西日が差したら枇杷の実を食べよう
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2003年01月30日(木) フランス人って、母国語フェチ?。『夜風の匂い』

一応、劇場でみました。チケット、あまってたので。

カトリーヌ・ドヌーブ演じる、美貌で富豪で年増の人妻と、
年下の愛人、そして、もう一人、孤独の影をひきずる建築家との
あやうい愛と絶望の物語・・・ってとこでしょうか?

うーん。うーん。うーん。
正直、よく、わかんねーーーー。
フランス映画にありがちの、「孤独」「虚無」なんていう、
観念的な言葉が飛び交うセリフの応酬。
それも、意味があるんだか、ないんだか。
人物像からストーリーまで、すべてが「曖昧」なんだもん。
まぁ、それが「味」と言われてしまえば、かえす言葉はありませんが。

たしかにドヌーブは綺麗でした。
わたしの憧れの車、赤いポルシェカレラはカッコよかった。
夜のパリは、うつくしかった。
でも、それだけ。



追記

でも、個人的に
ちょっとだけ、勉強になったところがありました。
年増女の恋のかけひき、とかね。
さすが、棺桶に入るまでアムールの国、フランスだわ。

しかし、フランス人、ケガして大量の血を流したすぐ後に、
白ワインを飲んでたのには、驚いた。
あんたたちってば・・・。


2003年01月28日(火) クローゼットの中にいても外にいても、私は私、君は君。『セルロイドクローゼット』

たとえば『ベン・ハー』、
たとえば『紳士は金髪がお好き』・・・。
ハリウッドの歴史に残る数々のメジャームービーの中に、
ひっそりと刻まれてきたレズビアン&ゲイたちの足跡。
それらを一つ一つ、ひもといていったのがこのフィルム。

わたしは、人に「この映画をみて」と言うことは少ないのだけれど、
『セルロイドクローゼット』だけは、勧めてしまうかも。
機会があったら、ぜひみて下さい、と。

わたしが、稚拙な表現でこの映画について書くよりも、
当HPのお客様であるロージーさんが、
「そうなのよね」と、思わず頷きたくなるような、
感想をメールで送ってくださったので、
了解をいただき、以下(緑色箇所)に転載させていただきます。

異性愛者が、ごく当たり前だと思って手に入れているもの。
それは、ほんのささいな幸せだったり、取るに足りないものだったり。
でもそれらと同じものを、同性愛者は、
葛藤やとまどい、躊躇を乗り越えて、闘って手に入れようとしている。
それらのことが、とても伝わってくる作品でした。
でも、決して、説教臭くなったりしないのは不思議です。
「世間というものは、そういうもの」という、
いい意味でのあきらめがあったり、
(腹をくくっているとでもいうんでしょうか?)、
感情のベースになっているのが、「泣き笑い」なんじゃないだろうか、
と思えるような、ユーモアを感じたり・・・。

「私たちはこんな風に闘ってきた。きっと、これからもそれは続いてく。
 でも、生きているかぎり、闘うのはみんな同じ。
 だから、まあ、お互いがんばりましょう」
そんな風に言われている感じで、
声高に主張されるより、一層胸にせまってきました。

そんなことを感じながら見ていると、まさにこの作品の締めくくりのように、

ブセミのいいシーンが!
感動!!でした。

ゲイについて、愛について、だけでなく、
映画について、表現について、など、色々なことを訴えかけてくる、
見ごたえのある作品だと思います。


うん。まさに。
ロージーさん、どうもありがとうございました。

そして今。
いわゆるメジャー映画だけでなく、無数の独立低予算映画もつくられ、
「ニュー・クィア・フィルム」というジャンルも存在する時代。
『セルロイド・クローゼット』の頃とは、
「同性愛」を取り巻く環境、
「同性愛」を表現する者たちの直面している問題も変化していますが、
この作品の中にこめられたメッセージは普遍のもの。

