天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

タントリック・セックスの百一夜 - 2008年02月13日(水)

気温がマイナス10℃以下になって、熱を出す。おまけにアパートのヒーターが壊れたらしくてうちの中まで凍えそうな寒さ。おかげでせっかくの昨日の祝日は一日中ベッドの中。知らない間に雪が積もってた。

今朝もまだなんとなくフラフラしてたけど、仕事に行ったら元気になってしまった。

昨日バレンタインの贈り物を買いに行く予定だったのに中止になったから、今日仕事が終わってからバーンズ&ノーブルズに直行する。

ジョスが改装したばかりの方のリビング・ルームを和風にしたいって言ってたから、和風のインテリアデザインの本。それからわたしの好きなルミの詩集は表紙の絵が一番綺麗なのを選んだら、愛の詩集だった。ちょっとイカニモだと思ったけど、セールのコーナーで「タントリック・セックスの百一夜」ってのを見つけて、ルミの「愛の詩集」をバファーさせることにした。バファーになってないか。もっとイカニモ? っていうか、タントリック・セックスは実はわたしが興味津々。もう一冊自分の分に買おうかなと思ったけど、ジョスに任せて期待することにした。

ジョスはメディテーションとかスピリチュアルなこと全面に好きな人だから、きっとタントラも知ってるし、きっと笑い飛ばして気に入ってくれる。

カードは出来るだけ甘ったるくないのを選ぶ。でも書く内容はちょっと甘くするんだ。


今日はみんなに「あたし明日バレンタインのディナーに連れてってもらうんだよ」って言いまくる。アリは「よしよし、たくさん食べな。腹いっぱいになってもまだ食べて、吐きそうになるくらい幸せになっておいで」って言った。


バーンズ&ノーブルズにいる間に、ジョスから電話がかかる。「明日9時頃迎えに行くよ」って。いったんうちに帰るのかあ、じゃあ仕事におしゃれしてかなくていいな、明日はちょっとあったかいみたい、何着てこう、っていつものように着るもののことばっか考えながら帰る。

うちに着いたらまた携帯が鳴った。ジョスだった。

明日は娘のジャスティーンを9時に母親のところに連れてかなくちゃいけなくなったって。

「時間早くしてもいいけど、慌ただしくディナー済ませてさっさと帰るのはいやだからさ、金曜日にしないか?」


えー? もうみんなに自慢したのにー、って一瞬がっかりしたけど、その方がいいかもね。バレンタインズ・デーの夜なんてどこもベタベタの飾り付けでベタベタのカップルばっかで、そういうのは絶対やだって思ってたし。それに明日だと贈り物ちゃんとラッピングする時間もなさそうだし。それに、金曜日だと時間がたっぷりあるから、ディナーのあと踊りに行こうって言ってくれたし。と、気を取り直す。


明日はディナーのためにランチは軽く済まそうと思ってた。でもディナーなくなっちゃったから、アリを誘ってお寿司食べに行きたいな。アリは彼女とバレンタイン・ディナーするけど、男だからランチにたくさん食べたってきっと平気だよ。無理矢理連れてこ。


明日はラッピングして、カードを書いて、お部屋をお掃除して、時間があったらチョコレートカバード苺を作って、もっと時間があったら「タントリック・セックスの百一夜」少しだけ読んでみたりして。忙しくなる。バレンタインズ・デーの夜、ひとりで過ごすのも平気だ。








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Be my Valentine - 2008年02月10日(日)

昨日ジョスが突然ダンス・パーティに誘ってくれる。一番下の娘のジャスティーンとその友だち4人を連れてくからって。タンゴのパーティじゃなくて、体を動かすメディテーションっていうなんか不思議なダンス・パーティだった。ヨガみたいのから始まって、前衛ダンスみたいのになって、なんだこれはって思いながら横を見ると、ジョスがマジメな顔してやってるからわたしもまねする。子供たちも最初はとまどってたけど、だんだん普通のダンスになって、子供たちは大はしゃぎしながら踊り出す。わたしとジョスもヒップホップやベリーダンシングやサルサやタンゴを次々変わる音楽に合わせて踊る。

