今日もどんよりの空模様。気温が少し低めなのか幾分過ごしやすく思った。 洗濯物は除湿機でよく乾く。びっくりするほどタンクに水がいっぱいになる。 ほんとうに不思議なモノだ。こんなの発明したひとはすごいなあって思うのだ。
午後はゴロ寝でまた本を読みふける。そして少しだけウトウトと眠りこける。 ゆったりと流れる時間。これが至福のひとときでなくてなんだろうと思うのだ。
けっきょく夕方までそうする。買い物に行かなくてもいいように昨日のうちに。 うなぎの白焼きを買っておいた。フライパンを使って照り焼き風にするのだ。 そしてぬくぬくご飯にのっけて『うな丼』の出来上がり。我ながら旨いんです。
お兄ちゃん好きだったよね・・って。なんかすごく過去の人みたいに言って。 かといってアパートまで届けてあげようともせずに。三人でガツガツ食べる。 実はチエさん。うなぎが苦手なのだそうだ。ならしょうがないねの結論となる。
四万十川といえば天然うなぎなんだけど。すごい高値でとても買えない。 子供の頃には素人でも手軽にそれが獲れたのだ。竹で編んだ筒のようなもの。 ここいらでは『ころばし』って言うんだけど。それを川底に沈めておくのだ。 うちの母親がそれを趣味でしていて。学校から帰ると炭火でうなぎを焼いていた。 丑の日じゃなくても。今日もうなぎかというくらいそれが食卓にのったのだった。
母はうなぎをさばくのも上手だった。にゅるにゅるしてるのをぎゅっと掴んで。 尖ったキリで頭のところをグサッとして。まな板のうえのうなぎをしゅしゅっと。 子供心にすごいなあって思ったものだ。さばかれてもうなぎはピクピクってする。 なんかちょっと残酷で可哀相な姿だったが。うなぎはやはり美味しいモノだった。
でね。これはつい先日のことだけど。その天然うなぎを一匹だけ貰ったのだ。 チエさんの友達が魚釣りに行ってたら。たまたまうなぎが釣れたのだそうだ。 貰ったけど困っちゃってと届けてくれたのだ。ありがとうって冷蔵庫に入れとく。
そして。おっしと料理することにしたのだった。うなぎはほぼ仮死状態であった。 子供の頃を思い出す。母がしていたようにやればいいんだと肝に命じて。いざ!
しかし間もなく。うなぎが暴れ出した。とても素手では掴めないありさまとなる。 まな板の上から流しへと逃げる。きゃあきゃあ叫びながら必死で捕まえようとする。 そして。俺に任されても困るもんねの夫君が助けに来てくれたが。いかんせよ。 この男というモノも頼りないものなのであった。刀みたいに庖丁で切りつけたが。
ついに。もういい。食べなくてもいいからなんとかしろよとか言い出す始末だった。 私だってそう思う。こんなにも生きようとしているものをどうするって言うのだ。
やっとやっとビニール袋の中へ追い込み。泣きそうな気持ちで外に駆け出した。 堤防の石段をはあはあ駆け上がる。そしてまっしぐらに川辺へと辿り着いた。
うなちゃんは首の付根に傷を負っていたのだが。その姿はまさに水を得た魚だった。
きもちよくからだをくねらせながら。すいっとすいっと川底へと消えていったのだ。
あの傷はもう癒えただろうか・・・今日はふと。あのうなちゃんを想った。
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