ふへ〜 - 2004年05月26日(水) いや〜、忙しい。 新婚だというのにコンサート・シーズン真っ只中で 身動きがとれぬ。 でも帰る時間は確保! マイハニーとの時間はとらなくては。 だから会社での仕事を異様な密度とスピードでこなす毎日。 それでも先週だったか 終電を逃す時間まで仕事が終わらず 実家に泊まるハメになった。 (ウチは横浜だけど実家は都内23区にあるので) そんなワケでなかなか日記が更新できなくてスミマセン。。。 がんばろう! ... 食わず嫌い - 2004年05月20日(木) 昨日の毎日新聞の夕刊にポリーニの記事がでており 彼が今年夏のルツェルン音楽祭(スイス)で マスタークラス(公開レッスンのこと)を開く、という記事が載っていた。 あのおよそ人とのコミュニケーションがニガテそうな彼が 若者にレッスンをする、ということにも驚きだが その動機は 「今のクラシック音楽界はおかしい。昔の音楽ばかりがとりあげられ 現代の音楽に光があたらないのはなぜか? 私は若者にもっと開かれた精神をもって音楽に対してもらいたいのだ。」 (↑私が補足的要約をしています。) ということらしい。 この日記で私は折にふれ、 同じ主旨をくりかえし主張しているが、 これはホントだ。 少しずつ少しずつ状況なマシになっているとはいえ、 劇的な変化はない。 20世紀以降に書かれたクラシック音楽=現代音楽(とナゼか総称される) がメロディーを主体と書かれた音楽でないことがほとんどで 曲が覚えられなかったり、 不協和音が多いことがあって 耳にナカナカなじまないことは確かだが 私に言わせれば、 ・何度も聴く。 ・超一流とよばれる演奏家の演奏で聴く ということを重ねれば、 魅力的な作品は素晴らしく ダメな作品はもういいや、 という風に 要するにポップスだろうがクラシックだろうがジャズだろうが 日頃、好きな音楽を聴いている感覚と同じになる。 しかし現実は 音楽大学の同級生でも 音楽業界の人間でも 「え〜、現代音楽なんてあんなの音楽じゃないよ。」 という保守的人間がほとんど。 私も昔はそうだった。 でも色々聴いていくうちに私は変わった。 ファンの方は良く知っているように ポリーニはシェーンベルクの音楽をしょっちゅうプログラムにとりあげ シュトックハウゼンを弾き、 そう、2年前にはあの「ポリーニ・プロジェクト」のような 16世紀から20世紀の500年にわたる音楽たちを一挙にとりあげる大企画を催した。 そしてやはり「ブーレーズ・フェスティバル」という近代・現代の音楽を 一挙にとりあげた作曲家・指揮者のピエール・ブーレーズ。 ブーレーズとポリーニこそは 超一流のスター演奏家の中で 「現代の音楽・今の音楽」を推進しようとした「十字軍」だった。 心を開き、精神をひらく。 食わず嫌いはやめる。 そうしたら自分の知らなかった魅力的な世界がたくさんある。 音楽には良い音楽と悪い音楽しかない、 というのは本当だと思う。 ... 東京の湿気 - 2004年05月19日(水) うー、蒸し暑ぅ〜。 マイハニーは北海道の人間だから こんな蒸し方は初体験。 さぞやこたえるだろう。 私だって毎年この季節は苦痛だ… …ってまだ5月じゃん。 どーなってんだ? その点、北海道はいい。 いつも空気がカラッとさわやか。 初めてヨーロッパに行った時、 「あ、北海道みたいだな。」 と思った。 こういう季節、タイヘンなのは マイハニーや私だけでなく演奏家たちもだ。 この湿度で楽器が鳴らない、鳴らない。 弦楽器は特にタイヘン。 響かないからいつもより力いるし、 その分力んで、音楽の自然な流れをつくるのに苦労するし。 ピアノもそう。 