無題ドキュメント
新宿にある、GUCCI本店・・・
そこは今まで私が生きてきた空間とは、全く異質の場所でした。
店員:「こんにちは」
何?いらっしゃいませでは無くて、こんにちはとは・・・さすがはブランド、
媚びていないと言う訳か・・・それとも、「普通」を演出か?
いや、こんな格好
(捨てたはずの服を着て、無精髭全開)
の私を見て
「こんな奴は客じゃない!!
いらっしゃいませなんて言えるか!!」
とでも、思われたのか???
くそ、高飛車なのか?などと思ったりしましたが、
どの客にも言っている様子だったので、一安心。
でも、明らかに、私は浮いています。
新宿のGUCCI本店と言えば、やはりお金のありそうな人が来るのですね。
みんなお金持っていそうです。
それに引き換え・・私は、私は・・・・・・
それでも、私は立派な客です。
財布を買う気満々です。
意を決して、店員に尋ねました。
「こんな財布が欲しいのですが・・・」
色々見ましたが、結局、欲しい財布は見つかりませんでした。
失望感を持ったまま、店を出た私は、呆然としました。
「どうしよう・・・」
どうすることもできないまま、街をふらふらしていました。
とりあえず、デパートに入って、財布売り場をうろうろしましたが、
やはり気に入るものは見つかりませんでした。
もはやここまで・・・・
そう思ったとき、一つの看板が目に入りました。それが
LOUIS VUITTON
なのです。
正確に言うと、かわいい女の子を見つけたら、
LOUIS VUITTONの店員だった、と言うのが
正確かも知れません・・・・
とりあえず、私はLOUIS VUITTONに入ることにしました。
LOUIS VUITTONの店内で、まず驚いたのが
綺麗な女性がたくさんいること!!
ここは何なのだ??桃源郷くわぁ!!!!
では無くて、人の多さでした。
こんな人がいる中で、財布を探し回るのも気が引ける。
なぜなら、私は捨てた服を再び来ている男!!
店内を徘徊するのは、
あまりにも危険すぎる!!!
ここは、早めに勝負を決めないと。
そこで、店の入り口付近に立っている、案内係と思われる男性に
財布が欲しいことを告げると、一人の女性店員を呼びました。
「かわいい!!」
第一印象がこれです。
今思うと、このときすでに私は負けていました。
以下、店員と私の会話
店員 「どんな財布をお探しですか?」
私 「特に決めていないんですが・・・」
店員 「では、こちらに来てください。」
・・・かわいい女性にこちらですと案内される。
思わず、お店を間違えているかと思ったよ、私は!!
(などという冗談は置いといて)
しばらく、店員と私の会話が続きます。あーでもない、こーでもない、
と言うたびに、場所を換わって、違う商品を見る。
常に女性店員に案内される・・・
すでに、負けているよ、負けているよ、俺!!!
色々見ていて、結構気に入った財布を2点見つけました。
しかし、さすがと言うべきか、結構高いんです。
こんな高い財布を買うのか・・・
と迷っているところ、女性店員(かわいい)がとどめの一言
「お客様にはこちらが似合うと思いますよ。
ん、やっぱり、こちらのほうが良いと思いますよ」
私 「これください!!」
女性店員の
「ん」という頷きにやられました。
売るためのテクニックとは分かっている、分かっているけど・・・
反射的に買うって言ってしまいましたよ。
でも、気に入った財布だから、満足していますけどね。
それにしても、買うときに、私は現金をワサワサ出したのですよ。
ところが横の人は、すっと金色に輝くカードを出しているではありませんか!!
よくよく見てみると、現金払いは、私だけのようです。
しまった、世界が違いすぎた!!!
あらゆる意味で、私は場違いな人間だったような気がします。
こんな不況の世の中で、ブランド物が売れているって、聞いたことがあります。
でも、こんな理由でブランド物を買ってしまった奴って、
そんなにはいないだろうなぁ、と考えると、ちょっとブルーになったりして。