雨のにおいが。なんだか懐かしく。心地良く感じる今宵。
サチコの帰りを待っている。飼い主を待っている飼い犬のごとく。 路地を曲がってくるクルマのエンジン音を聞き分けようとしては。 くぅんくぅんと。ワタシガソウナラ。甘えた声で鳴いているだろう。
おひさまのにおいのするこだった。 泣いている顔をときどき思い出すこともあるが。 それはまだとても幼くてあどけない頃だった。
泣かないわけではなかった。辛い日がないはずもなかった。 なのにどうしていつも。あのこは明るく振舞ってばかりいるのだろう。
待っていると。ふとそんなことが気掛かりになり。
帰って来たら。うんと優しくしてあげたいと思う。
|