| 2008年01月17日(木) |
あのこも見つけるといいな。ちいさな春。 |
朝の山道。白い山茶花はもうほとんど散ってしまって。
わずかにひとつふたつ。冷たい空気をものともせずに。
凜とある。ひとつふたつ。花びらは儚い命の生きた証。
颯爽と歩くひとは。赤いリュックを背負ったお遍路さん。
まだとても若い女性。ただひとり歩く。まえへまえへと。
もうすぐ民家が見える頃。きっとほっと息をするだろう。
追い越していく。私はいつだって追い越して行くばかり。
そのことがふっと後ろめたくもある。だけど行くしかない。
民家を過ぎるとまた木々の山道。雀色の田んぼが見えると。
ひとが恋しい。ひとに会いたいと思う。でも誰も見えない。
もう少しもうすこしといつも思う。さっき追い越したこと。
もう忘れている。じぶんだけ急いでいる。いつだってそう。
その枯野のような田んぼにそって。梅の木が植えられている。
はっとして思わずブレーキを踏んだ。ちいさな白いのがある。
もう梅の花が咲いたのだ。昨日も通った道なのに気付かなくて。
だけど今日だからと思う。きのうより一歩進んだのに違いない。
あのこも見つけるといいなって。追い越した若いひとを想った。
それぞれの道に。きっと来る春だから。冬は厳しくあるのだろう。
寒さなければ花は咲かず。ちいさな春はひとに逢いたがって咲く。
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