昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2003年05月31日(土) スムースとナタリーワイズ

 台風の影響か、すごく蒸し暑い一日。夜になって雨が降り始めて少し涼しくなった。

 今日は実家へ帰る。置いてある夏物衣料を持って帰ってくるため。
 出かける間際に「スムース」が届いたので、早速行きの電車で読む。

 今回は「中公文庫」の特集。私も古書店行くと、文庫の棚で真っ先にチェックするのが中公文庫の肌色の背表紙なので、興味深々で読んだ。田中小実昌の「イザベラね」、いつか入手できるかしらん。
 日頃本のことばっかり考えている自分をなんだか滑稽に思うことがあるけれど、「スムース」を読むと、私は間違っていない!と強い気持ちになる。年1回の発行になっても、愛読するからずっと続けてほしい。

 ナタリーワイズの新譜を通して2回聴く。すごく良い、めちゃめちゃ良い。今んとこ、今年のナンバーワンかもしれない。
 しかしビッケがこのバンドに参加しなかったら、高野寛の歌声をこれほど聴くことはなかっただろうな。

 寝る前には獅子文六「コーヒーと恋愛」を半分くらいまで読む。

・購入物:Nathalie Wise「Film,silence」

・朝食:サツマイモパン、珈琲
 昼食:焼きそば
 夕食:実家にて、豚シャブ、茄子と鰊の炊き合わせ、アスパラガスのサラダ、エリンギ炒め、麦酒


2003年05月30日(金) 試写会「二重スパイ」

 思いがけず試写会のハガキをもらったので観に行った。「二重スパイ」。韓国映画は初めて観る。
 1980年前半、韓国に偽装亡命した北朝鮮のスパイと、同じ運命を背負った女性スパイ。ふたりは知り合って初めて人間として生きることの意味を知るのだが当然許されるはずもなく、歴史の陰謀に巻き込まれやがて北からも南からも追われることになる。
 こういうストーリーにはなんか既視感がある。それが悪いというわけではないのだが。
 
 Tに、そういう映画の面白さがアンタにわかるのかね、と言われていて、自分でも自信がなかったのだが、結局あんまりわからなかった。ストーリーの輪郭はつくられているんだけど、細部が弱い。ラストシーンにマタイ受難曲が流れたのにはびっくりしたけど。

 上映前に主演のハン・ソッキュさんの舞台挨拶があった。女の子たちがキャーキャーと言ってた。私は知らなかったが人気のある俳優さんらしい。この人は映画の中より実物の方が数倍いい。スパイの役なんぞより、女に悩む「柔らかい肌」の主人公のような役が似合うんじゃないだろうか。まあ、これは私の趣味だけど。

 映画の前にジャーナルスタンダードで、4万くらいのバッグをあやうく買いかけた。本日のところは理性が勝利した。よかったよかった。

・購入物:なし

・朝食:きつねうどん
 昼食:お弁当(水菜と菊菜のゴマ和え、高菜、ちりめん山椒、玄米ごはん)
 夕食:外食(石焼きビビンバ)


2003年05月29日(木) 島村抱月

 広津和郎「同時代の作家たち」を読み終えた。どれもこれも興味深くて一気読みだったのだが、中でもすこぶるおもしろかった島村抱月の章に書いてあったこと。島村抱月が大学の講義で洩らした言葉として、

『デカダンというが、実際われわれは現代ではデカダンになる。例えば人から手紙を貰う。直ぐ返事を書かなければならないと思いながら、その日書かずに明日書こうと思う。明日になる。他の手紙が来る。それにも返事を出そうと思いながら、やはり書けずに、後で纏めて前のと一緒に書こうと思う。しかしそれもまた書けない。そこに更に他の手紙が来る。そうして一年、二年とこういう事が積み重なって行く。そしてそうした些末な事が寄り集まって心の負担になり、生活を重くしていくーこれも一つのディケィの形です』