「映画が好き」で「映画についてもっと深く知りたい」と
思っている方なら、見て損はないと思います。

そうそう。
蛇足ですが、Steve Buscemiが、自身の監督作品として
現在企画しているのが、そのものずばりのタイトル
『Queer』(バロウズ原作)なんだとか。
彼の作家としての目線、やっぱり共感するなぁ。


2003年01月25日(土) お星さまと血糊が両方似合う、凄いヒロイン『修羅雪姫』

こういう作品に出会うと、
日本映画って、素直にいいなぁと思う。

全然、気取ってないし、カッコつけてもいないのに、
きちんとポップで、きちんとせつない、
今の日本でしか生まれないだろう、娯楽作品に仕上がっている。
(ハリウッドリメイクが企画されているらしいけど、
 この映画の魅力は「ルーツはチャンバラ」な日本メイクだからこそ)

ヒロインの釈由美子がいい。
彼女の素敵なところは、瞳にお星さまキラキラの透明感と
泥だらけのTシャツの凄みが同居しているところ。
少女で少年。清純で野卑。強くてはかない。
なんとも摩訶不思議に、相反する二つの要素が、
パズルのように、一人の女の子の中におさまっている。
こういうコって、アニメをのぞいて、日本映画のヒロインに、
いそうでいなかったタイプだよね。
歌舞伎チックな見栄のきり方も、うまいし。

もしわたしがプロデューサーだったら、
スティーヴ・ブセミ演じる、ニューヨークのダメ殺し屋のもとに派遣された
ニンジャガールの助っ人役で、彼女をキャスティングして、
ヘンでポップでせつなくて可愛い、アクションムービーをつくりたいなぁ。
ジャン・レノ&広末凉子コンビよりは、ずっと面白い映画になると思うのだけど。

追伸。
伊藤英明@アニータ顔って、たしかにセリフは松嶋菜々子並の棒読みだけど、
みんながいうほどヘタじゃないと思うんだけどぉぉ・・・。
(↑とりあえず、犬顔ずきなので、かばってみた)


2003年01月24日(金) 神様の恋人は神様じゃあないのよ。『火まつり』

みなさんは、映画館に行って、座席にすわって、暗闇になって、
さぁ、はじまるぞ、というときに、いきなりスクリーンに、
自分がみようと思っていた映画とは違う映画のタイトルが映し出され、
「ほぇーーーー。こんなはずでは・・・」と、
泣きそうになったことはありますか?

わたしは、あります。
もちろん、映画館のミスでなく、わたしがアホだから。
同じ劇場で、時間替わりで中上健次映画を何本か上映しているイベントで、
うっかり、目指す『十九歳の地図』の上映回ではなく、
『火まつり』の方に、足を運んでしまったのです・・・。
(同じ柳町光男監督&中上健次原作ですが)

目の前にデーン!と『火まつり』〜の、タイトルが映し出されたときは、
「な、なんじゃそれ・・・」と泣きそうになったものの、
そこはポジティヴシンキングがモットーのわたくし。
「神様がこの映画をみた方がいいと言ってくれているんだわ、きっとこれは運命よ」、
と、素直に『火まつり』ってきました。

で、感想。
自分じゃ、映画館どころか、ビデオでもぜーったい見なかっただろうなぁ、
というタイプの作品。
しかし、面白くなかったかと聞かれれば、これが意外と面白かった。
ものすごーく乱暴に、自己流の解釈をしてしまうと、
「神様とセックスして、ある意味、トランス状態におちいり、
 自分も神様になったと勘違いしてしまった男の話」?
あ、ここでいう神様とは、キリスト教に代表されるような唯一絶対神ではなく、
日本古来の、多神教の神様です。
海の神とか、山の神とかの。ほら、舞台は神々のくに、熊野だし。

