詩寄。『カンガイ』...lassie

 

 

時間感覚 - 2001年05月30日(水)

ついさっきまでの
安心させる空間に甘えて
条件反射で君に近づく


違う顔して『変わってないよ』って言わないで
同じ姿でもそうは思えないの

なんて我儘だって解ってるけど
そのくらい許して


ついさっきまでと同じ匂いが
涙を蒸発させるから
遠くに見える君に近づく


近づいたつもりになって
「さっきまで」と呟き初めてから
1400時間過ぎていた


...

臨終 - 2001年05月29日(火)

去年買ったTシャツの上から
君の鼓動を体内に響かせてるよ

哀しい言い訳

相殺された未来に
最後のmessage

二度とない可能性に
はじめてのサヨナラを言った


...

残存 - 2001年05月28日(月)

今日の風の冷たさに気付かなかったのは
君の体温を直接感じて
その唇や指先に
今でも同じ優しさが残っていたから
私は落ち着いてるのか戸惑ってるのか
口も目も閉じたまま
君の首筋に心を預けた

とても とても 大切な人





...

相違 - 2001年05月27日(日)

受話器から
私が君の名前を呼ぶと
君は応える

その声がもつ波長は変わってなくて
一瞬私を安心させた


君に会う

私がよく知っているはずの姿は
記憶と時間を混乱させる


そこに見える君は確かに君だけれど!


君の赤いシャツが語りかける

時は常に一方向に向かっている



...

楽観主義者達 - 2001年05月26日(土)

あなたは冷たい顔をして
あたしに優しい言葉をかける


いつだって不自然なくらい
誤魔化して
逃げる
二人の
時々見せる苦笑だけが本当


あなたはうつむいたまま
あたしに自作のシナリオをぶつける


何が一番いいかなんて
分かるはずないから
正当化して
夢を見てる
希望という現実逃避


...

複雑化 - 2001年05月21日(月)

あなたの手の中で転がされてる私は嬉しいのと悲しいのと苦しいのと寂しいのが無数に交差を繰り返すばかり。
何度も行き交う感情は次第に複雑に絡み合うばかりで自分ではほどけないところまできつつある。

あなたの言葉には多くのミステリーを含んでいてあたしは手掛かりさえも掴めない素人らしい。
結末を知ることができない私とキーを握るあなたは今何処にいるのだろう?



...

催眠 - 2001年05月18日(金)

何が正しいかなんて知らないけどそれでももう一度愛してるよって言ってもらいたくて、
現実と幻想を行ったり来たりなかなか止められない日々。

あなたもあたしも確かに変わったけれど365日前と鼓動は同じで過去も夢も判らなくなる。

1日に258回もキスしたあの頃の空気のその感触が今もどこかに残っているから。





...

秘密 - 2001年05月17日(木)

何故此処に居るのかと常に疑問に思って居るなどとあなたにわ恥ずかしくて云へませんがあなたが居なくなったといふ事実だけで生活の半分ほどを削り取られたやうな不甲斐なさを感じてしまふのです

全てのものごとにわ意味があるといふ考え方わ少し違ふように思ひますが私の左手には今も変わり無く青色の月の石があるのです





...

遺伝 - 2001年05月16日(水)

私の中には

私のとは違うbandの染色体が

380万分の1の確率で決定し

存在し始めた

3p14は私2q31はあなた?

進行するMeiosis
  今も半減しているかしら


...

希望 - 2001年05月15日(火)

あなたの隣で、
あなたと同じ速度で、
移動してるあたしを想像する
夜の電話は
ちょっとのゼイタク。


...

基礎生理学 - 2001年05月14日(月)

あなたが最後に私を抱いた日から
20日以上過ぎたということは
あなたに抱かれた細胞は
すでに私は持っていないということです

私を抱いた
あなたの細胞も
もうあなたの中には無いのでしょう

あなたの肌の細胞に
触れることを知らない
私の表皮細胞

それでも
感覚は
蘇り

神経系なんて
嘘でしょうと
言ってしまう

あなたがその時まで触れてきた私の肌の表皮細胞はきっときっときっときっと個々に独立して存在してそれぞれ色々な何かを受容し感覚神経にも自律神経にも大脳にもじゃまされずに私の血液を勢いよく流していたのだとそう信じようとしてもやはりそれを支配しているのは私の頭の中で真実ばかりを享受しようとしているのを認めてしまう自分のシステムの虚しさばかりが残っている

あの日あなたからの刺激を知った神経は
あの日と違う細胞に
あの日の記憶を与え
今日も私を悩ませている




...

悪夢 - 2001年05月13日(日)

あたしは別の人と居て
それはあなたがよく知る者で
望まれない関係を
あり得ない関係を
そこで作り出そうとしていた

あなたは少し離れた場所で
冷静に一部始終見つめながら
声をかけてきた
動き続ける電車の中

あたしは立ち上がって微笑う『まだ彼が好きなの』
一緒にに居た者は困った顔をしたまま
あたしを離そうとせず
あなたは薄笑いしたまま
それを見ていた




...

