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2005年06月27日(月) 蝉衣...プログラム

6月なのに
蝉が鳴いている.

ここ数年の
異常気象.

気候の気まぐれで
暑い日が続く.


蝉も
騙されたのか
せかされたのか

どんなキモチでいるのだろう...


暗い地中から
少しはやめに
眩しい世界へ.

遺伝子に組み込まれた
プログラムを実行して
鳴いている.

鳴き続ける.

短い命を
削りながら...
まだ
自分の出番じゃないのに
鳴いている.

鳴き続ける.


「鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」

今年は蝉も身を焦がしているに違いない.


夏の
本番までにいなくならなければ...
と願う.

ひとつの命が消えても
その子孫が受け継いで...

ぼくのエゴだろうが...

そう願ってしまう.


プログラムに左右された
蝉の泪なのか

ただ梅雨だからなのか...

抜け殻が
やけに
透けていて湿っぽいな,と思った.


☆ 蝉衣(せみごろも) 夏向きに薄く透けるように織った布で作った着物の意.
            蝉の羽にたとえていう.


2005年06月25日(土) 霊府...鱗粉が微かについていた

cup


いつもの出勤時間に
会社をでた.

暑い...

熱いといってもいいくらいに

暑い...


都内
会社から近いところにある
お気に入りのカフェ.

珈琲へのこだわりは
師のところと同じように
素晴らしいところ.

少しだけ電車に乗り
移動.
あとは徒歩...


暑い...

カフェに着いても
アイスコ−ヒ−は飲まない.

こだわりなのかもしれないが
あまり好きでもない.


歩いていて
ふと,思った.

やけに
この街は多い.
さっきから幾度となくみかける.

まるで
案内をしているかのように

現われては消え
消えては現われる.

アゲハ

キアゲハ

そして,アオスジアゲハ.


どことなく
ひと昔前とか
古きよき時代を思わせる
街並に
なぜか...
似合っている.

時代まで
トビコエテキタカノヨウニ

似合っている.


アゲハが
ふと...いなくなる.

鱗粉越しに
カフェの看板が
みえてきた.


入口の扉を開ける.
よく冷えた空気が
襲うように流れてくる.

再び舞いはじめたアゲハ.

その冷たい流れに乗った途端...

消えた.


空気の流れが落ち着いたころ
シズル感たっぷりの
湯気をゆっくり上昇させて
珈琲ができあがった.

この一杯から
今日がはじまった.


カップの端に
鱗粉が微かについていた.


☆ 霊府(れいふ) たましいの宿るところ,心.


2005年06月23日(木) 煙滅...地球にはあるんだよ

会社の窓からみえる
保育園の2階のテラス.

そこにあるのは
子供たちの遊び場.

グリーンに塗られたコンクリート敷きの.


ここには
土があるんだよ

ここには
芝生だってあるんだよ

草原も
川も
海も...

地球にはあるんだよ.


そう...
つぶやきかけて
煙とともにはきだしてしまう.


言葉にならない言葉は
煙とともに
風に流され消えていく.

鉄の柵越しに
外を眺める子供.

まるで
飼われているみたいで
悲しくなる.

ガラムの甘い香りだけが
ほんの少しだけ
救いだった.

夏休みは
どこかへ連れて行ってもらいなよ...

今度は
煙とともにゆっくりと吐き出す.

気のせいだろうか
鉄柵のむこうの子供と
目が合った.


☆ 煙滅(えんめつ) 煙のようにあとかたもなく消えてなくなること.



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