一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。


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2003年05月29日(木) その11


その11

そう言えば、こんな事もありましたよ・・・

オルテガの事務所の前がマージャン屋になってて、入って直ぐに横がラセン階段で上に上がると、
20個ほどの、マージャン卓があって、いつも出前を取ってくれる人は決まってて、近くで何かスナック
をしてるらしく、みんなからは、マスターって呼ばれていて・・・

たまたまその日、負けが混んでて虫の居所が悪かったのか、私が台の上にスパゲティーを出して、御代を頂いて帰ろうっとしたら・・・

「マテぇー!なんやこれ!・・・何や言うとんねん!」

「え?スパゲティーで・す・け・ど・・・」

「アホか!見たら分かるわい!この、かげた皿のことを言うとんのじゃ!」・・・・

「刑務所じゃあるまいし!こんな皿で食えるか!!」と、

皿ごと床にほり投げた!・・・「持って帰れ!」・・・大きな声で怒鳴った!

私は、怒りをおさえて、片付けていると・・・直ぐ横のラセン階段から、ドカドカ!ドカドカ!と何人か
上がって来る音が・・・もしかして・・・事務所の前だし聞こえたかな?・・・やっぱり!あの三人や!・・・
来た!来た!凄い顔や!しらんでー

                   また・・・・次


2003年05月27日(火) その10


その10

オルテガのお誘いも、丁重にお断りして、寮に帰ろうとしたら、オルテガの言いつけで、剃り込みと、
四本指が寮まで送ってくれた・・・当時、東映のヤクザ映画の全盛期、映画の煽りを受けてか・・・
「兄貴!」・・・・・・・(年もそんなに変わらへんやん!)

「人目もあるから、その呼び名はやめてくれる!まだまだ僕も君らといっしょで、修業の身やから・・・」

「すんまへん!じゃー兄さんって事で、」

「ダメ!名前を呼んで!佐藤君って」

「ええ!それは、チョッとヤクザの世界では・・・」

「いや!僕はヤクザじゃないし!」・・・・・「自分らはどうしてこの世界に入ったん?」

剃り込み〜「尼の県立高校出て会社に入ったけど、上司とけんかして・・・家でブラブラしてる時に、
映画で(高倉  健)を観て、これや!って」

四本指〜「三田の大きな農家の長男で、朝、早いのがイヤで家出して、尼で(高倉  健)の映画を観て、
        この人の世界へと思った」と・・・

この二人の話を聞いて、当時十八歳の私は、あまりにも私の貧乏な田舎の話しはしたくないと思った、そして・・・若かったのでしょ!この二人には絶対!負けたくないって、思ったものでした・・・

                       次は・・・また今度・・・    


2003年05月23日(金) その9


その9
 その頃の、ビリヤードは、どこの店も深夜、三時ゴロまでやってて、私たちのように、仕事を終えて、やって来る連中も多く、何故かここは、いつも一杯で不思議な店でした・・・
ある日、いつものように来ると、従業員の人に一時間待ち!と告げられ、座ってると店のマネージャーが来て・・・

「あ!あの、社長に聞いてます!直ぐにはいれます!」・・・  (ここの社長って、だれ?)   

しばらくして、私たちが、ワイワイやってると、マネジャーが側に来て!

「あのー奥の台で社長が呼んでます!」・・・・・・・・     (えええ!・・・誰?・・・)

マネジャーの後を付いて奥の部屋に・・・薄暗い部屋の中にビリヤードの台、その奥に、一人
その人はいた・・・・・・オ・ル・テ・ガ!
オルテガは窮屈そうな三つ揃えのスーツを、アル・カポネのように着こなし、私に・・・

「!教えたろ!最初が肝心や!」・・・・・キューの先にチョークを付けらがら・・・

「あ! は、は、ハイ!」・・・・・・・・    (なんで?僕やの?わからん)

「四つ球!言うてな、これが本当のビリヤードなんやで!」…・(赤が二つ、白が二つのゲームらしい!) 