 とあるのだが、こんなことを言う人って、もう大好き。
 広津和郎は島村抱月について、
『それは一つの孤独な生活者、人生の積極面をでなく、その消極面をまじまじと見まもり、その行手に虚無の洞穴が待っている事を知っていながら、どうしてもそこに向かって足をはこんで行かなければならない運命の人の姿を氏に感じた』
 と書いている。わお!島村抱月のことをもっと知りたい。

 夜はレコードでエリスレジーナを聴く。エリスはブラジルの女性歌手で一番好き。聴いていて元気になるときと、限りなく心が静かになる時があって、今日は静かになる日だった。でもこれは島村抱月のせいかもしれない。

・購入物:なし

・朝食:トースト、ゆで卵、ツナサラダ、珈琲
 昼食:カレーパン、牛乳
 夕食:鯛のお刺身、冷奴、チンゲン菜と玉ねぎのスープ、水菜と菊菜のゴマ和え、玄米ご飯、麦酒


2003年05月28日(水) 夢だったりして

 文庫になった町田康の「屈辱ポンチ」に保坂和志が解説を書いていて、これは稀に見る素晴らしい解説である。町田康の小説について、感じてはいても言葉にできなかったことが全部書いてあるではないか。すごい。
 「屈辱ポンチ」は単行本を持っているけれど、この解説のために文庫本を買ってもいいと思った。結局買わなかったけど。

 そのかわり近所の古本屋さんで前から欲しかった棟方志功の本を見つけたので、向田邦子の「阿修羅のごとく」と共に買う。「阿修羅のごとく」は森田芳光が映画化するとか聞いたけど、昔のNHKのドラマがよかっただけにどうなんだろ。私の好きな佐分利信も、もういないしさ。

 今日はご飯つくりをさぼって近所のトンカツ屋で夕食。
 どうにかこうにかまがりなりにも、阪神がまた勝った。貯金が18だって。どうも信じがたい、借金ならわかるけど。何か不気味だ。

・購入物:棟方志功「板極道」(中公文庫)
     向田邦子「阿修羅のごとく」(新潮文庫)以上古書

・朝食:トースト、珈琲
 昼食:お弁当(レタスサラダ、ごま高菜、ちりめん山椒)
 夕食:外食(アスパラ巻きカツ、しそ巻きカツ、サラダ、味噌汁、ご飯)


2003年05月27日(火) 何を読んでいたのだろ

 午後からWさんと仕事の打ち合わせ。
 Wさんは30歳前後の男子。芥川竜之介をよりいっそうやつれさせたような感じの人でおとなしくて口数が少ない。声も小さいので、この人としゃべっていると部屋中に私の声だけが響き渡っているようで何とも心もとない。
 打ち合わせ終了後、「この前本屋さんで熱心に立ち読みしてはりましたねえ」とぽつりと言われる。げっ、見られていたとはつゆ知らず。「僕、1時間くらい店にいて、帰る時見たらまだ読んではったからびっくりしました。ははは」だってさ。声かけてくれよ。どこで誰に見られているかわからんもんだ。

 今日から広津和郎の「同時代の作家たち」を読み始めたが、すごく面白い。広津桃子も良かったが、父親もこれまた素晴らしい。どうやったらこんな文章が書けるのだろう。

 トリュフォーマニアのTが山田宏一の書いたトリュフォー本を買って帰ってきた。夕食を食べながらトリュフォーについて口角泡飛ばして語るのを、ふんふんと聞く。これから夏にかけてベルイマン、ジャックタチ、トリュフォーと特集上映されるらしいから、くれぐれも見逃すことのないよう計画を立てなければならない。

・購入物:山田宏一「フランソワ・トリュフォー映画読本」(平凡社)
     NHK人間講座テキスト 小栗康平「映画を見る眼」
     CD=登川誠仁「忠孝の歌」

・朝食:コロッケパン、牛乳
 昼食:お弁当(卵焼き、きゃらぶき、大根菜の佃煮)
 夕食:そら豆とひき肉のみそ炒め、冷奴、水菜のサラダ、玄米ご飯

 

 


