「ayaさん。」
「はいっ!」
「これ、コピーお願い。」
「一部でイイですか。」
「うん。」
「いつまでです?」
「今日中でイイから。」
「はーい。」
―今日中って言われて、夕方に仕上げてるようじゃ、ダメよね。
「コピー、ここに置いときますね。」
「ありがとう。」
―うっ。今回は、笑顔が見られなかったわ。残念。
「ayaさん。」
「時間あります?」
「ありますよ。何ですか?」
「これなんですけど、いいっすか?」
「こうやればいいんですね。分かりました。いつまで?」
「できれば、早めで…。」
「今日中でイイですか。」
「んー、もうっちょっと早くできます?」
「何時ですか。」
「3時頃とか。」
「・・・分かりました。」
―まったく。初めから言えよ、期限を。
「ayaさん。」
「なんでしょう。」
「これって、どこにあるか知ってる?」
「それは、・・・ココです。ココにありますから。」
「これはないの?」
「それは、高いので。あった方がいいです?じゃ、頼みましょうか?」
「うーん、いいや。これでなんとかなるやろ。」
「そうですか。」
―贅沢言うな。アタシだって、欲しいのは山々なんだ。便利だもんね。
アタシはイイのよ、別に。
でもさ、うるさく言う人がいるから。大変なのよ、これがまた。
「ayaさん。」
「これさ、こうしてくれますか。」
「はい、分かりました。これでいいんですね?」
「そう。そうそう。」
「これでよろしいですか。」
「うーん、どうしようかな。」
「・・・」
「じゃあ、ここをこうしてくれますか。」
「分かりました。」
「ayaさん、やっぱりさ、さっきののをここに持ってこよう。」
「はい。」
「うん、これでいいだろ。」
「分かりました、訂正しますね。」
「ayaさん、これ、お願いします。」
「はい。ありがとうございます。」
「あっ、そのコピーいただけますか。」
「分かりました。」
「それと、白紙のものも何枚かください。」
「はい。」
「ayaさん、これさ、これで出しといて。」
「はい。」
「よしっ。 ・・・ayaさん。」
「はい。」
「これでいいです。」
「じゃあ、これで送っちゃいますね。」
「そうしてください。」
―うっ、かんなり、振り回されてるなぁ。
もうそろそろ、外でないかなぁ。
もしかして今日、このまま支店に居る気なのかぁ?
―おっ、出かけた。
「ふぅ。」
―ほんと、人を振り回すんだから。
さぁてと、自分の仕事しよぉーっと。
このオフィスで、一番呼ばれている名前は、 間違いなく「ayaさん」だと誰もが認めるところだ。 理由は簡単だ。 私が、「なんでも引受け屋」だから。
なんでも引受けられるだけのキャパと、
なんでも頼みたくなるだけの能力と、
どことなく声をかけたくなるだけの雰囲気が、
「なんでも引受け屋」を繁盛させているのだ。
―オフィス・レディたるもの、頼まれなくなったら「終わり」だろう。
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