歌手だけはいいかな。 歌手は乾燥してるとノドが痛むから 湿ってた方がいい。 こういう点、ヨーロッパや北海道はいいんだよな。 空気が乾いてるから音楽も自然に響く。 無理がない。 前にも書いたけど札幌のKitaraホールで聴いたオーケストラの音は 格別だった。 まあ、オーケストラ=西洋音楽の楽器は やっぱり西洋の空気の中で作られ、 その土地で一番良き響きが得られるように作られたのは当然で 日本のような東洋のはずれで一番いい結果が得られるワケはない。 と言ってしまうと悲しいケド。 やっぱり三味線や尺八や琵琶の方が日本の風土には合ってるんだよな。 ... タイ・フェス - 2004年05月14日(金) 今週は大変。。。 新婚早々、今日はまだオフィスでお仕事… 今日は帰れないこと確実。。。 今日中に片付けなきゃいけない仕事、 まだ終了地点が見えない。。。 ふ〜。 世の中、もっと忙しい人なんか山ほどいる、 なんてわかってはいても しんどいねぇ〜。 今、一息中。 そういえば先日、マイハニーとまたまたお買い物で 渋谷に行った。 マイハニーは渋谷も初めてなので 東急ハンズで買い物をした後 公園通りを歩き、 「そーら、あれがNHK。NHKホール。渋谷公会堂。 そしてあっちが代々木オリンピック公園さ〜。」 などとすっかりおのぼりさん。 すると、しまった!! 代々木公園では「タイ・フェスティバル」をやっていて タイの食べ物やら民芸品やら とにかくうじゃうじゃ屋台やブースがあって 若者(←ホント若い人ばっかだった。)で歩く場所もないほど。 ここへ来る方も行った方、結構いるんじゃないですか? で、アジア好きなマイハニーは脱兎のごとくそこへ飛び込んで行った。 私はアジア苦手なんだ… マイハニーは嬉々としてあちこち漁る。 そして奥地へと踏み込み、どんどん深みへはまる… しかし色とりどりの果物や、食べ物は本当に豊富で 見ごたえありますね。 マイハニーにススメられてドリアンも初めて食べた。 (しかしあれそんな「果物の王様」なんですか?納得いかず。) で、どうでもいいんだけど 商品の札、誤字だらけ。 誰か校正してやれよ、って感じ。 「ジュース」が「シュース」だったり… 忘れちゃったけど、とにかく至るところマチガイだらけ。 そんな中、マイハニーがある果物の前で絶句していた。 そう、ここまで書いたらわかりますよね。 この話の流れ… そう、期待は裏切りませんよ。 思いっきり 「マ●コ (大)」 と書かれていました。 (もちろん果物のことですよ。) やっぱこの(大)がなんとも決めてでしょう… (>_<) ... ポリーニのこと、再び - 2004年05月11日(火) 先日のポリーニのコンサートの余韻がまだ冷めぬ。 話によると、昨日のオール・ショパン・リサイタルも とてつもなく素晴らしかったそうだ。 聴いた人間が 「あまりの音の、音楽の素晴らしさが眩しくて、目がくらむほどだった。」 と恍惚と電話で話してくれた。 いや、確かに素晴らしかった。 疑いなく、掛け値なし、現代最高のピアノだ。 その一方で、BBSにいつも色んなことを書いてくれるサマンサのダーリンが (彼らは北海道からわざわざポリーニを聴きに上京した!) 「こんなに美しくて良いのだろうか?自分はポリーニが本当に好きなのだろうか?」 と悩んでいたという。 これも面白い話だ。 しかしこう思うのもありえるかもしれない。 それほどポリーニのピアノ演奏は美しいのだ。 本当に凄絶なくらい(?)美しい。 私が聴いた日でいえば、 私もベートーヴェンの「第7ソナタ」があんなに美しい曲だったか? ホントにこんな曲だったか?美しすぎるんじゃないのか? とかなりビックリした。 