午後。また久しぶりに山里の職場へと向かう。
このところずっと思ってしまうのはとてもいけない事に違いなく。 もうこのまま辞めてしまえたらどんなにか楽だろうなと思うこと。
それなのに山里はいつも懐かしい。ひとつひとつの風景が心に沁みる。
峠道を行くお遍路さんはもちろんのこと。農機具を操るお百姓さんや。 民家の庭先からこぼれるように咲く山吹の花や。若い柳の揺れる枝や。
もう田植えも始まっていた。そして畦道にはまだ散り急がずに咲く桜木。 すべてが春ののどけさであることが。まるで貴重な映像のように目に映る。
机のうえに山積みになっている仕事を片付ける。 JAに行ったり。郵便局へも行ったり。窓口の笑顔がとても嬉しい。
とても忙しいのだけれど。不思議と穏やかな海へと漕ぎ出したような気分。 同じ空の下にあっても。この山里はたぶんきっと空に近いのだろうと思う。
わたしの葛藤など。ここではそよ吹く風になる。
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