そぼ降る春のしずく雨が。ぽろんぽろんと音色を奏でていた。
なんだかわたしはどこか。また一本の弦を張り詰めすぎていたらしく。
今日。それがとうとう切れてしまった。それはとても心地良よく切れた。
もう求めはしないだろう。残されたひとつきりの弦で精一杯に爪弾いてみたい。
狂おしくあればそれなりに。哀しければなお更。喜びはひとしお素直にありたい。

まだ桜も愛でずにいる頃に。ツバメが少しかん高く鳴いては帰宅を報せてくれた。 「お帰りなさい」と声をかければ。嬉しそうに狭き庭を旋回している姿を見せる。
歳のせいか涙もろくなってしまって。感極まってはほろほろと目頭が熱くなった。 我が家を目指して飛んで帰ってくれたのか。忘れずに憶えていてくれたのかと思うと。
ほんにほんに我が子のように感じずにはいられない。愛しくてならない小さな命。 なんとしても守りたいと思う。無事にまたここから巣立つ子供達をと願うばかり。
ほこっとわたしも卵を抱いた。
この世にはどんなに願っても叶わないことがあるけれど。
抱くことをしないでいて。どうしてそこから生まれようか。
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