2003年05月26日(月) 今日の献立

 近所のスーパーで鶏肉を選んでいたら、「なあなあお姉ちゃん、今晩のおかずなに?」と見知らぬおばちゃんが話しかけてきた。
 鶏肉を焼くか煮るかしようと思って、と言うと、おばちゃんはへえ〜とため息まじりに、「私何しよう〜もう何にも考えつかん。アンタ昨日何作った?」と聞くから、大根を炊いたり…、と言いかけたのをさえぎって「大根はアカン!お父さんがキライやねん」と顔を歪める。アンタのダンナの好みまで知らんわい。
 魚でも焼いとくか、とおばちゃんが魚売り場のほうへ行ったすきに逃げ出す。会計のとき、隣のレジに並んだおばちゃんのカゴの中には、餃子のパックとレトルトカレーが入っていた。結局レトルトかよ。

 アホなことに関わっていたせいで帰りが遅くなってしまった。テレビでは東北地方での地震の報道。おそろしい。

・購入物:なし

・朝食:ミートソーススパゲティ、パン、珈琲
 昼食:サツマイモパン、牛乳
 夕食:鶏のしょうゆ煮、小松菜の煮びたし、しょうゆ卵、レタスサラダ、ちりめん山椒、玄米ご飯

 

 


2003年05月25日(日) レーザーディスク

 朝からどんより曇り空。子どもが走り回り泣きわめく、近所のスーパーに行ってうんざりした以外は、終日家で過ごす。

 午前中は落語のビデオを観たり(米朝「百年目」、枝雀「つぼ算」など)、本を読んだりしていて、昼ごはんを食べてからちょこちょこと、思いつきでお惣菜を作る。
 ここのところ毎週のように山ぶきが宅配されるから、あんまり好きではないが仕方なく料理している。今日はきゃらぶきを作ったのだが手間がかかったわりにはおいしくなくて、というか味にいまいちパンチがなく所謂失敗というやつで、憤懣やるかたない。

 いよいよDVDレコーダーを買うことを真剣に検討しはじめ、「暮しの手帖」を読んでいろいろ研究する。
 ところで、我が家にはまだレーザーディスクがある。DVDを買ったらこれともお別れだろうかと名残惜しく、お正月に中古レコード屋の店頭に投げ売りしてあったのを買った「ブルーベルベット」を再生してみる。しかしこの世の中にレーザーディスクで「ブルーベルベット」を観ている人って他にいるんだろうか。

・購入物:なし

・朝、昼食:豚キムチ、大根菜の佃煮、ちりめん山椒、玄米ごはん
 夕食:ヤングコーンとレタスの焼きそば、大根とコンニャクのおでん風、きゃらぶき、麦酒

 


2003年05月24日(土) サクリファイスと落語

 第七藝術劇場で「サクリファイス」を観た。
 主人公が饒舌なおかげで、ストーリーを辿るのにはそんなに苦労しない。でも理解できるかどうかは疑問だし、それが必要なのかどうかも疑問だ。
 冒頭の、子供と木を植えるところから郵便夫との会話、アレキサンドルの独白、画集のページをめくる、震動でガラスが割れてミルクがこぼれる、マリアの家で手を洗うところ、それからクライマックスの火のシーンからラストシーンまでと、全体をつらぬく光と影、これにマタイ受難曲が加わって、これでだけでも観る価値大ありだ。
 「ノスタルジア」や「ストーカー」と比べると完成度としては落ちる気がするのだが。

 
 十三名物ネギ焼きを食べてから、サンケイホールで「桂吉朝独演会」を観た。
 昔、夜中に放送していた「枝雀寄席」で吉朝の「住吉駕篭」を聞いてひっくりかえって笑ってからのファン。でも独演会に行くのは初めて。今日の演目は「まんじゅうこわい」「猫の忠信」「厄払い」。大笑いして堪能した。
 「猫の忠信」は義経千本桜の浄瑠璃がモチーフになっていて、わりと難しい噺だけど浄瑠璃のことに思いを馳せることもできて楽しい。
 しかし落語ってすごい藝だ。つくづく感心する。でも今度はもう少し小さいところで聞きたいなあ。

