世界は密室でできている

舞城王太郎の新作(なぜか袋とじ)「世界は密室でできている」読了。うがー面白いぜ。今回の主人公は奈津川一族ではなく,中学二年生の少年とその友人。この友人こそが番場潤二郎,別名ルンババ12なのであった。

舞城王太郎作品では,不可能興味たっぷりな謎が次々と提示されるのだが,伏線も捜査もほとんどないまま,即座に名探偵が謎解きをしてしまう。これは「世界は密室でできている」でも同じ。この人ミステリーを書いている意識がないのかも。気持ちいいぐらいの福井弁のビート(?)と,主人公たちの軽やかな行動力を楽しむ青春小説ですな。殺人事件はファンタジーとしての扱い。
2002年05月28日(火)

池袋ウエストゲートパーク2 少年計数器

石田衣良の傑作「池袋ウエストゲートパーク」の続編。相変わらずのメンツが登場して,池袋の街を駆けずり回りますです。キングも健在。

ワカゾーが主人公で,スピード感あふれる青春小説ってことで,つい「世界は密室でできている」と比べてしまうのだけど,疾走感は「密室」が上,人物造型は本作が上でしょう。とくに表題作「少年計数器」に出てくるLD(学習障害)で身の回りのもの全てを数え上げないと気が済まない(のでいつも計数器を持っている)少年とそのエピソードが抜群です。主人公のマコトは,性格的には甘くて,あまり残酷な結末には至らない話が多いのも読んでいて気持ちがいいです。
2002年05月27日(月)

空のオルゴール

中島らもの「空のオルゴール」読了。中島らもは天才と思うが,これはいまいち。パリの奇術師たちを付けねらう謎の一味が出てきて,こいつらと奇術師たちの戦いがメインストーリーです。

ロベール・ウーダン(昔の大奇術師)を調べるためにパリにいった大学生がこのごたごたに巻き込まれて,格闘あり,奇術あり,ロベール・ウーダンが奇術で暴動を抑えたエピソードありで,これを中嶋らもが書くんだからつまらないはずはないのだけど,なんかいまいちなんだよなあ。最初の奇術師が殺されて,唐突に敵の正体がわかるのも不自然だし,この敵たちも小説的リアリティが無いしなー。わざとそういうの狙ったのだろうか。
2002年05月25日(土)

銀河英雄伝説外伝

懐かしや「銀河英雄伝説外伝」読了。銀英伝を読むのは久しぶり,これは短編を集めて一冊にまとめたもの。本屋で見た感じでは読んでない気がしたので買ってきた。いやー面白いっす。

幼年学校を卒業したばかりの十代の若きラインハルトとキルヒアイスが,権力の階段を上り始めるまでのエピソードを集めたもので,これが燃えずにいられましょうか。皇帝の寵姫たるアンネローゼの弟という立場のため,宮中の反アンネローゼ派から目の敵にされるラインハルト,アンネローゼのためにラインハルトの楯となって戦うキルヒアイス。陰謀,戦争,勝利,いやーこれぞ銀英伝ですなあ。また読み返したくなってしまった。
2002年05月20日(月)

映画欠席裁判

「映画秘宝」の対談で有名(か?)なガース柳下とウェイン町田の対談集。あらゆる映画をけなしまくっていて,豪笑えます。「グリーンマイル」のネズミは金城武より演技力があるそうです。

この二人の話が面白いのは,映画の知識もそうなんだけど,俳優のくだらない芸能ゴシップねたをよく知っていること。ジェームス・ウッズはMITの特待生かなんかの天才だったが,女とやりたくて映画界に入ったとか,わけのわからないことがたくさん出てきます。
2002年05月11日(土)

ま2の本日記 / ま2