わたしの病院のすぐ近くのビルの素敵なロフトで、広いロフトのほかに大きなお部屋とキッチンがあった。こんなところに住みたいなあって思った。

途中でフロアを出てキッチンにお水を飲みに行ったとき、ジョスがわたしに聞いた。「バレンタインズ・デーっていつだっけ? 水曜日? 木曜日?」。「んーと・・・木曜日じゃない?」「木曜日か。じゃあ、木曜日ディナーに行こうか?」。

バレンタインズ・デーのディナーなんて、デイビッドもジェイソンも誘ってくれたことなかった。ジョスはそんな普通の恋人同士みたいなこと全部わたしにくれる。

嬉しくて、「うん、やった!」ってわたしはジョスの首に抱きついた。抱きついたわたしにジョスが言う。「Do you wanna be my Valentine?」。

びっくりした。びっくりして一瞬何も言えずに、それからゆっくり「Sure」って答えた。

Be my Valentine - 憧れの言葉だった。「ただの友だち」って言われ続けて、デイビッドもジェイソンもバレンタインズ・デーじゃなくたってガールフレンド扱いしてくれたことない。わたしにとってはガールフレンド扱いでも、「ガールフレンド」って言ってくれたことない。いつもいつもそれがワケわかんなかった。つき合ってるのに「ガールフレンド」じゃない。ほんとにワケわかんなくて、それでもいつかは恋人になれるって信じるバカ繰り返してた。

ジョスは子供たちの前でも平気でわたしにキスしてくれる。踊りながらジョスがキスをくれたあと、ジャスティーンが気になってちらっと子供たちの方を見たら、5人が一斉にわたしたちのことを見てた。

パーティが終わる12時までいて、それからまた車の後ろに5人の子供たち乗ってけてジョスはわたしのアパートに向かう。「うちに来る?」ってジョスが聞くから、「あたし、じゃあうちに取りに行きたいものがあるんだけど、いい?」って答えた。ジョスは娘がいるときにうちに女の子泊めたことないからって少し考えてたけど、わたしがアパートにクリームやヘアローション取りに行ってチビたちにごはんをやってるあいだに「なんであの人うちに泊まるの?」って聞いたジャスティーンに「明日一緒にやらなきゃいけないことがあるから」って説明したらしい。

アパートに戻ったとき、ジェイソンから留守電メッセージが入ってた。


今日は先週とおなじに、ジョスは半日仕事に行ってわたしはそのあいだに教会に行く。

今日は息子のジュリアンのバースデーだった。ケーキを買ってディナーを一緒に作ろうってジョスが言ってくれた。ジョスはGAPでプレゼントのセーターを買って、わたしはバースデーカードを買う。

ケーキの時間には、真ん中の娘のジャスミンもやって来た。ジョスの子供たちみんなに会ったことになる。でもジャスミンは少し難しそうだった。「あたしのこと気に入らなかったのかな?」って、送ってもらった車の中で聞いてみたら、「知らない女の人を僕がうちに連れて来ててとまどってるだけだよ」ってジョスは言った。

13歳と15歳と18歳の女の子。みんな難しい年頃だ。ジュリアンはとっても打ち解けてくれるのに、女の子はやっぱり難しいんだなって思った。これから大変かもしれない。大丈夫かなわたし、ってちょっと思う。でも。

Be my Valentine - 恋人になってくれって言ってるの? 「Sure」って答えたわたし。それはほんとの気持ち。恋人になりたい。ずっと普通の恋人が欲しかった。ずっとこんなふうに愛されたかった。大事にされたかった。


ジェイソンに電話してない。「電話して」ってメッセージだったのに。もうきっと言わなきゃいけないね。でもなんて言おうか。



今日は考えずにもう寝よう。明日からまた仕事だ。













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猫アレルギー - 2008年02月04日(月)

