているのだろうか。
かぼそい糸を手繰り寄せながらその縁を織っていく。 それはこの世にひとつきりしかないいちまいの布だ。
胸にあててごらん。こんなにもあたたかないちまいを。 抱きしめることだってできる。ぎゅっとぎゅっとあつく。
わたしの日々とあなたの日々がそうして重なっていった。
わたしは織る手を休めはしない。それが生きることだもの。
追記:今年最後の詩記となりました。 つまづきながらも書き続ける事が出来たのは。 読んでくださったみなさんのおかげだと思います。 このいちねんほんとうにありがとうございました。
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