午後7時20分。いま空は茜色。 堤防の夏草の向こうを。おいちにいさんしと手を振りながら。 早足で歩くひとが見える。食後の運動だろうか。頼もしい足取りだこと。
ああそしていま。鈴虫が鳴き始めた。夕風は吹かずともその声は涼しき。 もう日が暮れる。穏やかなこころで。ゆっくりと幕を下ろしたいものだ。
今日は。友達に手紙を書いた。 土曜日に『暑中見舞い』の手紙を送ってくれたのだ。 可愛らしい便箋を見つけたので。ちょっと書いてみましたって。 彼女らしいなあってすごく嬉しかった。 今年の秋こそみんなで旅行に行こうよとか書いてあって。 ほわんと夢のように思った。いまはとても無理だと言っていいのか。
『残暑見舞い』の手紙に。私に気を遣わず行ける時にみんなで行って。 おみやげ買って送ってくれたら嬉しいよ。なんて書いたら気にするかな。 でも。私が行けるようになるまで行かないって言われるのはすごく心苦しい。 だから。正直な気持ちを書いてみた。あっさりと受け止めてくれるといいな。
時々は電話でおしゃべりすることもあった。 彼女は私のことをほんとうによく理解してくれている親友だと思う。
手紙っていいね。最後にそう書いて。目頭が熱くなる。
多感な青春時代。彼女はいつも私を。そっとしておいてくれた。
私は。それが何よりもありがたく思っていた。
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