一昨日からの寒気が少し緩みほっとする。 冬は必ず巡ってくるけれど晩秋が好きだ。
日に日に色づく銀杏や山裾のつわぶきの花。 その黄金色の葉や小さな向日葵のような花。
私はこの季節の峠道がとても好きでならない。
のどかな山里で仕事をする。来客はただ一人。 今日は電話も鳴らなかった。あくびをしつつ。 母と雑談をする。こんな日もあって良いだろう。
気のせいかもしれないけれど一気に穏やかになった母。 祖父が亡くなって気が抜けてしまったせいかもしれない。
ふっと優しい言葉をかけてくれることが多くなった。 おかげで私も笑顔になれる。母を労わる事も出来る。 ぶつかり合っていた日々が嘘のように平穏な日々だ。
もしかしたら私が変わったのかもしれないのだけれど。
早目に仕事を終えさせてもらい市内の大型店舗へ寄る。 寝具売場でサチコ達の布団を見ておきたいなと思った。 ダブルではなくてシングル二組が良いと言うものだから。 あれこれ品定めをする。寒くなるから毛布も要るだろう。 どれにするにも母ひとりでは決められない事ばかりだった。
なんだか母ひとり舞いあがっているようで可笑しいねサチコ。
帰宅するのを待ちかねてまくし立てるように話すのが日課になった。 母娘漫才の変わりに玄関で熱く抱擁する時もある。頬を寄せ合って。 抱きしめるサチコの細い肩が愛しい。温かくてぬくぬくなのが好き。
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