空想世界。
ふとした時に、ふと思うってこと。

2001年08月25日(土) 惑星。

久しぶりに目を覚ました僕は、空腹にかられたので
食べ物を求めて居間へと向かった。

扉を開けると、そこには食卓を囲んでいるみんなの姿があった。
「あら、待ってたのよ。」
と言われた。言われたが、もはや食事がすんで食後のデザートに
ケーキをむさぼっている最中だった。待ってないじゃん、などとは言うまいと
心に誓った。むしろやつらは俺が来た分だけ取り分が減ったので
舌打ちしたり、しなかったりしていた。それはもともと自分の分だ、
なんて言葉はやつらの本能には通用しないようだ。

「どれにする?好きなの選んでいいよ。」
妹がいつになくまじめに話しかけてきたのでかなり驚いたが、
選ぼうにもすでに一つしか残っていなかった。やはり妹はアレだ。
そして自分もなんだかどうでもよくなってきた。とはいえケーキなので
仕方なくそのケーキを食べようとした。しかし、その最後に一つさえ容赦なく
食べようとしている妹の殺気を肌に感じ、うかつに動けなかった。
いや、それどころか家族全員が殺る気になっていた。
つられて僕も虚ろになった。

地球は水の惑星だ。水はあらゆる生物の命でもある。
そんな水には形というものがない。水は縛られることがない。
水は川の流れになり、海となって波を作り、雲や雨、雪となり
ぶつかり合っても、色がついてもすぐに溶け合って
状況に応じてさまざまなものにその姿を変え、生きている。

人は形がある。人という容器の中に入っている。
その容器はさまざまな形、色、大きさをしている。
だからぶつかり合うことも、壊れたりすることもある。
でもその人は成長することができる、考えることができる。
そこが素晴らしいところだとも、難しいところだとも思う。

ふと気がつくとケーキは跡形もなく、家族の姿もなかった。
憎い、奴らに天誅を、と思ったり思わなかったりしてみた。

僕は空腹のまま、また眠りについた。


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