気温が一気に上がり。三月上旬並みの暖かさとなった。 地区では『芝焼き』の行事があり。空はまるで春霞のようになる。 田畑の害虫駆除のためらしいが。初秋には『虫供養』の行事もある。 そうしてその折々。季節を感じさせてもらっているのだなと思う。
ほんわかと暖かな日曜日。今日ものんびりと過ごすことが出来た。 例年なら家業の川仕事に追われている時期。すごく楽をさせてもらっている。 この冬の海苔養殖が全滅になったのを機に。もう廃業することになりそうだ。 二人で23年頑張った。しんどかったけどその苦を誇りに思えていたから。 もうじゅうぶんだよ。えらかったんだよと。誰よりも夫君に言ってあげたい。
そうして頂いている日曜日。午後はまたクルマの中で過ごす。 今日は家の中より外の方がずっと暖かだったから。陽だまりがいい気持ち。 少し本を読んでいるうちに。例のごとく眠気がおそってきてお昼寝となった。 うとうとと。だらりんとして。それはほんとうに至福のひと時なのだ。
そしたらまた携帯が鳴っている。これは夢ではないとその時は思う。 なのにまたこの前と同じで、目をしっかりと開けることが出来ない。 でも今日はちゃんと出ることが出来た。はいもしもし?って声も出た。
「おお!みか!」それはやっと出てくれたかって声で。すごく弾んだ声。 弟のことをすごく気にしている様子で「どうだ?変わりないか?」と問う声。 「それがね〜あ〜でね〜こ〜でね〜」私も一気に弟の近況をしゃべりまくった。
「そうか・・・」その声はそう言うと。「また電話するからな」って切れた。 ぷつんとじゃなくて。急にし〜んと静かになって。途切れてしまった。
はっとして。やっと目を開けたら。手に持っていたはずの携帯はなくて。 無造作に助手席に転がっている。慌てて着信履歴を見たけど・・やはり夢。
夜になり。弟に電話する。とても能天気な奴でいつもあっけらかんとしている。 でもすごく困った時には。辛くてたまらない声を出すから。なかなかやる奴だ。
「お父ちゃんから電話あったよ」って言ったら「ほんまかぁ!」とびっくり。 今夜はしっかり遺骨に手を合わせ、心配せんでもええよって言ってあげてよ。
天国からの電話。それは懐かしくそれはありがたく。 私も遺影に手を合わせ。「お父ちゃんありがとう」って言った。
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