 今日は芸術をふたつも鑑賞し、非常に充実したが疲れた。ハナレグミもライブをやっていたようで、それも激しく魅力的だったが、仕方ない。本日はこれで許容量オーバーだ。

・購入物:暮しの手帖 第4号
     山川静夫「歌右衛門の疎開」(文春文庫=古書)

・朝、昼食:きつねうどん
 夕食:外食、すじネギ焼き、麦酒


2003年05月23日(金) 「タルコフスキー日記」

 1ヶ月くらい前に図書館から借りた「タルコフスキー日記」は、結局全部は読めずに返却した。いつか古本屋さんで出会えると信じて、悲しいお別れをしたのだ。
 信じていれば願いはかなうものなのかしら。Tがどこぞの古本屋で「タルコフスキー日記」を見つけて帰ってきてくれた。なんという喜び。できれば自分で発見したかったとか、仕事中に何やってんだ、とかまあ思うところはあったけれども口にはせず、お礼の言葉を述べておく。同時に、また「映像のポエジア」も心がけといてね、とよろしくお願いしておいた。

 読み出したら止められないのが、この日記の不思議なところ。
 『われわれの知識は、汗であり排泄物だ。つまり、日々の生活に伴なう作用であって、〈真理〉とはなんの関係もない。
 われわれの意識にできる唯一のことは、虚構の創造だけである。認識は心で、魂で、行われるものである。』

 それからこんなことも書いている。
 『ベルトルッチの「ルナ」を見た。ひどい駄作、低俗だ。』
 あ〜あ言われちゃったよ、ベルトルッチ。こういう厳しい言葉がビシビシでてくるのがこの日記のおもしろいところでもある。

・購入物:アンドレイ・タルコフスキー「タルコフスキー日記」(キネマ旬報社)
     柳宗悦「柳宗悦随筆集」(岩波文庫)
     添田知道「演歌の昭和大正史」(岩波新書)  すべて古書

・朝食:チキンサンド、珈琲
 昼食:とろろかけそば、ヨーグルト
 夕食:豚の生姜焼き、大根サラダ、冷奴、大根菜の佃煮、玄米ご飯 


2003年05月22日(木) 到着

 昨日買ったバーバラモリソンのCDがとても良い。
 ショップのおすすめコメントに「癒される音楽」とかなんとか書いてあって、フンくだらない、と鼻で笑っていたのだが、試聴してみたら気に入ってしまった。なんかねえ、切ないの。

 そら豆の甘皮をむいていると、アマゾンに注文していた本が届いた。小沼丹の「緑色のバス」と獅子文六の「てんやわんや」。
 「緑色のバス」は書店でみかけたことがないのに、アマゾンでなら買えるのはどういう訳だろう。装丁もかっこよくとても美しい書物。大好きな「黒と白の猫」も収録されている。
 獅子文六は小学校の時におばあちゃんの持っていた「娘と私」を読んで以来、とても好きな作家。「てんやわんや」も確かその頃読んだのだが、懐かしくてつい注文してしまった。しかしいまどきの小学生で獅子文六を読んでいるなどという子はいるのだろうか。

・購入物:獅子文六「てんやわんや」(新潮文庫)
     小沼丹「緑色のバス」(構想社)
     基礎化粧品(美容液と洗顔料)  以上届いたもの
     岡崎京子「恋とはどういうものかしら?」(マガジンハウス)

・朝食:トースト、チャイ、ハンバーグ
 昼食:鮭おにぎり、グリーンサラダ、コロッケ
 夕食:焼き魚(鰤)、そら豆と玉ねぎのスープ、菊菜のゴマ和え、冷奴、大根菜とジャコのピリ辛炒め、ご飯
 


2003年05月21日(水) 「グロリアの憂鬱」

 夏に向けて買い物。
 無印良品で、麻の帽子と肌触りのよい半袖のパジャマを買った。夏に向けて、って言っても、今日は夜になってからとても涼しい。とても半袖のパジャマなど着ていられないので、とりあえずしまっておく。
 2日続けて夕食を外で食べる、などということは私の生活信条上あってはならないことなのだが、いろいろ歩き回ってお腹が空きすぎたので仕方なくうどんを食べて帰る。しかし、一食無駄にしたようでどうも納得いかない。自分で作ったほうが絶対美味しいのに。くやしい。

