まだか細くて。それでいて風に揺れる水田の苗を。心強く思う。 明日あたり植えるのか。苗床のまま水田の隅っこに。きっちり。 並んでいる緑も。心地良く思う。赤や青の田植機も空に映えて。
葉桜のさびしさ。どこに吹かれていったのか。花びらの行方を。 昨日までは知っていたように思うが。今日はもう知らなかった。
集金に行ったお宅に。猫が5匹くらい。庭中にたむろしていて。 思わず笑みがこぼれる。「にぁあよ みぃよ」とか呼んでみる。 どの子も警戒するようにとび逃げた。つつじの木の陰から顔を。 そっと覗かせている。真紅のはっとするような紅の陰から猫が。 にゃごぅにゃごぅと鳴く。懐いてくれるまでずっと居たい場所。
帰り道。少し遠回りをしたおかげで。枝垂れ咲く桜を見つけた。 神社の境内に。それは見事に咲き誇って。思わずクルマを停め。 歩み寄る。木の真下に立って仰げば。なんだかこの世ではない。 と思うくらい。空から桜が舞い降りる。桃色の八重の可憐な姿。
さびしさやはかなさやわかれや。あるのが世の常。だけれども。 こうして思いがけずに出会える。だから生きていたいとおもう。
うす曇の空よりも。ずっと晴れた気持ちで。ゆっくりと帰った。
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