サーモンピンク・フラミンゴ
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2010年06月05日(土) しない自由もある

1年以上前に書いたまま、アップしようかどうしようか悩んでそのままになっていたサモピン記事があったのですが。
読み返してみたら、書いた当時と考え方がブレていなかったので、今さらですがアップさせていただこうと思います。

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同性愛者の「肩身の狭い具合」、ワタシがお年頃の頃と比べると雲泥の差の昨今でありますが、セクマイ関係者のみなさま、しあわせに過ごされていらっさいますでしょうか。

肩身が広くなってきて、話題に出やすいもののひとつが「カムアウト」話題だったりするわけですが。
やはり私たちから上の世代と比べると屈託がないせいか、若い方々のほうが積極的なようでございますね、カムアウト。
もちろん、十人十色でござろうとは思うのですが。

カムアウトの仕方も人それぞれ、状況もそれぞれだと思いますが。
ワタシがナナにセクをカムしたときは、「なるべく聞かされた側の負担にならないようにさらっといきたい」という日頃の理想はどこへやら、随分とマジメにぼそぼそと話してしまった記憶があります。(このときですね)
結果的には、ナナ相手にはアレでよかったんだろうと思っていますが。
湿っぽくはなってなかったと思いますが、自分について、しかも相手に対してウソついたり隠したりしていたことを、マジメにきちんと話す作業というのは、日頃自分を茶化したり隠すような話ばかりをしているワタシには汗たらたらのしんどいものでございました。
それでも、話し終わってからはまさに「憑き物が落ちた」という言葉通り、肩の荷が降りました。

その例からもわかるとおり、「こういうカムアウトが正解」というのはないんじゃないかなーと思います。
今さらワタシなんぞが言う必要もないほどあたりまえのことですが。
その場・その相手・自分とそのまわり・様々な要因でもって、自然に伝えられればベストでございますよね。
「自然」というのは、別に「さりげなくなにげなく、なんてことなく」ってことではなくて、
例えば状況によってはあわあわしまくって伝えるのが自然かもしれませんし、
えーんえーんと泣きじゃくりながら伝えるのが自然かもしれません。
あるいは、歌いながらとか。言葉にできない気持ちを踊りに変えてとか。ジェスチャーとか。尻文字とか。まあ、いろいろ。


自分のセクを恥じることなくカムアウトすることは、とても素敵なことであると思います。
うまくすれば、祝福されますし、理解されますし、何しろ「隠し事がない」というのは、人生がとっても楽になります。
ネット上でも、「カムしてうまくいったー」「しあわせよー」「彼女とセットで認められてー」という記事などが割と多いせいか、「自分もカムしたいな」「わかってほしいな」「か、カムしないと、自分のセクを恥じているということになるんだろうか」等々、思っている方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。


しかし。
ちょっと待て。
はい。(自問自答)



別に今の生活に不便不満がなければ、
あるいはカムすることで不便になってしまうのであれば、
困ったことになるのであれば。


堂々と、カムアウトしない、というのも、もちろんアリですよね?(・∀・)



たとえばー。

『自分のセクを、その他大勢には隠したいが、大事な友だけには打ち明けたい』というクローゼットな人の場合。(例:現状のワタシ)
相手をどんなに信用していようとも、やっぱカムアウトって「そこから他に漏れる」危険をはらむモンだと思うのです。
「この人は信用できるから、カムアウトしよう。ワタシのこと、わかってもらおう」と、カムする相手を限定したとしても、

ワタシが思うに、自分から「レズビアンです」と打ち明けた場合、そうですねえ、5人くらいにそれをすれば、なぜか他にもいつの間にか伝わっちゃうモンなんではないかと。

打ち明けたその人が積極的にウワサを広めるということはないかもしれませんが、どこでどんな風に話が漏れるかは予測不可能なわけでありますよ。
たとえば、ワタシは友人・タマリンのことを大変信用しております。
なもんで、セクのことではなかったんですが、「ナイショね」って話をしたことがありました。
タマリンはもともとの人間性が信用できる上に、口が堅いですからね。
なんかもう、大船に乗った気持ちでナイショゴトを打ち明けましたですよ。

でもですね。
世の中にはアルコールっておそろしいモンがありましてですね。
へろっへろに酔っぱらったタマリンは、誰かに話を振られたときに、ナイショゴトをポロっと口に出しちゃったんですね。
言った後に「しまった!」って顔してこっち見たんですが。

しかし実はワタシも似たような経験がありましてね。
これはもうしかたないよなと、タマリンを怒る気持ちにはさっぱりならなかったんですが。
でも、「そうか、こういうことがあるんだっけ」と深く胸に刻みました。
なっちゃんもそーーーーーとーーーーー口が堅いんですが、やっぱり酔っぱらったときにぽろっとやったことがあります。
しかも「あ、これ、今の、まずかったっけ?(*´∀`*)アハハ」まで、その場でつけました。うん、まずい( ^ ∀ ^ )