 帰ってから、ビデオで「グロリアの憂鬱」を観た。ペドロ・アルボドバル監督の昔の作品。何の気なしに借りたけど、あんまり知られていない映画なのかな。
 登場人物がみなひと癖ある曲者ぞろいで、ひとつひとつのエピソードは面白いのだが、全体にまとまっていなくて、結局破綻してしまっている。糖尿病のくせに甘いもの好きのおばあちゃんとしっかり者の孫のコンビが絶妙だっただけに惜しいなあ。

 今日いろんな場所でもらってきたチラシで、この週末から一週間だけ「サクリファイス」が上映されることが判明した。全然知らなかった。「サクリファイス」をスクリーンで観られるなんて、こんな素晴らしいことはない。体調管理を心がけなければ!

・購入物:帽子、パジャマ(無印良品)
     CD=BARBARA MORRISON「BARBARA MORRISON」
       BILL EVANS&JIM HALL「UNDERCURRENT」

・朝食:トースト、目玉焼き、ツナサラダ、珈琲
 昼食:焼きおにぎり(かつお)
 夕食:外食(ぶっかけうどん、おにぎり)


2003年05月20日(火) またパンフレットを買う

 仕事先の豊中市内をホテホテと歩いていたら、一転にわかにかき曇り、バリバリバリとすごい音の雷が鳴り、ドシャドシャドシャと大粒の雨が降ってきた。あわてて軒先に入り、折りたたみ傘を広げる。
 なんとか駅にたどり着き、梅田に着いたらウソみたいに晴れている。なんじゃい。

 帰りにまた古本屋に寄って、またまたパンフレットを買ってしまった。今日は「旅芸人の記録」。これも一度みたきりだが、忘れられない映画。パンフレットはスチールの美しさもさることながら、文章が多いのが魅力的だ。

 それから書店に行き広津桃子の「石蕗の花」を買って、喫茶店で読む。これも「ああ、そうかね」で知った本。一気に読むのはもったいないから半分くらいまで読んで、もう目がウルウル、涙をこらえるのに苦労した。 
 この本を今まで読まずに生きてきたなんて、私は大バカヤロウだ。

 Tと待ち合わせして、閉店間際のタワーレコードで「ミュゼ」をもらって、帰り道にある大衆食堂で夕食。ひとりで食事している中年男性が多い。単身赴任かしら、それともヨメに逃げられたのかな、なんて余計なことを思いながら食べた。

・購入物:パンフレット「旅芸人の記録」
     広津桃子「石蕗の花ー網野菊さんと私」(講談社文芸文庫)
     広津和郎「年月のあしおと・上」(講談社文芸文庫)

・朝食:トースト、珈琲
 昼食:タマゴサンド、牛乳
 夕食:外食(鰈の煮付け、高野豆腐の煮物、ご飯、麦酒)
 

 


2003年05月19日(月) パンフレットを買う

 蒸し暑い月曜日、通りすがりの古本屋さんで映画のパンフレットを2冊買った。タルコフスキー「鏡」とアンゲロプロス「シテール島への船出」。両方ともシナリオが採録されている。

 「鏡」はタルコフスキーの中でも好きな映画で、何度となく観ている。最初観たときは何がなんだかまったく理解できず、私やっぱりバカなんだわ、と思った。しかし何度か観ているうちに、なんというか、虜になってしまった。ビデオで観ると体調によっては眠気が襲うけど。
 「シテール島への船出」は未だ観たことがない。アンゲロプロス回顧上映みたいなのがあったら万障繰り合わせても通うのだが。このパンフレットには辻邦生の文章やまだ「詩人」という肩書きの池澤夏樹と柳町光男の対談が収録されている。若い。

