梅雨らしくあり。しとしとのいちにちであった。 気分的に少しだるだるな感じがするのもよくて。 ひとやすみもふたやすみもしてみるのがよい。
本を読んでいたのだが。どうも気が散っていけなかった。 裏隣の奥様がまたお琴の練習を始めていたのであるが。 ちんとらちんとら。ずいぶんと上手になったなと思うが。 時々間違えては同じ演奏を何度も繰り返すのである。 もういいではないか。先に進みたまえ。最後まで一気に。
さすがの私も苛立ちはじめ。いやいやもともと苛立って。 いたのであろう。裏窓をそっと開けて様子を窺ってみた。
ひとというものは。ほんとうにいろいろであるものだが。 雨にも関わらず。いや雨だからかもしれず窓を開け広げ。 特別な演奏のごとく。あたりにその音色を届けようとする。
なんだかすごく嫌なものを見てしまったような気がしたのだ。
だけど。そのことを夫君に言うと。 そんなもんだぜと。うっとり弾いているんだからそっとしとけと。 あんまり気にするから気に障るんだと言う。
うむと深く考えるまでもなく。彼というひとをまた尊敬してしまった。
たとえばそれを私に言い換えると。 この場をかりて。こうして書いていることにもそれが当て嵌まるのでは。 どのような駄文であっても。読んでくれるひとがいてくれるから。 書けるのである。公開しないのであれば。今の私はきっと書けないと思う。
それは過去に遡っても言えることだった。 少女はいつもノートに落書きするように詩を書いていたが。 恋しい人だけにはそれを読んで欲しいと願ってやまなかった。 その結果。押し付けがましくもなる。それは当然の結果のごとく。
自己の満足というものは。とても奥の深いものなのであろう・・。
だからいけないと私は言えない。
とにかくそっとしておいてあげようと思うのだ。
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