まあ、「ナイショにしてって言ったのにー!」ってムキムキと怒らずに済んだのは、ワタシが仏のように温和だってこともあるかもしれませんが(言われたことないけど)、
どちらの「ナイショゴト」も、ワタシにとっては大事なことだけれども聞かされた方にとっては「なんだそんなことー」ってことだった、という背景もあります。
で、セクのカムアウトというのも、案外打ち明けられた相手にとってはそういうものかもしれない、と思ったりもするわけです。
ワタシにとっては一大事なことでも、相手にしてみたら「あ、そうなんだ」で済んでしまって、コトの重大さが認識できないまま、酔っぱらってポロッ。とか。
あるいは、相手にとってもエキサイティングで興味深い話なだけに、ワタシの名前は伏せて「こんな話が」と酔っぱらってポロっ。とか。
伏せてもたいてい、聞かされた相手がワタシのことを知っている人ならば、わかっちゃうもんだったりしますしねぇ。


誰に知られたって別にいいもんね、って人は問題ないでしょうけど。
そしてそういう勇気のある、または状況的に恵まれた人もたくさんいらっしゃることでしょう。
そういう人はもう、どんどんしあわせなカムアウトをしていっていただくとしてですね。良いことです。


ワタシ自身について言えば、ワタシ個人に限定して考えれば、もう友だちだろうが仕事相手だろうが、いいです。カムアウト。
バイと思われようがレズと思われようが、(そうじゃないけど)ヘテロと思われようが、ホントにもうなんでもいい。
隠し事ナシで人生行けたらラクチンでしあわせだろうなー、ってことも強く思います。
以前は「仕事の障害になるのが怖い」と思ったこともありましたが、最近は「そんなもんでつきあいが変わるなら、別にいいです」と思えます。
思ったところで生活は困るんでしょうけど ァ'`,、('∀`)


が、しかし。


ワタシには、今までつきあってきた女性たちがおります。
みなさん家庭を持っております。
セクバレが困るようなお仕事についている人もおります。


自分がのびのびと自由にカムアウトした場合、彼女たちに及ぶ波紋のことを考えてしまうのであります。



例えば、今つきあっているきょんが「カムアウト?じょりぃがしたいならどうぞ」となったとして、のびのびカムアウトに走ったとしますよね。
そうすると、カムされた相手は「ああ、じゃあ、きょんさんとそうなんだ」だけで想像の翼を休めないかもしれないではないですか。
かつてつきあっていた、そして今も仲良しな、例えばなっちゃんなんかは「もしかして」って思われるかもしれません。
これはワタシとしては「ワタシのせいでもーしわけない」と、つい思ってしまうわけでございますよ。
ひとりひとりにきちんと説明できるのなら話は別かもしれません。
でも、相手だってそこまで知りたくないことでしょう。どうでもいいちゃーどうでもいいことですし。
「なっちゃんはワタシとつきあったのですが、それでもヘテロセクシュアルでして、女性とつきあったのはワタシが最初で最後なわけで、レズともバイともまた違う感じでですねー、でもワタシとつきあったという実績はあるのでそのへんつっこまれちゃうと」もごもご。
なんかもう、説明のしようもない(´д`)


考えすぎなのかもしれませんけど。
それに、過去のワタシの恋愛相手たちについて、自分で恋に落ちて自分の判断で恋愛してレズ関係になって、ホントは違うからって「今さらそのことは隠しておきたい」ってのもどうよ?と思われる方もいらっしゃることでしょう。
そんな、人生の過ち、みたいに扱われて、じょりぃ、おまえは悔しくないのか!プライドはないのか!とかネ。

以前は「ワタシとのことを、人生の過ちっつーか、間違えちゃったなとか思ってほしくないなー」って思っていたんです、実は。


でも今は。
自分のセクに誇りを持てている今となっては。


まず、ワタシがつきあった相手の方々が、ワタシに対してそのように思うはずぁー、ない。 と、ずうずうしくも思えております。
さらに。
もしそのように思われていたとしても、そうかそうか、でも楽しかったよね、あの頃(*´∀`*) とのんきに思えます。


そして。
あのときあれだけ大事に思っていた人たちです。
ワタシのせいで、今現在のしあわせな生活に陰が差すようなことは、できればしたくないな、と思います。
もうなんつーか、世間の人ってクイアーなものを異端視することがけっこう多い割に、この手のスキャンダルったら大好きですからね。
「かつて女性とつきあった」なんてささやかなことだけで、鬼の首取ったようにワタシの大切な人たちがおかしな目に遭わされてしまうこともなくはないと思うんです。


