エンディミオンの覚醒

いやあ,とうとう読み終わりました。大部の"ハイペリオン"シリーズも「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」「エンディミオン」と続いて「エンディミオンの覚醒」でついに完結。

オムニバス形式であたかもSF小説展示場の様相を呈していたハイペリオン二部作に対して,エンディミオン二部作はアイネイアーとパクスの対決をじっくりと描いています。「覚醒」では逃げるロール・エンディミオンと追うパクスという構図で,このSF史上に残るダメ主人公のロールが逃げ回ります。"教える者"として覚醒したアイネイアーの意図とは? アイネイアーの秘密,パクスの秘密,"コア"の秘密,様々な謎が解けていくプロセスは圧巻ですが,長すぎてなんだか謎がどんなんだったか忘れてしまったものもたくさんありますな。ハイペリオンで解決済みの謎を無理やりひっくり返している部分があるのでよけいに混乱するし。

とはいえ,これだけ長くて面白い物語はそうそう読めるものではありません。ハードカバーで全四巻,文庫本で全八巻。まったく飽きることの無いエンターテインメントでありました。
2002年12月28日(土)

ゲーム業界のふしぎ

がっぷ獅子丸先生復活。「悪趣味ゲーム紀行」などで毒を吐きまくった,がっぷ獅子丸先生による新作です。学習マンガの形式になっていて,妙に健全な絵が笑えます。

少年と少女がゲーム業界のふしぎを聞き,それを獅子丸先生(なぜか海賊フックモード)が答えていくという,まさに学習マンガの王道ですね。とはいえ内容は相変わらずの毒吐きまくりですが。ワンパターンといえばワンパターンなんだけど,ゲーム業界のてんぱっちゃった話はとにかく笑えますなー。
2002年12月20日(金)

メバエ

もう飽きた? 岡田斗志夫と山本弘をホストに毎回濃すぎるゲストを招いての鼎談集です。いつも変な人が登場していますが,今回はフィギュアで有名な海洋堂の専務の話がかなりー笑えます。

チョコエッグで何百万個というフィギュアを日本中に氾濫させた張本人いわく「日本人はフィギュアが嫌いで絶対に買わない」。うーむ。その心は。
2002年12月15日(日)

まるごとわかるアメリカンプロレス アメリカンプロレス スーパースター完全ガイド

話には聞いていたんだよなあ。WWFつーアメリカのプロレス団体については。ただアメリカプロレスはあまりに作りがすぎてウザイ(悪役レスラーが手を組んでベビーフェイスに助けを乞いながら,隙を見て凶器攻撃..みたいな)という印象だったのだけど,ある眠れない日にふとTVを見たらテレビ東京でやっていたWWFの中継をみて評価が一変。確かに作りは徹底している(100%作りであることを隠していない)んだけど,レスラーの能力や試合内容そのものは新日本の試合といっても十分通用するハイレベルなものでした。そこでさっそく本屋にいってこの二冊を買ってきました。

両方ともWWE(野生動物保護団体WWFとの訴訟に負けて改名)のトップレスラー(WWEではレスラーといわず"スーパースター"と呼ぶ)と,その代表的な試合を紹介していて,特にうれしいのが何人かのレスラーのインタビューが掲載されていることですね。ごき二冊を読むと,WWEの"作られた"ストーリーも理解できるし,スーパースター同士の関係もよく分かります。「ハムナプトラ2」に出演して映画スターになってしまったロック様は最近戦線を離脱しているらしい。うーむ。ちょいと昔の試合が見たくてDVDまで買ってしまった私でした。
2002年12月10日(火)

シンプリー・パーム

PDAブームを作り上げた超小型マシンPalmを世に送り出したPalm Computingの苦闘を描いたノンフィクション。いやあ面白かった。

PalmのコンセプトはCEOであるジェフ・ホーキンスが作り上げたものだけど,これが素晴らしいね。技術と使いやすさとコストのバランスを取りながら「使える」プロダクトに仕上げるバランス感覚がすごいと思いました。この本にもちらっと出てくるGeneral Magic社の仕事をしていた身としては,なんであのときこれに気づかなかったかなーと。初めてPalm(そのときはPilotという名前だった)を見たときには「ああ,これだ」と頭の中にあったPDAに対するいろんなバラバラな思いがピタリとかみ合うような感覚がしたものです。

しかしコンセプトで食えるわけも無く,Palmは身売りしたり,スピンアウトを画策したり,MSのCEマシンと戦ったり,波乱万丈の歴史を送りながら,会社は無くならずちゃんと製品をリリースしつづけている。これもえらい。まあとにかくPDAの歴史を知る上で最高の一冊であると同時に,1つのジャンルを作り上げた歴史的製品を追うエンターテインメントとしても一級ですね。
2002年12月02日(月)

ま2の本日記 / ま2