朝には風にそよいでいた夏草たちが。 午後にはもうすっかり刈られていた。
そこはいちめんの雀色。さっぱりと。 心地よいほどに緑をさらっていった。
鳥たちが集い盛んに餌を啄ばんでいる。 椋鳥だろうか小さな鳩のように見える。
恵みというものはそうして訪れるもの。
草の根はしっかりと残りやがてススキ。 また若々しい緑であふれることだろう。
午前中は山里の職場。午後は動物病院だった。 あんずはクルマに乗るのをとても嫌がるので。 彼とふたりがかりで軽トラックの荷台に乗せ。 やっとの思いで病院へ着く。ぶるぶると震え。 そこが病院であることを知っているのだろう。 押さえ込まれてちくりと痛い注射をされる事。
その顔といったらすっかり怯えた子供のよう。 よしよしと親の気持ちになる。愛しいものだ。
すっかり白髪になりましたねと先生は言って。 犬も歳月には勝てないですねと声を落とした。
この夏を越せるだろうか。今はとても元気だ。 けれどもその日は突然にやってくる気がする。
夕暮れ時のいつもの道をふたりで歩きながら。 しみじみとかみしめるようにこの縁を想った。
寿命とは天からあたえられた精一杯のいのち。 ともに生かされている歳月があることに感謝。
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