怪文書II

前作も面白かったんだよね,これ。「怪文書」の続編です。作者の六角弘さんは,週刊誌の記者として取材中に出会った差出人不明・真偽不明の"怪文書"を収集して,それを一般に公開しているという変わった人物です。

しかしこの本を読むと,世の中で怪文書の出回らないジャンルはないですなあ。政治,銀行,大手企業,宗教法人,芸能界,はてはロータリークラブなんてのもある。インターネットの発達が怪文書を登場させやすくしているのかとも思ったけど,やはり正統派?怪文書はちゃんと紙に印刷されているらしい。ときには数百万部という単位でばら撒かれるそうだから,それだけで数千万円のコストがかかる。うーむ。女子アナを巡る怪文書も載ってます,これって木佐彩子のこと?
2002年10月16日(水)

クリプトノミコン (2) (3)

読んでも読んでも終わらない「クリプトノミコン」の二巻と三巻を読了。往復の電車内だけで読むのは大変な厚さ。「ハイペリオン」みたいな長大なシリーズというわけではなく,やたら長い一冊の本が,日本では毎月一冊ペースの四分冊で発売されたのであった。

テーマは暗号。いやそうなんだけどさ,この小説ってこれだけ長いくせに(長いから?)ディテールがものすごいんですよ。第二次世界大戦時の暗号解読の冒険談と,その子孫が現代で繰り広げるまた別の暗号をめぐる話が並行して描かれるのだけど,ディテールがすごい。無駄にすごい。主人公のひとりが,ジャンクフードをいかに最高の状態で食べるかについて延々と思考をめぐらせたり,PCから漏れる電波を傍受してそのディスプレイに表示されている内容を読み出してしまうテクニック(これは暗号ともからむちゃんとした話だけど)を使って同僚のノートPCをのぞいたら,そこに表示されていたエロ話をまた延々と綴ったり,オレはもう筒井康隆の「寝る方法」を全四巻で読まされている気分でしたね。最初はとまどうけど,だんだんヒステリックな笑いが出そうになってくるような迫力があります。

傑作だと思うけど読む人を選ぶ?
四巻目も楽しみであります。
2002年10月10日(木)

ま2の本日記 / ま2