いつのまにかもう六月。雨の季節だけれど今日の雨はとても冷たく。 おまけに風が強くて。なんだか春先の嵐のような激しさを感じた。
吹き飛ばし流すだけ流す。冬のこと。もはや春さえも遠のいていった。
通勤途中の国道の長いトンネルを抜けると。ぽつぽつと雨が降り出す。 そうして右に曲がり。今度は左に曲がり山道にと進んでいくのだけれど。
田んぼの稲がずいぶんと伸びたなって思ったり。雨雲が急いでいる空を。 少し不安げに見上げたりしながら。スピードを落としゆっくりと進む道。
そして三人のお遍路さんに会う。それぞれが旅の道連れといったふうで。 山肌を背に荷物を解き。レインコートを着ているところだった。赤。青。 黄色。まるで信号機みたいなそれぞれの色を。それほど大急ぎでもなく。 何かを語り合いながら。そして微笑みながら。雨の支度をしているふう。
勝手に解釈するところ「おお雨ですなあ。ここらで合羽を着ますかな」 「そうですね。ついでにちょいと休みましょうや」「はい。ご一緒に」
そんな声が聴こえる。雨は覚悟の旅とはいえ。どんなにしんどいことか。 そっと会釈をおくりその道を通り過ぎた。緑が一段と濃くなる峠の道へ。
なにかを伝えたい気持。じぶんにだってそれができるかもしれないと思う。
きもち。いつだって不確かで。それが何になるのだろうと不安な時がある。
たとえば日々こうして。とてもつまらないことなのだろうと思えることを。
あてもなく書き綴ってみたり。だけどそれをしないと自分が消滅しそうな。
おそろしいことも考えたり。あげくのはてに求めすぎてひどく愚かになる。
だけど。このままでいたい。それがいちばん自然な自分ではないかと思う。
雨が振り出せば雨の支度。わたしは緑のレイコートを着よう。
そうしてひと休みしたら。また峠を目指そう。俯いたり顔を上げたり。
この道は確かに。空に向かう道なのだから。
|