ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2006年05月11日(木) 最後のお弁当

降り続くばかりの雨がやっとやんで。ほっとするような青い空だった。
雨に打たれてしょんぼりとうなだれていた『雪の下』が咲き始める。
好きなんだこの花。ちっちゃな天使みたいで。すごく可愛いなって思う。

なにかがおわりそうで。なにかをなくしそうで。それでいてなにかが。
またはじまるよかんが。ほろほろとすこしせつなく。てのひらにおちて。

くる。きせつがめぐってきたことを。そっとしらせてくれる花だった。







夕餉。兄と妹がめずらしく同じ時刻に帰宅する。
差し向かいで仲睦まじく語り合いながら食事をしているのを。
母は隣りの部屋にいて。微笑ましく耳を傾けているのだった。

にいちゃん。にいちゃんと。サチコがやたらおっきな声で話している。
聞き納めなのだろう。こんなふうにふたりがいることは最後なのだろう。
そう思うと。ふと淋しくて。母はちょっとオセンチになってしまうのだ。

どうやら食べ終ったようだ。「にいちゃん!流しまでちゃんと運んで!」
サチコがまたおっきな声で叫んでいる。にいちゃんが階段を駆け上がる。
「もう・・そんなんじゃ、ちえさんが困るやんか」しょうがないなあと。
サチコの呟く声が聞こえる。ほんにまあ。にいちゃんはいつもこんなふう。

ふたりがいなくなった台所で。ふたりの食器とお弁当箱を洗う。
ああよかった。お弁当箱はカラカラ音がするくらいきれいに食べてくれている。

にいちゃんのお弁当を作るのは。今日で最後だった。
保育園の頃からなので23年かな。母さんながいこと偉かったよね。
もうお役御免になったんだ。わあいわあい楽ちんになったなあ。


ぷしゅーっと。   母さんの気が抜けていく。




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