先輩達が・・・遠巻きに・・・「もうーぼくら先に・・・帰っとくわな!」・・・・・・・   (見殺しかい!)

オルテガが私を・・・じーっと見据えて、キューを立てながら・・・

「わしの・・・・組に・・・入らへんか!・・・」・・・・・・・・・・・    (はあー?)
      
                       


2003年05月19日(月) その 8

その8
当時、阪神尼崎の中央商店街は、飲み屋にパチンコ、マージャン屋、ビリヤード、などがやたら多く、
必然的にその道のプロが生まれてきます・・・配達に行くとその道のプロの方たちが私に・・・

「にいちゃん、かいな?この間、事務所で暴れたらしいな!」・・・・・・(何で!暴れなあかんねん)

「事務所の前で座り込みしたっちゅーやん」  ・・・・・・ (それは、した!)

「事務所の中で若い衆を木刀で叩いたらしな!」・・・・・(もう!とっくに、・・・死んどるは!!)

ある事ない事、いろんな噂が飛び交って、いちいち説明しながら配達をしてましたよ。
月一度の休みに先輩達の何人かとビリヤードに行ったとき・・・いっぱいで一時間ほど待ち時間が・・・
その時、奥の方で常連さんみたいな賑やかなグループがいて、目と目が合った時、正直イヤな予感!

「わしら!もう終わるんで、ここでどうぞ!」  ・・・・   (剃り込みや!刺青や!)

「仕事やすみですか?」  ・・・・   (声かけんといて、ほしい)

一番びっくりしたのは、先輩達!「あの人達は友達なんかい?」   ・・・・・  


2003年05月13日(火) その7


その7

その頃、店では、私が出前に行ったっきり、日が暮れても帰って来ないので、何人かの先輩達が心配して事務所まで見に来て、すると・・・私が事務所の前で、ちょこんと、座ってるので・・・

「あ・あ・アイツは、あんなトコで何をしてるんや!」と、びっくり!、そんなこんなで、店の中の
みんなも、そわそわドキドキ・・・警察に言った方がいいんじゃないかと、大変だったそうです

そうこう、みんなで思案してる時に、私が「剃り込み」・「刺青」・「四本指」・、三人といっしょに帰って来たので・・・ウエイトレスのお姉さん達が・・・「あ・あ・帰ってきましたー」  ・・・・(帰らいでか!)

もうー顔なじみになった!三人組がみんなにお詫びをしてる時に・・・みんなは・・・「はい!いえいえ、」
チーフが胸はって・・「は・は・払ってくれたら、ええけどね!」「今度はちゃんと払ってや!」と、得意気に
言ってました、そして、三人が帰ったあと、みんなが・・・「えええーいったい、何があったん?」

「ハイ!ツケの46500円!」と、レジの人に渡すと、不思議な顔して

「へえーあの三人からよく取れたね!」・・・私が・・・

「あの人たちじゃなくて、オルテガ!じゃなくて、くれたのは親分です!」すると、みんなが・・・えええ!・・・えええ!

                   ちかれた・・・・・つづき


2003年05月11日(日) その6

その6

私を見つけて立ち止まり、剃り込みにオルテガが・・・
「この子は何んや!・・・おまえら何してるんや」

四本指の子分が・・・
「すんまへん!メシ代もらうまで帰らん言うて座っとるんですわ!・・・もう、帰しまっさかいに!」

すると、オルテガ、が、詰め寄る子分達を止めながら、私を、じーっとみて・・・
「メシ代は幾らや、まあ!そんな所に座らんと、中に入れ!」・・(えええ!中に入った所を刺される)

オルテガ、が、事務所の中から・・・・
「ぼく?なーにも心配せんでもええ!はよ!ここへ来て座り!」・・・(やさしく言って刺すんやろ)