 そういえば、今日初めてNHK教育の「フランス語会話」で池澤春菜さんを見た。きれいな人。お父さんにはあんまり似てないような。だからどうってことないけど。

・購入物:柳宗悦「民藝四十年」「柳宗悦民藝紀行」(岩波文庫)
     パンフレット「鏡」「シテール島への船出」  以上すべて古書

・朝食:レーズンとくるみのパン、珈琲
 昼食:百貨店で買った弁当(じゃこご飯、エビ、春巻き、ミートボール、煮物、卵焼きなど。味はまあまあ)
 夕食:小松菜としめじの中華風炒め、豆腐とにらの味噌汁、ゴマ高菜、ご飯
 


2003年05月18日(日) 過去のない男

 ひさしぶりに休日のおでかけ。天気はまあまあだが、ちょっと蒸し暑い。

 心斎橋で用事をすませ、抹茶ソフトクリームを食べてから梅田に向かってテクテクと散歩する。休日のビジネス街を歩くのはけっこう好き。
 途中、服や靴をいろいろ物色。購入にはいたらなかったが、かわいいスニーカーを見つけた。今週中に買おう。

 遅い昼食を食べてからガーデンシネマでアキ・カウリスマキ監督「過去のない男」を観る。
 暴漢に襲われて記憶をなくした男がまわりの人に助けられながら新たな人生を生きていく、というありがちストーリー。でもこの飄々とした味わいは、カウリスマキにしか出せない絶妙なものだ。いくらでも感動的にドラマティックにできるのに、絶対しない死んでもするか、という監督の気持ちが伝わってくるようでたまらなく好き。
 「人生は大げさなものじゃない」って佐藤伸治もうたっているものな。

 楽しい気分のまま、リニューアルした旭屋書店で「ああ、そうかね」で取り上げられていて猛烈に読みたくなった広津和郎など、文庫本を3冊買って帰る。

・購入物:広津和郎「新編 同時代の作家たち」(岩波文庫)
     柳宗悦「手仕事の日本」(岩波文庫)
     杉浦茂「少年西遊記 3」(河出文庫)

・朝食:焼きそば、レタスサラダ
 昼食:外食、すきやき定食(すきやき、うどん、ごはん、漬物)
 夕食:ヨーグルト
 
 


2003年05月17日(土) 緑の光線

 あんまり気のすすまない約束が入っていたのだがキャンセルになって、一日空いた。誰かと会って思ってもいないことを話したり、面白くないことで愛想笑いする、ということから解放されてうれしい。

 家の掃除。先週さぼったのであちこちに埃がたまっている。見ないようにして一週間過ごしてきたけど、もう限界。
 本棚の整理。ちょこちょこ引っこ抜いて読みながら片づけていくので、えらく時間がかかる。ちょっと思い切って何冊か処分する本を抜き出したので、少し隙間が空いた。またすぐ埋まっちゃうだろうけど。
 しかしなあ、本棚の整理ってなんでこんなに楽しいんだろうか。夢中になって寝食を忘れてしまう。

 ビデオで映画を2本みた。エリックロメール「緑の光線」。
 ふりそそぐ日差しの中、テーブルを囲んで何か食べたり飲んだりしながら、どうたらこうたらとしゃべる映画が大好きなので、この「緑の光線」も大好き。美しい映画だった。
 誰かと話しているうち、だんだんずれてくる気持ち。あ、これは違う私の求めていたものじゃない、じゃ私の求めているものって何?、と主人公はずずっと「何か」を探し求める。海辺で知り合った女の子と声をかけてきた男とのうすっぺらい会話に心底うんざりする場面の主人公の表情が、何ともケッサク。

 夜は、眠い目をこすりながら「ザロイヤルテネンバウムス」を見た。
 これは私が想像していた映画とちがったなあ。もっと辛辣なのかと思っていたけど、きっちりした家族愛の感動ものなんだ。少し残念。大好きアンジェリカヒューストンが出ていた。

・購入物:なし

・朝食:コロッケパン、珈琲
 昼食:ポテトサラダ、ミルク珈琲
 夕食:水餃子、葉ゴボウのきんぴら、レタスの韓国風サラダ、麦酒、ご飯
 


2003年05月16日(金) 週末気分

 松山千春の「恋」が頭の中でまわっている。なぜこんな辛気くさい唄がまわるのだ。

 仕事上でちょっとしたトラブル発生。でもこれはこちらのミスではなく私がジタバタしてもしょうがないことなので、責任者であるWさんをがんばれ〜と見守る。あんまり信じてもらえないけど、私は他人の間違いには寛容なのだ。

