桜つぼみの道を行く。ひとつふたつ咲いているのを見つけた。 こころがふくふくっと動き始める。すすめなくてかなしくて。 どうしようかなと今にも壊れてしまいそうな。かすかな傷跡。
石ころなのだから蹴られてもいいのだ。そしたらどこまでも。 転がっていけそうな気がした。おもいっきり投げてくれたら。 水の中にだって私は棲める。流されてゆっくりと海にだって。
いつか砂。さらさらとあなたの手のひらから零れ落ちてみよう。 わたしのかたちをあなたはしらない。掬って弄んで嘆きながら。 あなたは私を踏んでしまえばいいのだ。あとは波。そう波の声。
桜つぼみの道に在る。空になりたくて鳥になりたくて独りきり。 仰ぎ見る薄紅の頬を。どんなにか恋しくて。どんなにか夢みて。 わたしは私のかたちを抱きしめる。花びらに埋れて眠る時まで。
だからそのときにこそわたしをみつけなさい。
そしてありったけのちからでわたしを投げてごらんさい。
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