というわけで、ワタシの「真にのびのび自由なセクマイライフ」というものは、なかなか実現できずにおります。

でも、それでいいんじゃないかなー、とも思うんですよ。
カムアウトしなくても、なんか十分のびのびしちゃってますし。
まわりの人もきっと「もしかしてじょりぃってレズ?」って思ってる人、多いのではないかしらー。

それでも「もしかしてレズ?」と「じょりぃはレズ(って自分で言った)」では、これはたぶん、全然違うものなんですよね。
世の中的に。なんとなく。
ワタシの友人・Sさんのような例もありますし。



まあそんなわけで、ワタシはまだまだ「この人なら信頼できるし、自分のこと知ってほしいし、よし☆カムアウト」てな具合にはいきません。
そんな中途半端なじょりぃが言うのでは説得力がないかもしれませんが。

カムアウトをするかしないか。
ていうか、どちらかというと、クローゼットで自分を責めがちなかたに、
おこがましくかつ大きなお世話ながら、お伝えしたいのです。


カムアウト、しなくったっていーんじゃないですかねえ? と。


今はネットもありますし。
昔のように、「リアルでカムアウトしなければ仲間もいないひとりぼっち状態」「自分の正体すらわからない」という状況ではないのです。
匿名ですが、話ができる相手がおります。
しかしそのネットの世界でも、どうも「カムアウトしてしあわせ!」てな情報が増えてきている昨今、ネットでも孤独感を感じがちになっている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

真にクローゼットな人というのは、匿名のネット上では仲間と交流を持つことができても、「じゃあ、オフ会」とか、リアルな場となるとそうは問屋が卸さないわけでして。面が割れますしね。
いつも通っているサイトやブログで、オフの話なんかで盛り上がったりしていると、さびしさを感じたりしているかたもいらっしゃるのではないでしょうかね。
とりあえずワタシが絶対セクバレしてはならない身だったとしたら、たぶんさびしい。


あ、オフやるなって話では全然ないですよ!誤解しないでくださいね。
そうではないんです。
でも、比較的のびのびなレズライフを送っているワタシなんかみたいな恵まれた人間は、それがあたりまえみたいに思って、(言葉が強いですけど)傲慢になってしまいがちなのではないかなーと。
自戒したりするわけです。


ちょっと話がそれちゃいましたけど。


カムアウトしてる人の方が、なんかすごい、という考え方は、ちょっと「はて?」と思ったりするのです。(そんなこと誰も思ってないかもですがー)
リスクを覚悟で、する勇気も讃えたい。
しないで孤独に耐える勇気も讃えたい。
結局のところ、ワタシはするもしないも「その人が楽なように」決めれば良いと思っております。

ワタシの経験上では「しちゃった方が楽」でございます。
それが成功に終わっても失敗に終わっても。「打ち明けたいな」と強く思った相手がいるのだとしたら、しちゃった方が、楽。

しかしここでワタシの言う「失敗」とは、社会的なものではなく、あくまでも心情的なもの・つきあい的なものという意味です。
社会的なリスクが大きい人は、やっぱり無理するべきではないと思います。
たとえば既婚のかたなどは、やはりリスクが大きいことでしょう。
「結婚したのが悪いんじゃん。自分で選んだことじゃん」とは、ワタシには思えません。
まず、ワタシより上の世代では「結婚しない」という選択はものすごくものすごく困難な選択でありましたし。
しないわけにはいかなかった、という時代背景・社会背景がありました。
そういう縛りがない世代の人にしたって、先のことなんてわからない状態で結婚するわけですしねえ。
潜在的レズで、当時は気付かなかった、とか、レズだと気付いていたけど、結婚するからにはケジメをつける!と決意して自分を捨てる覚悟で結婚されたかたなどもいらっしゃるでしょう。
しかし、人生、一寸先はどう転ぶかわからないもんですからねえ。
今、女性に恋してしまって、家庭を守りながらその想いを持ち続けることのしんどさを思うと「結婚したアンタが悪い」とは、ワタシにはとても思えませんわ。



・・・なんかまとまりがなくてスミマセン(´∀`)てへ
本日のサモピンは
「ガチガチのクローゼットで、リアルレズコミュニティに置いていかれるさびしさを感じてしまっている人」に捧げたかったのかもしれません。
おこがましいかもしれませんが、カムアウトできなくたって、そしてリアルレズの友がひとりもいないとしても、ひとりぼっちだなんて思わないでほしいなー、なんて。
10代20代の頃、さんざん好き放題しておきながら「ひとりぼっち感」がアホみたいに強かったあの頃の自分を思い出しながら。




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