でもそれはポリーニが悪いんじゃない。 今までのベートーヴェンが得意な一流ピアニストといえば 良くも悪くも、演奏の肌触りがゴツゴツしていて 悪戦苦闘しつつ勝利をつかむ音楽、(「運命交響曲」のように) 覇気満々で天衣無縫、汗水とばして血ヘドを吐く、 音の美しさを犠牲にしても精神の深さを尊ぶ、 みたいなベートーヴェン演奏が多かった。 私も含め、多くの音楽家、音楽ファンはそんな根強いイメージを持っている。 特にあの「第7ソナタ」、音大に行っていた人間はまず一回は勉強しているはずだ。 何をかくそう、私にとっても音大の受験曲だった。 私はハッキリ覚えているが、 あの曲はまさに汗水とばして、大興奮しながら弾くような音楽だった。 …でも、こないだのポリーニを聴くと この音楽にはいかに大胆で繊細な、 万華鏡のようにめくらめく移り変わるハーモニー、 こんなにもリズムの多彩な発展があったか! 楽譜にはちゃんとそれが見出せるハズなのに 私は何を見ていたのか、 と愕然とし、感動した。 超一級の天才というのは 音楽家に限らず、 私たちの思っても見ないところから 想像を絶するような「何か」を引き出してくる、という最高の実例。 それにしても私が知る限り、 ポリーニの出現以前にも 彼の後の若い世代にも ポリーニに似ているピアニストはまったくいない。 アルゲリッチやアシュケナージやブレンデルのようなタイプのピアニストは 探せば少しはいるが、 ポリーニはまったくオンリーワン・タイプだ。 音楽家よりもむしろ、 同国のイタリアは、あの彫刻家のミケランジェロが最も近いのではあるまいか。 ポリーニの音、音楽はそれほど彫塑的、建築的だ。 (彼のお父さんは建築家だそうだ) ... ポリーニとチャーハン - 2004年05月07日(金) 私のコンサート通いでも最高の楽しみ! 昨日、現代最高のピアニスト、マウリツィオ・ポリーニのリサイタルに行ってきました!! 一昨年の「ポリーニ・プロジェクト in 東京」にも行ったし、 彼のコンサートは1986年以来、毎回必ず行っている。 今回はマイハニーも連れて♪ (彼女はサントリーホール・デビュー。) やっぱよかった。 ってかポリーニは絶好調。 ってか絶好調を超えて、余裕しゃくしゃくという感じ。 いつにもまして天才の創る音楽に感動した。 彼の音楽のスタイルは昔から全然変わらない。 研ぎ澄まされた感覚がホールいっぱいに広がり、 白日夢のような光の中に例えようもなく明晰な音が響く。 ベートーヴェンの初期のソナタがあんなに夢のように響くなぞ 想像もしてなかった。 んでマイハニーも感動しているようで 彼女に聞いてみた。 「どうだった?すごいだろー!」 「うん。なんか私さ、中華の達人がチャーハン作るトコを連想しちゃったよ。」 「え?」 そのコメントに大いに戸惑ったが 成る程、マイハニーが言うには ポリーニの音が、ひとつひとつクッキリときらめいていて、 これがまるで達人がチャーハンを炒める時、 米の一粒一粒に火が通って、カラッとあがり ベトッとした食感がない最高のチャーハンのようだと言うのだ。 ふ〜〜む。なるほど。 そういえば、私の親父がかつてポリーニを初めて聴いた時のコメントを思い出した。 「『芸能人は歯が命』ってのを思い出したよ。歯の一本一本がキラキラ輝いて、汚い歯なんか一本もなくてさ、歯並びのいい様が全部見えるって感じ。」 みんなユニークなこと言うよな。 異口同音に。 でもそれだけポリーニの音楽の個性、 他に比べるもののない凄さが誰にでもビンビンに感じられるってことだ。 ...
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