とれとれ日記
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2003年12月28日(日) 釣納め。

ちと早いが、今日が今年の釣納め。
病院勤務なんで、明日から年越しまでお仕事なんです…
で、湖北、知内漁港に行ってまいりました!予想では子バスがうじゃうじゃ!…のはずでしたが、いない!否、いることはいるんだが、少ない!少なすぎるぞ!やっぱ駆除の影響か?

気を取り直し、知内お約束のメタルジグをぶち込む…。いきなりヒット!!
しかし、かかったのはヘラブナ…。まぁ、よしとしよう。しかしその後、フィネスでやろうが何しようが反応なし…。場所を変えて浜分漁港に。そこでワームでじゃこバスを4匹…。寒すぎる釣果だ…。これでは年を越せない。

悪魔がささやく…
「餌ならイレグイ…」
良心が引き止める…
「駄目よ…くじけちゃ…」

………。
「あぁ!俺は釣れればいいんだよ!釣れれば!」

<じゃんけん…>
生餌を買いに行く役目を決めるとき。
「最初はグー。じゃんけんホイ!」
…私の負けでした。
私  「ここは三回勝負で…」
団長「見苦しい!」
私  「まあ、まあ…さあ行くぞ!!じゃんけん
    ホイ!」
…また負けました。三度目も負け。
でも、買いに行ったのは団長。

そう、金を出すほうがえらいのです
(−_−)


で、餌を購入。しかしこれが凄い効き目!わかっていたが、やっぱ凄い。
しかも売り子の人が餌の生餌をサービスしてくれて、通常の5倍以上は入っている。コンビニ袋にぎっしりと詰まった生きエビたち!

団長「チャミングできる…」
私 「撒き餌か…」

早速、撒き餌を始めると、そこら辺からバスが沸いてくる!やはりバスはいるのだ。ルアーにすれているだけである。

団長「凄い!イレグイだ!」
私 「うほほーい!!」

こうして3時間ほどの間に、どれほど釣れたのか覚えてられんほどの子バスが釣れていった。大きいものでも30cmどまりだが、エビをわしづかみにしてほり投げると、子バスが突進する姿は見ていて飽きない。

チャミング…。これからも癖になりそうな予感がする。







2003年12月14日(日) 朽木惨敗…

 ようやく引越しが終わり、私は息抜きに午後から管釣りのトラウトをフライで狙いに行った。同行はチームの団長とヒロポン。
 しかし、私は最悪の気分であった。引越し中に車の鍵とコンタクトレンズを紛失!かなりブルー…。そんな私に追い討ちをかけるのが、偏光グラスまでが行方不明となり、今日の釣りはサイトフィッシングが難しいということであった。私は近距離でのサイトオンリーで釣るので偏光グラスがなければ釣果の50%ぐらいはダウンするであろう…。
 車の道中はひたすら愚痴不満をわめき散らし、昼の2時に到着。さっそく始めるが…釣れん!久々であるのと、偏光グラスがないためにマスのバイトが見えない。一応マーカーをつけてまいるが、こんなもんにあたりがくるときには、マスはすでにフライを離している事が多いので役に立たん。じりじりと時間は過ぎていき、残時間は1時間。漁獲量は20匹…。そのとき、最期のチャンスが訪れた!池に水流を作り出す水車の前ががら空きだった。すかさず入り込むと、目の前は黒々とマスの大群がひしめいている!
 ワンヒットワンキャッチ!!連続でわらわらとマスが釣りあがる。まさにとれとれモード!
「これこそ俺が求めていたものだよ!」
 すでに興奮状態になった私はサルのように釣り続け、終了時間間でそこで釣り続けた。結果は最終的に46匹。サイズは40前後止まりといまいちであったが、休日の午後からではこんなもんかもしれんと納得するしかない。
 次回こそは、一日200匹を目指してみようかと思う。ちなみに団長とヒロポンは20〜30匹程度でしかなく、かなり不満であったらしい。どうも最近、メンバーがそろうと釣果が振るわないが…誰が疫病神なんだろうか?


