2005年05月05日(木) |
エターナル・サンシャイン |
監督 ミシェル・ゴンドリー 脚本 チャーリー・カウフマン 出演 ジム・キャリー/ケイト・ウィンスレット
ワーナーマイカル市川妙典
観てからもう一ヶ月以上経ってしまったけれども今でも心に残るシーンが静かに蘇る。 記憶って塊ではなくて点であって時系列もバラバラ。 失われゆく記憶の中を手をとって走りぬける場面は何だかわけもなく胸が切なくなった。 大切な思い出だからこそ抱えて生きるのは辛い。 だから投げ出したくなる。 何か辛いことに遭遇した時とか、前進しなければならない時に、私は思い出を良いことや悪いこと全部を捨ててしまいたくなる。そうした方楽だから。 でも記憶を全部消去したわけではなく、なくしたフリをするだけだから何かの拍子にひょっこり記憶の根っこが見つかってあたふたしたりして。 でも本当に全部無くしたら幸せなんだろうか?
この作品が感動的なのは物語の起承転結そのものではなくて、ジョエルとクレメンタインの美しくも惨めな思い出ピースなんだと思う。 ちっともさえない男ジョエルと顔立ちは綺麗だけれど体格のいいパンクねーちゃんクレメンタインの絵ズラはちっとも美しいわけでもないし、何でこの2人が恋に落ちたのかも理解し難いんだけど、2人の恋愛初期における思い出の数々は夢見るように美しい。 自分の中にも忘れてしまいそうなキラキラしたうれしはずかしな思い出があってそれも同時に掘り起こしてしまうから切ないのかな。それとも今隣りにいる男の子とのこれからを思って「一緒に記憶の中を走ってくれたりしてくれるんだろうか?この人は」なんて思って切なくなるのかどうなのか?
記憶除去のラクーナ社の面々によるサイドストーリーは蛇足というか突っ込みどころ満載で作品全体のバランスをかき乱してるけれど、これくらいの未完成度というかズッコケ度がある方が変なひっかかりのある妙な作品として心には残ったりするもんだ。
ジム・キャリーは『マン・オン・ザ・ムーン』を観てから彼の持ってる"哀しみ"感が凄く好きになった。彼得意のオーバーアクションはまっったく出てこない静かで素も感じさせる演技に感嘆! ケイト・ウィンスレットは初めて観たのだけれども「タイタニック」とか古典作品にほんとに出てたのかっていうのが不思議なくらいクレメンタイン役がはまってて、はまりすぎてて美人女優のイメージが見事にふっとんだ。 脇も面白い役者が沢山出演。トッド・ソロンズ『ハピネス』のジェーン・アダムスが何故かノー・クレジットで出演してた。
ラストに流れるBECKの曲"EVERYBODY'S GOTTA LEARN SOMETIMES"がとても良い曲。
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