ずっとずっと雨ばかり。
だからなのか。すこうし水たまりのきもち。 ぴちぴちちゃぷちゃぷと音たてて揺れては。
跳ねるようになにかがそこから散ってゆく。 ああなんだろうって思うけれど確かめずに。
すごくぼんやりとしている。もどかしさは。 もしかしたら。じつはそこががらんどうの。
せいなのかもしれなかった。からっぽなんだ。
だから水たまりが出来たんだ。

サチコとふたりで少しずつ。おにいちゃんの部屋を片付けた。 忘れ物らしきものは何ひとつなくて。がらくたばかりなのだ。 だけど。これは思い出だねって物は箱に詰めて押入れに入れる。 古い免許証とか。サチコは捨てようとしたけど。母はそれを拾った。
カーテンも絨毯も新しくして。その部屋はサチコの部屋になる予定。 今はすっかりがらんどうの部屋で。声が響くよ不思議だねえと言って。 サチコが面白がって吠える真似をする。母さんもやってみなよとか言う。
母はだめ。だってからっぽなんだもん。にいちゃん?どこいったの?
サチコのお弁当箱洗っていたら。レタスが残っていて。 ちょうど程よく晩酌の効き目が現れていた母は口ずさむ。 「飾りじゃないのよレタスは。あっはー」 ついでに振りもつけて。そこらじゅうで踊りまわってみせる。
サチコが笑いながらお父さんを呼んでいる。
「おとーさん!お母さんねーとうとう。気が変になったよー」
お兄ちゃんがいなくなったので。さびしくて気がふれたのだと言う。
母は笑えるだけ笑った。
そしてあとでこっそりと泣いた・・・。
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