| 2007年10月04日(木) |
笑い鳥がやってくる。そこは秋。 |
どんよりと曇りそら。ときどき小粒の雨がそっと静かに降る。 気づかれないように。まるで秘め事のようにまるで嘘のように。
音もなくふる。濡れてみなければわからないことに触れてみる。 触れてみなければわからないことに。そっと忍び足で秋の声が。
囁いている。ほんとうは気づいて欲しいのだ。けれど無口な秋。
そこにぽつねんといる。なんだか何処からか旅をしてきたように。
新鮮だ。とても素直だ。正直にきみが好きだと言ってしまいたい。
秋だ・・・・。
職場のエアコンからやっと解放され。あたりの窓をいっぱいに開く。 そうすると待っていたかのように。どこからか鳥の声が聴こえだす。
けけけけけけって。愉快な鳥。昼下がりのぼんやりとした空気を。 面白可笑しく彩るように。その名も知らぬ鳥の声がこだまする。
同僚がちょっと険しい顔つきで。事務所に入って来た時だった。 むっとしている。疲れているのかもしれない。すごい不機嫌な顔。
「けけけけけけ」って私は鳴いた。
ねえ、あの鳥の声って何の鳥?って訊いたら「知らん!」って応える。 もう一度私は鳴いてみせる。そしたら空からもけけけけけって鳴く声。
笑った。同僚もけけけけけって笑った。
「あれは笑い鳥だな」って言うので。またふたりでけけけけけって鳴く。
くうきが。けけけけけけになる。ぜんぶそうなる。あたりいちめんの。
けけけけけけ。それはとても嬉しい声だ。
それはとても。なんだかほっとする。不思議な鳥がやって来る。秋だ。
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