明日は雨になるのだろうか。夕陽も仰げないまま日が暮れる。
一雨ごとに秋らしくなってくるのだろう。季節の分かれ目に。 ぽつねんと佇んでいると。ふっと誰かに背中を押されたよう。 振り向けば風ばかり。心地よく吹き抜けていく風ばかりだった。
なんと5日ぶりのお大師堂。やっと来れましたよと語りかける。 日捲りの暦はまだ8月のまま。ひとつふたつと数えながら捲る。 昼間訪れた人が扉を閉め忘れたらしい。野良猫が来ていたのか。 お供えしあるお菓子があたりに散乱していた。何てことかしら。 なんだか嫌な胸騒ぎがして急いで片付ける。こんな事は初めて。
そうしてちょこんと正座すると。やっと穏やかな気持ちになれた。
無心になる。それはどんなふうだろう。いまだわからずにいるけれど。 ざわざわと思い煩う事がないだけでこころが澄みわたるようなきもち。
帰り際に浜木綿の無残な姿を見る。この前にも増してひどく朽ち果て。 まるで人間のそれのように目を覆いたくなった。なんと憐れな姿だろう。
けれどもその姿を支えるかのように白萩の花がこぼれ咲いているのだった。 確か夏の始めにも見たような気がする。そうしてすぐに散ってしまったのだ。 その純白の萩がまた咲いてくれた。そのことがとても嬉しくてならなかった。
もう薄暗くなった土手を少し急ぎ足で帰る。大橋を渡る車のヘッドライト。 明かりが灯り始めたそれぞれの家。我が家の明かりも温かくそこに見える。
いちにちいろんなことを思った。苛立ちもあれば不安もあったようにおもう。
でもおわった。もう終わったんだなとつくづくおもう。心地よい夕暮れだった。
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