帰り道。信号待ちをしながら眺める国道沿いの姫女苑の花。
冷房を切って。窓を全開にして走りぬける川沿いの道は。 いちにちの疲れや。憤りに似たやりきれない思いなどを。 みんな嘘だったんだよって知らせてくれているように思う。
日が長くなり。まだ夕陽に染まらぬ川は。今日も青く澄んで。 ほとばしる命の流れのように。とくとくと満ちて溢れている。
だからなのか。私も満ちる。爪先から髪の先まで流れるもの。 それをなんと名づけたらいいのか。ただ感じるのみの流れに。 逆らおうとはしないのだ。ああいってしまう。ふと漏れる声。
恍惚は糧になる。ふとそのようにそれをしるし。幕を下ろす。 あとは日常に在って。妻だとか母だとかいうものに順応する。
大橋を渡る時の風ほど心地よいものはなかった。大河を渡る。 なびくのではなく突っ切るのだ。右岸から左岸へと真っ直ぐ。 見慣れた家並み。手をあげて微笑む人。そして路地を曲がれば。 愛犬が飛び出して来て迎えてくれる。水を待っている庭の草花。
わたしの帰るべき場所がいつもそこにあった。
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