帰宅したら娘のクルマがあったので、とてもほっとして嬉しかった。 最近はすれ違ってばかりいるので、いつがお休みなのか訊く暇もないのだ。
でも・・洗濯物取り入れただけで、畳んではくれない。 「畳んでくれてありがとう!」ってお礼を言ったら、「どういたしまして」と答える。 ほんとに娘には敵わない。いつもこんな感じではぐらかされてばかりいる。
久しぶりに家族四人が揃ったので、博多土産の「高菜ラーメン」を作ることにした。 5人分を4人で分けようと夫が提案したので、かなり大盛りのラーメンが出来た。 娘が麺を湯掻いている間に私はネギを刻む。ふたりだと余裕で準備が出来る。 もうあてにしないなんて決めていても、居てくれるとほんとに助かる。
とんこつスープの風味がなんともいえない。からし高菜はぴりりと食をそそる。 四人で汗を流しながらはあふうひいふう「美味しいね」と食べた。 娘が首にタオルをかけていて、私はその端っこで汗を拭いた。 「もう!やめて〜タオル取って来なさい!」と怒られてしまったがまた拭いた。
四人だと笑い声が絶えない。これが三人だと私はイライラして・・二人だと緊張する。 いつまでも四人ではいられないけど、続く限りと思う私のささやかな願望だ・・。
家族団欒の度が過ぎて、それぞれの将来の話になった。 私は孫の世話なんて絶対にイヤだから、近くに住まないでね!と頼む。 でも、夫は早く孫の顔が見たくていくらでも遊んでやりたいと言う。 じゃあ・・熟年離婚するから、お母さんの生活を邪魔しないでね!と頼む。
夫が突然、絵を書きたいと言う。老後の趣味は絵を書くことだと言う。 俺に絵を書かせてみろ!上手いんだぞ・・上手いんだからな・・。
私はほんとに何も知らないまま結婚したのかもしれない。 いつもこんな風に突然知らされることがいっぱいある。 絵か・・いったいどんな絵を書く人なんだろう・・? まだ一度も見たことはないし、絵筆を握る姿なんてとても想像出来ない。
いきなり父になり母となった結婚生活だった。 仕事に追われ子育てに追われ・・お互いのことを知ろうともしなかったこの年月・・。
時という日々が少しずつ変化し始めた気がしている。 それはどんなにあがいても逆らえなくて、それぞれの未来の道標のように・・ 私たち家族の行く末を決めてしまうことになるのだろうか。
その絵を見ることが出来るのだろうか。それはいったいどんな絵なんだろう・・。
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