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■ 汚い競馬場
虐待について書くのを少し避けてました。 HPを立ち上げてからフラッシュバックがひどくなったので、 書ける時に書けばいいや・・と思うようにしていました。 今日は少し症状が軽いので、1つは書こうと思います。
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6才の時でした。 日曜日、朝ご飯を食べ終わってから 父が急に、大阪に行こうと言い出しました。 父の妹のところです。 友達と遊ぶ約束をしていたので、嫌だと言いましたが 何故か無理矢理連れていこうとするのです。 母に助け舟を求めましたが、母も『行け』と言うのです。
確かに、どこにも遊びに連れていってくれない両親に 「遊園地に行きたい」「海に行きたい」などとねだっていました。 だけど、前日に「友達と遊ぶ約束をしている」ことを伝えてたし 大阪に行くなんて、全然聞いていなかったのです。
父に逆らう事は、たちまち暴力のターゲットになる事を意味します。 ターゲットの順位は何故かいつも、私、母の順番で、 弟は頬をはたかれた事もありません。 暴力を振った翌々日くらいには、気持ち悪いくらいすり寄ってきますが それも私にとっては、一種の虐待でした。 とにかく父の機嫌が良い悪いにかかわらず、私は父を嫌っていました。 6才にして、父を最低の人間と見切っていたのです。 しかし、子どもらしいフリ、暴力を振われた事をすぐに忘れたフリ、 を身に付けていた私は、当然素直に従いました。 大阪に向かったのです。
母は留守番で、父と弟と私の3人で行きました。 歓迎してくれるはずの大阪のおばさんは いかにも私達の訪問で目が覚めたようなボンバ−ヘッドで迎えてくれました。 (子どもなりにも、「おかしい・・・」と気付いていました。 おばさんは、私達が今日来る事を知らなかったのではないだろうか・・?) 案の定、2時間もかけて大阪まで行ったのに、 1時間そこそこで父は『もう帰る』と言い出しました。 (目的はここではない・・・今からどこに行くの?)
いつもは買ってもらえない、コーヒー味のガムを買ってもらい さっき乗った電車で逆の方向へ帰らなければいけないはずでした。 私は切符を父に渡さず自分で持ち、懸命に帰り道を頭の中で復習していました。 2度程、置き去りにされた経験があるからです。 途中までは合っていました。 ところが、父が途中で乗り換えようとするのです。 勘がするどい私は、「絶対に乗り換えたくない」と言い張りました。 嫌な予感がしたのです。
強引に引っ張っていこうとする父。 入り口近くの手すりを掴み、とどまろうとする私。 10秒程そうしていたでしょうか。 『言う事聞かんかー』と言って、公衆の面前で突然殴られました。 電車は広いですから、私の体は吹っ飛びました。 家の中ではすぐにタンスやTVにぶつかってしまうのですが。 それでも私は電車の手すりにしがみつき抵抗しました。 乗り換えたあとで、置き去りにされると、 絶対に家に帰れないと思ってたからです。 更に怒鳴り声をあげ、殴り、髪をひっぱり引きずり出そうとする父。 必死で抵抗する私・・・・。
たくさんの大人がいました。 私より少し大きい子を連れた家族もいました。 内心、そのおじさんが「あんな小さな子をかわいそうに」と 助けてくれる事を祈っていました。 目で訴えてもいました。 でも誰も助けてくれませんでした。 声もかけてくれませんでした。 みんな冷たいと思いました。 大人は信用出来ないとも思いました。 結局髪を引きずられたまま、電車を乗り換えてしまいました。
着いたのは、園田の競馬場でした。 今の阪神競馬場のような綺麗なところではありません。 汚れた服で寝転び、酒をあおっている人を避けながら ゴミダメの中を歩き回りました。 ある場所で弟と2人待つように言われ、 『その代わりにアイスを買ってやる』と父は言いました。 当時150円もした「BOP」というアイスだったと思います。 弟は幼かったからか、すごく喜んで食べていましたが、私は断りました。 そんなもので機嫌を直せると思っている父が無性に腹立たしかったからです。 こんな所に立っているのも嫌でした。 父のような人間がうじゃうじゃといる、汚い競馬場にいるのは苦痛でした。
レースが終わるとみんなわざと、馬券をちぎり空に向かって投げていました。 帰ってきた父もそうやっていました。 「こいつらクズだ」と思いました。 これは父の口癖なのですが、「お前がクズだ」と思いました。
帰り道、ずっと黙っている私に父はこう言いました。 『お母さんには黙っとけよ』 やはり、母は知らなかったのです。 たぶん、今思うに、 母が父に私達を遊びに連れて行かせようとした結果だったのだと思います。 来る前に、父が母から小遣いをもらってるのを私は見ていました。 その小遣いは何レース分かの馬券代に消えたのでしょう。 家に帰ると、神戸デパートに行った事になっていました。 行った事もないデパートの屋上の、メリーゴーランドの話をさせられました。 駅で食べたうどんが、ハンバーグにすり変わってもいました。 母は疑いもしませんでした。 きっと、私の嘘が上手だったのでしょう。 父も満足そうでした。
次は腹が痛いと言って、絶対に父と出かけるまいと誓った私でした。
2001年02月17日(土)
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