土曜日。またパンクした車のタイヤを直しに行く。今までぺちゃんこになるたび空気だけ入れて持たせて来たけど、とうとうタイヤを替えなくちゃ行けなくなった。中古と新品どっちにするか聞かれて、「中古」って即答。新品買ったって、どうせニューヨークの悪名高き穴だらけ道路を走るとすぐダメになるから。でも中古のタイヤが25ドルって聞いて、そんなので平気なのかなってふと心配になってジェイソンに電話する。そういうときはいつもジェイソン頼りだった。ジェイソンはうちにいなかった。携帯にも出なかった。

お部屋を掃除してコインランドリーに洗濯に行って、タンゴ・パーティに着てくドレスを選びながら9時半のジョスのお迎えを待つ。


92ストリートY。大好きな場所。何回かフランクと来たことがあった。ジョスとは2回目。1回目は、「恋に落ちた」と思ったあの日。ジョーおじさんはあのときジョスのことを「ボーイフレンド?」って聞いた。「わかんない。だって1週間前に会ったばかりだもの」ってわたしは答えた。この日もジョーおじさんはジョスのことを「きみのボーイフレンド」って呼んで、「You are in love, aren't you」って笑った。わたしも笑った。

ミッドナイトにパーティを抜けたあと、ジョスがプランを決める。翌日の日曜日はジョスは半日仕事で、わたしはジョスんちから一緒にジョスの仕事場まで行って、そこからわたしがジョスの車を運転して教会に行く。教会が終わってからまたジョスの車を運転してジョスをピックアップしに行く。

ジョスの車は大きいから心配だったけど、アキュラは乗り心地よくて運転しやすくて、快適だった。教会終わってから向かえに行くと、ちょうどジョスは仕事が終わったとこだった。それからアルゼンチン料理のランチに連れてってくれた。

エンパナーダがものすごくおいしかった。「ここのは本物のアルゼンチン・エンパナーダなんだよ」ってこジョスが言った。チマチューリンっていうソースがおいしくて、エンパナーダにもチキンにもわたしはジョスよりたくさん乗っける。オリーブオイルとバジルの刻んだのとチリとビネガーと、あとなんだろ。ジョスに聞いたけど、「知らない」ってジョスは笑った。

それからお隣のアルゼンチンのデザートのお店に行く。マイアミのオスカーのコンドのすぐ向かえにあるアルゼンチンのベーカリーとおんなじデザートとやペストリーが並んでた。オスカーのコンドに行くたびに、毎朝そのベーカリーでコーヒーとペストリーを食べた。だからどれがおいしいか知ってたけど、ジョスが選んでくれたのはわたしが食べたことのあるのよりうんと美味しかった。

オークの格子にガラスを嵌めたパティオ側の壁に見覚えがあったのは、それもマイアミのベーカリーとおんなじだったからかもしれない。

あったかい日曜日だった。ガラス越しに差し込む日差しをいっぱい浴びながらたくさんおしゃべりして、そんなすごく普通のデートみたいのがずっと欲しかったんだって思ってた。ジェイソンとは、そんなふうに過ごしたことなかった。お店を出て車が停めてあるところまでジョスはわたしの肩を抱きながら歩いて、立ち止まらずに突然キスするから前から来た人にぶつかった。


ジョスはわたしをうちまで送ってくれて、それからうちでサルサを踊る。ジョスはオン1でしか踊れない。オン2を教えてあげたけど、上手く行かないからオン1で踊る。チャチャもオン1で踊る。くるくるいっぱいスピンしてくれて、途中でタンゴ入れたりして、サルサもジョスは上手い。ジョスのダンスはとてもクリエイティブなのがいい。うちのハードウッドフロアがこんなに踊りやすいって知らなかった。このアパートやっぱり大好きだって思った。