 なんとか無事に終了したのち、久しぶりに髪を切りに行った。その前に、今日は週末だ週末は本を買わねば、ということで天神橋筋商店街の古本屋をいくつかのぞいて、永井龍男「雑文集夕ごころ」を買う。この前の古本市で吉田健一とはかりにかけて、諦めたもの。
 永井龍男は学生時代に「青梅雨」を読んで以来のファンで、小説だけでなく随筆もおもしろいことを知ってからは、古本屋で見かけたら購入することにしている。

 本も買ったし、髪も切って気分も明るくなり、ルンルンと家に帰ってポチッとテレビをつけたら、名も知らぬ巨人の選手がホームランを打ったところだったのですぐに消す。悪いものを見た。

・購入物:永井龍男「雑文集夕ごころ」(講談社)古書

・朝食:トースト、カレーパン、珈琲
 昼食:お弁当(卵焼き、水菜ゴマ和え、ちりめん山椒)
 夕食:牛肉とそら豆のニンニク炒め、ジャガイモとアスパラガスのサラダ、ご飯


2003年05月15日(木) 映画は映画館で

 ビデオを返却して、また3本借りてくる。
 「緑の光線」「ザ・ロイヤルテネンバウムズ」と「グロリアの憂鬱」。本当は「デカローグ」を借りたかったのだけど、すべてレンタル中だった。残念。

 山田稔「ああ、そうかね」の「映画館」という随筆に『自宅の居間や書斎でビデオでみるなんて、気が知れん』という文章があって、『日中、映画館の暗がりにひとり身をかくし、スクリーンの世界にとけこむ。これぞ映画館族の醍醐味である。』とあるのだが、ホントその通りだ。
 ビデオを観るときは携帯電話の電源を切るのはもちろん、電話線も抜くし、夜なら真っ暗にして観る。でもいい映画であればあるほど、映画館で観たかったなあと心底思う。スクリーンで観てこそ、映画だ。

 内田樹「疲れすぎて眠れぬ夜のために」を読んだ。
 面白くなかったわけじゃないけど、私はこの本を読まなくてもよかったかもしれない。そもそも「疲れすぎて眠れない夜」というのが私にゃないんでしたわ。次回作に期待。

・購入物:なし

・朝食:トースト、珈琲
 昼食:お弁当(ハンバーグ、卵焼き)
 夕食:よこわ刺身、豆腐の野菜あんかけ、水菜のゴマ和え、ご飯


2003年05月14日(水) ビデオ鑑賞

 今日はTが夕食を作った。グリンピースご飯と、鯖と野菜に味噌だれをかけてレモンを添え、ホイルで包んでフライパンで蒸し焼きにしたやつ。美味い!
 これは「向田邦子の手料理」(講談社)のレシピ。向田邦子レシピはなんでも美味しくて、作りやすい。友人にあげてしまったが宇野千代のレシピも簡単で、料理をはじめたばかりの頃重宝した。
 
 ビデオで「デカローグ3」を観る。‘ある殺人に関する物語’と‘ある愛に関する物語’の2話。
 キェシロフスキの映画はセンチメンタルな描写がないところがいい。ある意味残酷なんだけど、事実この世は残酷で理不尽なことだらけだもん。
 しかしこれがテレビで放映されていたとはなあ。レベルが違うわ。

 その後、先日録画しておいた「NHKアーカイブス」の、村上龍がボブディランのことについていろんな人にインタビューしてまわる番組を観たあとで、Tまでがボブディランについてなんか熱く語りだし、だんだんついていけなくなって途中で熟睡してしまった。気づいたら真っ暗な居間で、ひとり寝ていた。ひどい。

