夜になって。久しぶりに雨が降った。ざあざあと音をたてて降った。 稲妻も。雷は好きではないけど。なんか心地良く感じたりして不思議。
今はもう静か過ぎる。ただただ水の匂いが漂っているのが。 誰かさんの吐息みたいに思えて。放心しそうな一歩手前のところ。
半年。もう半年が過ぎたのか。流されてばかりにも思えるが。 少しは浮いてもみたし。泳いで来たのかもしれないなと思う。
あの島までとか。目的などないものだから。ただ身を任せるしかない。
紫陽花が。とうとう化石みたいになり始めた頃。 いつも憐れに思うばかり。去年もその前もその前も思った。
桜みたいに。潔く散れない花だから。老いていくひとみたいで。 うす紫も。うす桃色も。青く澄んだものも。心はずっと紫陽花の心で。 一部分が茶色くなっては。日に日にそれは止めることができなくて。 悲しくないことはあるまいにと思う。いや・・哀しいというのがよいのか。
色褪せる日々に今は在る。いっそ千切ってと。私ならそう叫びたい。 だけど。紫陽花は。どんなに醜くなっても。その場所に在り続ける。 そこで生きることを。そんなふうに生きることを。誇りに思っているかのよう。
憐れむのはひと。哀しいのもひと。ひとは花にあらず。花の心で生きるひと。
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