でも。大きな問題がある。

ジョスがうちに来たのは3回目。1回目に猫アレルギーが発覚した。1時間ほど経ってから、突然くしゃみの連発。涙と鼻水が止まらなくなる。くしゃみが出始めるまでの時間がだんだん長くなってるのは慣れて来たせいなのか、これからもっと慣れて行くのか、それでいつかアレルギーが皆無になるのか、わかんない。これはほんとに大問題で、「猫アレルギーの人」はわたしの「ボーイフレンド・バツ条件」リストのトップ。でももう遅い。困った。すごく困った。「きっと慣れてくよ」ってジョスは言ってくれるけど。「猫アレルギーの人」をバツリストからはずして、なんとか対策を考えるしかない。



月曜日。今日もくたくたになって仕事から帰宅。

留守電をチェックする。ジェイソンからのメッセージはない。


なんでわたし、ジェイソンの電話待ってるんだろ。







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ケ・セラ・セラ - 2008年02月01日(金)

雨が降って遅刻。雨のせいじゃないけど。

ああ困ったな、どうやって誤摩化そうかな、雨の中転んだことにして地下鉄降りてからボスに電話しようかな、って地下鉄の中の時刻表示を見ながら考えてると、途中の駅からアリが乗ってくる。しばらくたってからアリはわたしに気がついてニッコリ笑った。

「あたし遅刻」って少し離れたところにいるアリにくちびるを動かして伝えたら、「Me too」ってアリもくちびる動かした。9時出勤のわたしと9時半出勤のアリ。遅刻の度合いが違う。

降りてから、雨と風の中テクテクテクテク早足で病院まで一緒に歩く。

毎朝病院の前のスタンドで買うコーヒーとベーグルはあきらめて、病院の中もエレベーターに向かってテクテクテクテク早足で一緒に歩く。

「メインオフィスに行くの?」「ああ。サイン・インしに行く。僕は10分だけ遅刻だからね」。40分遅刻のわたしはメインオフィスには行かないで自分のオフィスに行って用意して、サイン・インし忘れたことにしてちゃんと時間通りに来ましたみたいな顔して仕事することに決めた。

今日は赤を着る日。病院の決まりだと思ってたら「国際赤を着る日」なんだって。あれから一年か。ときどきそういうふうに、一年経ったことに気づかせられる。時の流れなんて割と忘れて過ごしてるけど。でも、ジェイソンとの一年前のことは最近よく考える。

1月7日が出会った日で、去年はうちにいるジェイソンにティラミスと苺を買って帰って、一年記念のお祝いしたっけ、とか。今年の1月7日は知らないふりして過ごした。そんなふうに過ごすなんて去年は思ってもいなかった。

土曜日に留守電が入ってて、でもコールバックしなかった。そしたら火曜日の夜中に電話がかかって来て、いつものように話した。「明日仕事から帰ったら電話してよ」ってジェイソンは言ったけど、「うん」っていいながらかけなかった。それから話してない。どうせジェイソンは全然気にしてない。

ベッドルームとバスルームにつけてくれるはずの棚はどうなるんだろ。それ用の板がまだリビングルームとキッチンに材木屋さんみたいにどんと立てかけてあるまま。来年の今日もまだこのままだったりして。それはやだ。早くこのアパート綺麗にしたいのに。どうなるんだろ、ほんとに。


結局アリ以外の誰にも遅刻はバレなかった。今日も超忙しかった。帰りのバスの中で居眠りする。このところずっとそう。まだ雨は降っていて、でもバスを降りると風は止んであったかかった。アパートまで歩きながら、雨降っててあったかいのと晴れてて寒いのとどっちがいい? って自分に聞いて、「晴れててあったかいの」って答える。雨の日用にしてる安いブーツに雨が入り込む。雨の日用なのに、って思いながら、「でも晴れの日にも履いてるじゃん」って自分につっこむ。

金曜日は、くたくたの帰り道も気分が違う。ちょっと前までは、全然会えなくなって電話もあんまりくれなくなったジェイソンのこと思うと金曜日も嬉しくなかったけど。


明日はジョスとタンゴ踊りに行く約束の日。


どうなるのかな、わたしとジョス。どうなるのかな、わたしの棚。どうなるのかな、ジェイソンとは。


なるようになるよ。







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