存在理由 - 2001年05月11日(金)

形ばかりの相思相愛より
本当の自分で
好きでいられることを誇りに思うよ

日々喧噪に取り囲まれて
君みたいな人もいなけりゃ
時計の針も役に立たなくなってしまうね

寂しさも悲しみも
愛おしさが下にあるから
決して悪いことじゃない

もし君に出会ってなければ
そんな感情も
なかったのかもしれないね

どんなに遠く離れているとしてもただ君が居たという事実だけでそれはとてもとても素敵なこと

だからもう
余計な細かい蟠りは捨てて現実を愛そう

虚脱と抗争くり返す日々の中で
君みたいな人もいなけりゃ
涙を流すことさえも忘れてしまっているね

切なさも苦しみも
愛おしさの派生であれば
決して悪い事じゃない

たとえ君が永遠に見えなくなるとしてもただ君を愛したという記憶だけでそれはとても意義があること

だからもう
無駄になることを恐れないで現実を生きよう






...

遺伝子 - 2001年05月10日(木)

この子どもが
現実の子ならば
全てのわだかまりを捨てて
無償の愛を送ろう

この子がその染色体を持つならば
いつまでも“活かし”続けてあげる

時代は変わっても
そこにはいつまでも
残れる方法があり
永久に存在することもできる
素敵なあなたがこの中に在るとしたら

無償の愛を送ろう
私がずっと見ていてあげる


...

非現実 - 2001年05月09日(水)

けばけばしい壁紙に囲まれた四畳半の部屋の中で
私達は抱き合ったまま
噎せ返りそうな強烈なシナモンの刺激的な香りを浴びて
十数時間吐息を聴き合い
やがて眠る
ピンク色の妄想


...

形状 - 2001年05月07日(月)

今度
とか
いつか
とか
ずっと
とか

いつだって明日は見えてなくて


嘘ばっかりの未来に2人踊らされたまま

だましあうことを忘れたあたしとあなたの間には

ストレートすぎて隠された香辛料のその香りや効能に

気付く余裕などあるはずもなく

目に見えるものがすべてと

微塵の疑いもなく信じていたから

いつも

今度
とか
いつか
とか
ずっと
とか

口先だけの純愛


いつだってあたしは自らをだまして生きる

そして朝がいつでも明るく

怖いほど静かな夜でもそれこそが真実と

認めながらまた失敗をくり返す

いつだって同じ事ばかりが

あなたに降りかかるという


あたしが一度目を閉ざしてあげるから


...

変身 - 2001年05月06日(日)

時間の流れを考えることを止めようとしたり、
過去の事実と現在を無理に結びつけようとしたり、
そんな今の自分が嫌になって、
心配症だった頃のあたしが懐かしくて

もっと憶病でいられたら、
きっと誰もこんなには傷つかなかったはず

それでもあたしはあたしとしてしか存在していないから、
せめて笑っていたい
君の前では





...

終演 - 2001年05月05日(土)

体温が
手のひらに感じると
過敏に反応して
呼吸を聞き分けようとする

乾燥した部屋で
胎内を熱くして
横目で見ながら
いつか必ずくる
半永続的な哀に
心からの祝福を
荒く尖った息に
尊いピロローグ
濡れた指先から
走る確かな過去
流れた液体から
今感じられる味

突発的な衝動には静かな結末を
見過ごしたくない本音が潜み
垣間見た話の続きは
知らない振りをした

行動が感情を制御する


...

虚勢 - 2001年05月04日(金)

私はもっと、もっと
強くならないと

あなたから示された負けを
吸収して
それでもこの2本の足と
視力の悪いままの2つの目
抱えて
今までと変わってない振りしながら
微笑していなければいけないと思うから

叶わなくても
失っても
傷つくことを知っていても

止められない衝動

冷ややかな
空間があることを
予想しながら
それなのに
また期待してみたりして
馬鹿みたいに
確かめずにいられない不安を抱えた右手の指が
携帯電話のリダイヤルに掛かる

私はもっと、もっと
強くならないと

きっと物事はどんなときも
良い方向に進んでいると
そうやって自分を
騙していける体力が要るから

あなたに一言
挨拶だけして
見送れるくらいの
強い女に
なれたらいいのに



...

堕落 - 2001年05月03日(木)

目くるめく
変質していく日常は
外から覗けば
何ひとつ違わずに
今日は昨日に
ぴったりと重なっている

3日前も
10日前も
1ヶ月前も
同じことをくり返してきた

あたしは1年前から変わってなどいない

そして今も
普遍のリズムに乗せられた
そう
いつもと同じ
夜を送る



そんな夢



見た



信じた未来は
いつしか完全な夢となり
そこにあるのは
現実だけで


現実




否応なしに
あたしを取り囲み


そしてあたしは
自己を失う


目の前にあったのは

否定できない


認められない
虚偽

引き裂かれた
過去


脳の中心を
細く長い
鋭利な刃先が
貫くイメージ


子供の頃に見た
幻想が再び


何故ここで?


消えることのない記憶



聞こえてくる
知らない声



変形しながら
遠ざかっていく
そのシルエットの狭間で

何故
あたしは存在するのだろうと
返らない答えを問いかけ続ける逃避


死にたいという言葉を
会いたいという言葉で表して
戻らないことを
確信しているのに
それでも


落ちていく自分を
見つめながら


あたしは
夢の呪縛に
身をまかせている


...

病気 - 2001年05月02日(水)

鳴らない電話を見つめて
時の流れが
こんなにも早かったのかと
驚愕して

卑しい願望ばかりが

その虚しさを
無理矢理否定しようとする


無駄ばかり
増えていくだけであることは
すでに
身をもって
知っているのに!

マゾヒスティックに
愚かさを
露呈し
逆ベクトルを進む私は

あなたに病気と思われたくて


...

回想 - 2001年05月01日(火)

青い空を見て
憎いと言い

曇りの空に向かって
暗いのが嫌だと言った

キミの笑顔は
どの空に重ねても
同じだった


...




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