もう一つだけ、付け加えるなら、川上麻衣子がモッズの『♪激しい雨が〜』で、
「パラパラもどき」を踊るシーンは、リアクションにたいそう困りました、とさ。


2003年01月23日(木) ジョニデは今夜もめくるめく・・・『耳に残るは君の歌声』

クリスティーナ・リッチとジョニー・デップの映画、と
勝手にイメージをふくらませていたら、
想像していたのと全然、違う映画でした。

なんだか、妙に昼メロチックなストーリー。
(といっても『真珠夫人』みたいな、いまどきのジェットコースター型ではなく、
 もっとゆったりとした、昔ながらの昼メロノリ)
ジョニデなんぞ、まんま「白馬に乗った王子」キャラだったし。
いえ、比喩でなく。

情けないことに、今となっては、わたしの中で、
いちばん印象に残っている場面は、
ジプシーのテントでの、
リッチ&デップの屋外セックスシーンだったりして。
妙に、いろっぽかったからさ。リッチ&デップが。
あ、そこの男子。だからといって、すぐにビデオを借りに走らないように。
リッチ&デップとも、肌の露出はほとんどなし。
これは、どちらかというと、女がときめくいろっぽさ、だね。

と、冗談はともかく、
ヨーロッパにおける、差別、被差別の歴史が、
いまいち、ピンとこないわたしの無知さが、
上記のようなアホ感想しか書けない理由でしょう。すいません。


2003年01月19日(日) 海岸で、風に吹かれる白いシャツ。『黄泉がえり』

『黄泉がえり』。
息子がみたいというので、映画館へ。

『月光の囁き』、『害虫』の塩田明彦監督が、
小学5年生男子にもわかる映画をつくりました、という感じかな。
よくも悪くも。

中学生のシーンは、さすがのリリシズム。
塩田監督って、このくらいの年代の少年少女の、
言葉にならない切なさ、不器用なもどかしさを
切り取って、映像にするのが巧いですね。

あと、海岸を、風に吹かれて歩く、白シャツ姿の草なぎ剛のシーン。
美しかった。
物語的には、そんなに重要な絵じゃないのに、
なぜか、見終わって、このシーンが一番、印象に残っているわたし。

よくみると、意外と彫刻的できれいな顔をしているのに、
あまり「美しく」撮ってもらう機会が少ない草なぎくん。
・・・ジャニーズなのに。
が、さすが塩田監督。
そんな彼の、内面も含めた「きれいな部分」を、
ちゃんとみつけて、スクリーンに映し出していました。

ところで、この映画のヒロインの名は「アオイ」。
『害虫』で素晴らしい演技をした宮崎あおいちゃん&蒼井優ちゃんへのリスペクトかしらん。


2003年01月18日(土) じんわりと、沈みこむように怖かった『降霊』

WOWOWで放送していたのをみてみました。
ちょっとだけピントがズレているような、
ぼーっとした感じの映像を、
同じように、ぼーっとみていると、
じんわりと、沈みこむような恐怖がやってきます。
その恐怖のもとは、ひ・み・つ。

もしかして、この映画、
「恐怖」とか「霊」というよりも、
子供のいない中年夫婦(役所広司&風吹ジュン)の、
深いようでいて、もろく、
もろいようでいて、確かな、不思議な愛情関係が、
もう一つのメインテーマなのかもしれません。

ところで、あの、やけにナマナマしい、
哀川翔の神主さん役は、
やっぱり「ねらった」キャスティングなんでしょうか。
全然、神主っぽくなくて、浮いていて、それが妙にリアルでした。


2003年01月16日(木) もっと、掘ってよ。『ガウディーアフタヌーン』

レンタルショップの新作の棚で発見。
ジュディ・ディビス、リリ・テイラー、ジュリエット・ルイスという、
女優陣のクレジットにひかれ、借りてみる。
舞台となっているらしい、ガウディーの建築も好きだったし。