2003年12月05日(金) 短編小説 理想の死

本日は趣を変え、短編小説風に理想の死について書いてみよう。

 ハワイ・コナヘッド沖。1隻のフィッシング・クルーザーに、一人の男が水平線を見つめている。鍛え上げられた肉体に精悍な瞳は、歴戦の釣り師を思わせる。
 静かに船が動き出す。そして緩やかに速度を上げ、一定の速度に入るとそのままクルージングへと移行した。船にはトローリングロッドがただ一本立てられてあり、そこから伸びるラインの先には、男の期待を背負ったトローリングルアーが激しく水面を踊り続ける。右へ左へ、ときにダイブし、水上に飛び上がる…。そう、この付近に潜む悪魔の魚を誘い出すために。
 男はルアーを見つめながらも、これまでに歩んだ人生の道程を回想していた。何かに駆り立てられた十代の日々、二度目の夢に苦闘した日々の二十代。そして今…。37年の人生の中でもっとも円熟の齢に達したはずだった。夢を実現し、これからの人生の航路を考えるそのとき、運命は残酷な告知を行なってくれた。
 癌。その告知を受けた男は、奇妙に冷静な自分を意識した。思わず苦笑したのを覚えている。やはりな、といった感じだった。病状を説明する医師の話なんか覚えていない。余命三ヶ月、延命は期待できないとの言葉だけを憶えている。翌日、会社に退職届を送付し、電話のコードを引っこ抜いた。「好きなようにやらせてもらおう、最後のわがままを。幸い、身よりもないことだ」
 わずかな財産をまとめると、昔からの夢を実現させるためハワイへと飛んだ。そして今ここにいる。
 海の上で揺られていると、今、自分が癌であること忘れてしまう。抜けるような青い空、さえぎるものがない海面には水平線。ふと、このまま元の世界に戻れるような錯覚すら覚えるが、煙草を吸えば現実を思い出す。美味くない。鉄に似た味が肺から湧き上がる。
「不味いな…」
それでも男は煙草をやめない。最後は煙草をくわえて迎えたいとすら思っている。
 男が2本目の煙草に火を付けようとしたそのとき、海面を暴れるルアーの後ろで数回、水柱が立ち上がる。その水柱は徐々にルアーに接近し、ついにルアーを弾き飛ばす。
「きやがった!」
男はファイティング・チェアーに飛び乗ると、ロッドを握り締める。人生の最後の相手と決めた、悪魔の魚が今まさに喰らい付こうとしている。息が荒くなるのは肺にすくむ癌のせいだけではない。釣り師の性だ。呼吸は荒くなり、鼓動は高ぶる。そしてやつが姿を現す!
ブルーマーリン!!
世界中の釣り師が追い求める至高のターゲット。体長4mに達し、重さは500kgを超えるファイター。その口は剣のように伸び、ときに人を串刺しにし、船を破壊する。そいつが今、男の前に姿を現した。
「でかい…こいつがマーリンか…」
ルアーを追うマーリンはその頭だけで想像を絶する。ソードにたとえられるその嘴はゆうに1m近い。全長は4mを超えるだろうか?そしてその悪魔の剣がルアーを弾き飛ばし、落ちたところを悪魔の口がくわえ込む!
「かかった!」
そう口に出した瞬間、竿が絞り込まれ、リールは音を立てて糸を吐き出す。完全にルアーをマーリンがくわえ込んだそのとき、全身を使い、渾身のフッキングを食らわす。
「フックオン!!」
その瞬間、怒涛の勢いでマーリンが走り出す。リールに巻かれた糸は見る見るうちに減っていく。そして止まる。すかさず糸を巻き上げる。ジャンプ&テールウォーク。全身でマーリンに耐える。走られては耐え、ポンピングで糸を巻き上げる。
「辛い、こんなにも辛いのか…。これこそがマーリンを求める釣り師たちの心を捉えて離さない魅力なのか…」
 すでに一時間は過ぎ、体力は限界に近いていく。病に蝕まれた体が悲鳴を上げる寸前、転機が訪れた。走り出したマーリンが急に方向を変え、船に突進してきた!急ぎリールを巻き上げる。糸ふけはバラシを誘発する。そしてマーリンが船体に近づいたそのとき、強烈なジャンプを喰らわせた。限界にまで曲がった竿が悲鳴を上げ、ついにへし折れる。
「………!」
 瞬時の出来事がスロー再生のごとく目に映る。しかし男の行動は早かった。糸を掴み、己の腕力でマーリンに立ち向かう。もがくマーリン!しかしそのとき、マーリンも限界に近づいていた。それでも糸は男の手に食い込み、グローブの下の皮膚は裂けた。男は残る命を燃やし、マーリンを引き寄せる。激しい攻防。そして船体に引きずり寄せられたマーリンは、船体の間際で暴れ狂い、激しく抵抗する。鈍い音が数回響き、船体が嫌な音を立ててきしむ。しかしマーリンの必死のあがきもついに途絶え、ギャフを打ち込まれるだけとなる。
「……これで終わりだ…」
男は手にしたギャフを構え、最後の一撃を振り下ろそうとしたそのとき、不運が襲う。激しい咳。もはや体力は限界を超えていた。そしてその隙が、マーリンにとって最大のチャンスであった。マーリンは最後の一撃を放つ!その悪魔の剣を男の胸へと突きたてた。
 鈍い音を立て、悪魔の剣が男の胸に突き刺さる。
「ゴボッ…」
男の口から赤い泡が漏れ出す。意識が遠のく。しかし、男は最後の一撃を振り絞る。ゴギャッ!!
 マーリンの急所に突き立てられたギャフから鮮血がほとばしる。そしてマーリンの体色に変化が起こる。死の間際に輝くとされる、マーリンのコバルトブルーの燦然とした命の輝き。そしてマーリンの瞳から生命の輝きが消えた。
「長かった…しかし満足だ…」偉大な敵手の最期を見た男は、ギャフを離し、胸を貫いたマーリンの剣から身を引き離す。どす黒い赤が流れ落ちる。急所は外れたが、致命的な出血には変わりない。血に染まったシャツのポケットから煙草を取り出し、男の最期の一服が始まる。男の目には紫煙が映っていた。味はしない。体の感覚もない。船の中に海水が浸入していることに気がついた。どうやらファイト中にマーリンによって亀裂が入ったようだ。
「やってくれるぜ…引き分けか」
 静かに目を閉じると徐々に体が海水に濡れてゆく。
 そして船は静かに沈み、男を乗せて深く静かな海底を目指し姿を消した。

                               完。


チャンコノフ |MAILHomePage

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