私は出前箱かかえるように持って、事務所の中へ・・・そして皮の大きなソファーに座り・・・
オルテガが内ポケットから蛇皮の大きな財布を出しながら私に・・・「なんぼや」・・・、

「あのー今までの分のツケが・・・46500円なんですけど」・・・・   (あああ言うてもた)

まわりの、血ノケの多い子分達が、やばい!と、思ったのか、いっ声に私に向かって・・・
「何ぬかしとんねん!・・・お・お・親分!このガキ、嘘ついてまっせ!」・・・(いっしょにすな)

オルテガの目の色が変わった・・・私は正直やばい!と、思った!瞬間!
壁に飾ってあった、五本ほどの木刀を一本!取るやいなや、振り向きざまに、
刺青と・剃り込みと・四本指に、横から肩に向かって木刀を振り下ろした
私の耳には、今でもあの時の「ぶうーん」と、いう音がはっきりと残っている、さらに
・・・オルテガが振り下ろしながら一人一人に・・・

「弱い者をいじめるようなヤクザだけにはなるな!と、言うてるやろ!」  ・・・・(親分はすごい!)

                つづきは・・・・・・また
  


2003年05月06日(火) その5

その5

血の気の多い連中達、怖いのなんのって・・・これでもかと思うほど剃り込んだ頭!
何処から頭か分からない眉毛を剃った顔!びっしり詰まった刺青!指が一本足り
ない手!その中の一人が

「こんなとこえ座りくさって!刺されたいんかあー!」・・・・・(こわ!震えたわ!ほんまに!)

「はよ帰らんと!親分が帰ってくるやろ!あほんだら!」・・・・(自転車ほられてるし)

ふと思ったのは、もし、どついてくれたら近くの交番へ飛びこんで行けば、今までのツケが全部無くなるぞ!と、それなりに頑張った18才!でした・・・

四時間ほどたった頃でしたかね・・・大きな外車が目に前に止まり、今まで怒ってた連中が慌てて
車のドアを開けて米ツキバッタみたいにペコペコ

「おかえりやす!ご苦労さまです!」・・・・・(どうもこの人が親分みたいやなあー!)

下から見上げた、その顔が・・・なんと言うか、子分達が束でかかっても勝てないぐらい、子分達が
可愛く見えるてしまうほど強烈な顔でした!・・・・(まさしくそれは、ブラジルの巨象!オルテガ!)

その、オルテガ!とにかく顔が黒い!って言うか、ドス黒い!
後で分かった事だけど、どうも「肝硬変」だったとか・・・そのオルテガ!私を見つけて・・・

            つづきは・・・・また今度


2003年05月02日(金) その4

その4
ヤクザ〜 「な・に・し・に・来たんや!」…(何しに来たって、こんなとこに遊びにきいへんやろ!)

私〜「あのー集金に来・ま・し・た!」…(それにしても、どないしたらこんな怖い顔になんにゃろ)

やくざ〜「わかった、本人が帰ったら言っとくわ!全部でなんぼや!」…(言っとくって、君や!君!)

私〜「あのー全部で、¥46500です、お願いします!」…(ほんまに払う気あるんやろか)

そして、次の日また、その事務所から、「サービス・ランチが二枚」、注文!…なんで受けるんやろ。
嫌々、注文を持っていくと、

やくざ〜「本人が今、出て行って居ないから、そこに置いとけ」…(ほんまかいな?)

そして、食べ終わった頃に集金に行くと、また、本人が食べて外へ出ていない!この繰り返し・・・

そんな、ある小雨の降る日だったか・・・あい変わらず、食べた後に集金に行って・・・なにを思ったか

私〜「食べた人が帰って来るまで、ここで待たしてもらいます」…(心臓ドキドキ!足はガクガク)

やくざ事務所の玄関横にペタンと座ってしまったんです・・・・・・もう外は薄暗く、道あるく人がジロジロと、

      この続きは・・・・・・また次の日・・・


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