曇り日の朝のこと。窓辺にいつもの雀たちの気配。 さえずり合っているのだけど。その声がなんともいえず愛らしい。 イントネーションというか。抑揚があってなんだか面白くて。 ほのぼのと耳を傾けていた。何て言ってるんだろう?ん?ふむふむ。
気忙しく出掛けなければいけないのだろう朝に。 こうしてつかの間の心和む時を頂く。すごくありがたい時間だなと思う。
気付かないでいること。他にもきっとたくさんあるのだろう。 日常に押し流されてばかり。時々はこんなふうに耳を澄ましていたいものだ。
とんとんとんと。今日も変らず仕事を終え、夕餉の買い物をして家路につく。 家のすぐそばの堤防で。お散歩中のサチコと愛犬あんずを見つけた。 サチコより先にあんずが私のクルマを見つけて振り向いてくれる。 犬って目はあまりよく見えないけど、耳はすごく良く聞こえるらしくて。 クルマのエンジン音でわかるみたい。「あっ・・お母さんだ!」って。
ふたりの脇にクルマを停めて助手席の窓を開けてあげると。 ぴょ〜んとあんずが飛び上がって来た。窓に手だか足だかを掛けて。 口を開けてへらへら笑っている顔。その顔がなんともいえず愛嬌がある。
思わず笑みがこぼれる。そのほころんだ顔のまま家に帰り着いた。 ちょっと鼻歌も出たりして。さてさていつもの熱燗しまっしょ。
今夜はオムライス。卵はたっぷりで焼き過ぎずとろとろがよろしい。 せ〜えのでお皿にひっくり移すのがちょっと難しいのだか。 まあまあ上手に出来て嬉しい。あとはサチコがケチャップで名前を。 今夜の傑作は息子君のオムライス。『しんじ』が『しんぢ』になっている。 そしてそのでっかいオムライスを食べきれず、残した部分が『ぢ』だった。 朝食べるから置いとけっていうので、その『ぢ』は今もテーブルにある。
陽気で明るいサチコに。これまでどれだけ助けられたことだろう。 すごく憂鬱で落ち込んでいても。サチコのお笑いギャクで一気に笑顔になれた。 一年中ひまわりのような娘。最後に泣き顔を見たのはいつだったろうか・・。 ほんとうは。きっちいちばん傷つきやすく。脆い子なのかもしれないなと思う。
午後9時。そんなサチコがまた夜の街へ出掛けた。 ずっと風邪気味なので止めたけど、どうしても行かねばならぬ!とか言って。
あとは。し〜んと静か・・。 耳を澄ませど、聞こえるのは古いPCの唸り声だけだ・・。
|