目覚めると雨が降っていた。昨夜の月夜が嘘のように。 灰色の空から冷たい雨がぽたぽたと雫のように落ちる。
川仕事に行く予定で山里の職場をお休みしていたものだから。 潮待ちをしながら雨が小止みになるのを今かいまかと待った。
10時頃やっと雨が止む。干潮はお昼過ぎなので急いで出掛ける。 けれども海が時化ているせいもありなかなか潮が引いてくれない。
なんとかかんとか作業を始めた。束ねてある海苔網を分けながら。 一枚ずつ漁場に張っていく。緑の種が希望のように網を覆っている。
どうか順調に伸びてくれますように。ただただそればかりを祈った。 早ければ年があけて二月。例年通りに収穫が出来れば幸いだと思う。
博打みたいなものだからと彼はよく言う。当たりもあれば外れもある。 自然相手の事だからついつい不安にもなる。とらぬタヌキの皮算用も。
彼が父親から受け継いだ家業。天からずっと見守っていてくれますように。
お昼過ぎに帰宅。お腹がペコペコでふたり掻きこむように昼食をとった。 後はのんびり過ごそうぜと彼は茶の間でゲームを始める。私は自室に篭り。 これもまたネットのアプリに没頭。それは農園だったり牧場だったりして。 最近いちばんはまっているのが水族館だ。お魚を育てるのがすごく楽しい。
晩御飯の時。彼が面白がって「ほうれん草は出来たか?」などとからかう。 いえいえ桃よイチゴよと応えたり。それよりもカワハギよタナゴよと笑う。
彼は武器を持って悪戦苦闘を繰り返しているらしい。ふたりすっかりゲーム中毒。
ふたりっきりになってもふたりはとても楽しい。 おじいちゃんとおばあちゃんになってもそれぞれの趣味を楽しんでいたいな。
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