ヒロインのジュディ・ディビス。かっこいい。
更年期前の、もう決して若くない翻訳家の役を好演。
原作ではレズビアンという設定らしいが、
映画ではストレートの女性に変更されている。
この辺りは映画界の、まだまだコンサバなところ?。
が、画面の彼女からは、服装も佇まいも、
どこかそんな(レズビアン的な)匂いがするのが、おかしい。

男装の女性と女装の男性のカップルが出てきたり、
男も女もごちゃごちゃになった、
トランスセクシュアリティーという題材は面白かったのだけれど、
うーん・・・、どうだろ。
伝えたいことの的が絞り切れていなかったみたい。

ジュディ・ディビスはじめ、男装の同性愛者役のリリ・テイラー、
ニューエイジなへんてこナチュラリスト、ジュリエット・ルイス、
ホモセクシュアルのマジシャン・・・etcと、登場する
それぞれのキャラクター設定も、それはそれで面白かったけど、
悪く言えば、ただ「面白い」だけで、各々の絡みのドラマも、
あんまり掘り下げられていなかったし。
結論としては、もうちょっとツッコんでくださいな、という感じかな。

でも、ガウディーの建築、スペインの街並みはとってもキレイでした。
ああ、スペイン、行ってみたいぜ、セニョリータ。


2003年01月15日(水) 自己満足とエンタティメントのナイスな融合『少林サッカー』

ずらーっと並んだレンタルビデオの列で証明されているように、
ご存じ、去年の大ヒット作。

なんかさ。
「自分の好きな世界を追求するもんね」の自己満足的世界と、
「楽しませまっせー」なサービス精神が、
見事に、そして小気味よく融合しているのね、これ。
主人公、チャウ・シンチーの顔が、
ゴン中山と少々カブって見えたのがナンだったけど、
期待を裏切らない、バカバカしさ・・・もとい面白さでした。

登場人物、どのキャラとっても、
たいそうデリシャスなんですが、
ブセミファン的には、
「オレは1秒で○万元を動かす男だ」の、青ガエルこと、
三にーさんが、ツボキャラでしょうか。やはり。
これ、ハリウッドリメイクされたら(されないと思うが)、
三師兄には、ブセミを推薦しておきます。遠く極東から。

とはいいつつ、キーパー役のダニー・チャン
(最初、電影配楽担当で、ダンスシーンの撮影の準備をしていたら、
 あまりにブルース・リーに似ているので、チャウ・シンチーに気に入られ、
 脚本を書きかえられて、四師兄の役に抜擢されたとか)
も、面白さでは、捨てがたい。

となると、やっぱり、「ぱんつ」の大にーさんも、
「ハンサムなのにハゲ」の二にーさんも・・・と、
収拾がつかなくなってしまうので、いっそのこと、
全員まとめて「らぶ」ということにしておきたいほど、
「愛らしい人たち全員集合」の映画でした。


2003年01月12日(日) リンチの悪戯っこ魂? 『マルホランドドライブ』

DVDでみました。
正直、最初は、わけわかんなかったんですけど。
でも、それは決して、不快な「わけわからなさ」ではなくて。
それで、もう開き直って、
いわゆる「物語的」に理解しようとするのをやめて、
ただ、感じるままに、ぼーっとみてみたら、
すーっと、この物語の意味が沁みてきました。
ああ、こういう、ハナシだったんだと。

で、そういう眼でみてみると、
この映画、決して「前衛的」なつくりでなく、
いわゆる、普通の、三部構成の、
きちんとした「物語」になっているんですね。
それを、わざと「わかりにくく」しているのは、
リンチの悪戯っこ魂?

とにかくねぇ、
わたしは、中盤からラストにかけてのナオミ・ワッツが、
せつなくて、せつなくてしかたなかったです。
迷路の真ん中に、おっこちていた、はかない恋の物語という感じで、
好きです、この映画。

おまけ
久々に、この映画メモ日記の更新を復活。
次は、
『セルロイドクローゼット』
『耳に残るは君の歌声』
『ムッシュカステラの恋』
あたりについて、書きたいと思っていますが、
いつになることやら。


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