曇り日。少し肌寒かったけれど穏やかに時が流れた。
クリスマスイブ。小さなケーキを二個買って帰る。 それからローストチキン。どちらも私の大好物だ。
子供たちが幼かった頃を思い出す。ふたりのはしゃぎ声。 同時に自分が子供だった頃を思い出す。弟のあどけなさや。 朝目を覚ますと枕元にプレゼントが。サンタさんは必ず来てくれたっけ。
この先どんなに老いても。いつまでも忘れることはないだろうと思う。
夕方いつもの散歩。今日もひとりのお遍路さんと出会った。 お大師堂に人の気配がすると。踵を返す日とそうでない日がある。 何かの直感だろうか。自分でもよくわからなくて不思議でならない。
今日のお遍路さんはもう8年間も旅を続けているひとだった。 無縁仏の供養をしているそうで。どんな小さな祠にも必ず手を合わす。 年末が近くなるとお餅を祀るのだそうだ。お大師堂にもそれがあった。 とても重そうな荷物。今夜は泊まらずに次の札所を目指すのだと言う。 気遣う私に「どこででも眠りますから」と笑顔で応えてくれたのだった。
そうしてあんずを見るなり「この犬の前世は人間ですよ」と言う。 それがあまりにも確信に満ちていて。私も信じずにはいられなかった。
なんだかキツネにつままれたような気持ち。ふわふわとした足取りで帰る。 また縁に恵まれたのだろう。出会うべき人に巡り会ったのかもしれない。
あんずのことが無性に愛しく。また不憫でならなかった。 人間の5分の1ほどの寿命を鎖に繋がれたまま一生を送る。 もちろん言葉もしゃべれない。伝えたい事だってあるだろうに。
なんの因果で犬に生まれ変わったのだろうとつくづくと思った。
そうして祈った。こんどはどうか彼女を人間にしてあげてくださいと。
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