・購入物:なし

・朝食:クロワッサン、アイスミルクティ
 昼食:枝豆おにぎり、梅うどん
 夕食:鯖と野菜のホイル焼き、グリンピースご飯、ちりめん山椒、スルメイカ


2003年05月13日(火) 勝手にしてください

 Tが風邪をひいた。喉が痛くて熱もあり、ダルイらしい。仕事も休めずかわいそうだし、またうつされてもイヤなので、早く治ってもらうため風邪薬を買いに行った。
 風邪薬というのは、実にいろんな種類があるものだなあ。どれがいいのかわけがわからない。とりあえず薬剤師さんに無難なものを選んでもらい、イソジンを買った。
 薬など滅多に買わないし、栄養剤やサプリメントなどともまったく無縁の人生を送っているので、棚を眺めているだけで気が遠くなる。
 しかし巷にあふれるドラッグストアの店内放送や店員の呼び込みの声は、何故にああまでうるさいのだろう。まるで騒音のようだ。

 風邪をひいている人をひとり残して、私は友人と飲みに行った。申し訳ないけれど前からの約束だったので仕方ない。
 仕事のことや彼氏とその周辺の話を聞く。聞くことに徹したためかなんか疲れた。
 要するに、仕事は忙しいしプレッシャーもきついけどちゃんと評価されてるし彼氏ともケンかもするし理不尽なとこもあるけどなんだかんだ言っても彼が一番好きなんだよねだから幸せ、ということが言いたかったようだ。
 なんじゃ、それ。家で本読んでたほうがよかった。あほらし。

・購入物:なし

・朝食:ちりめん山椒、山ぶきの佃煮、ご飯
 昼食:お弁当(昨日の夕食とおんなじ)
 夕食:居酒屋にて、麦酒たくさん、サラダ、枝豆、焼き鳥などなど


2003年05月12日(月) お久しぶりに

 帰り道、以前勤めていた会社で共に働いていたKさんに会った。少しだけ立ち話をする。

 Kさんは私とちがって、真面目で几帳面、神経細やかな人。
 私が会社の給湯室で、もらい物のパウンドケーキをザックザックと9等分(部屋の人数が9人だったので)していた時、Kさんが目をまるくして「えっ、定規で測らなくても大丈夫なの?」と言った。そんなことしてたら日が暮れますよ、と言った私へ、「あなた、変わってるわねえ」と感慨にふけられたのだが、変わってるのはどっちなんだか。

 いろいろと人の噂聞いたが、私は他人のことにほとんど興味がないのでどうでもよかった。Kさんが元気そうでそれはなによりだったけど。

 帰ってから昨日サボったぶん、いろいろ料理をこさえる。山ぶき料理はだんだんおいしくなっていくようだ。料理は学習だ。

 京都に行っていたTが三月書房で山田稔の「ああ、そうかね」(京都新聞社)を買ってきてくれた。うれしい!無上の喜び。

・購入物:なし

・朝食:バケット、ホットミルク
 昼食:ねぎとろおにぎり、野菜味噌汁
 夕食:チンゲン菜と豚肉の中華風炒め、キュウリのゴマ酢和え、山ぶきの佃煮、ちりめん山椒、ご飯
 
 


2003年05月11日(日) 映画2本と幽霊おじさん

 家にこもってビデオで映画を2本観た。

 1本目「愛の嵐」。テープの整理をしていたら、昔録画したのものがでてきた。会社のNさんがこの映画が好きで、良かった良かったと言っていたことを思い出して観てみた。
 倒錯した愛ものを好むNさんの好きそうな映画だ。シャーロットランブリングよりも、ゲイのダンサーが踊り狂うシーンが必見だ。

 2本目オリヴェイラ監督「家路」。事故で妻と娘夫婦を失った老俳優の物語。このところ立て続けに観た‘家族が突然亡くなった’映画のなかでは、これが一番好きだ。小粒だけど、重要だと思う。
 劇中劇が素晴らしく、また街のカフェでのエピソード、強盗に襲われるシーンなど、くすっと笑ってしまうところもある。街の風景もステキだ。

 何をする気も起こらないので、夜は近所のお好み焼き屋さんに行った。豚玉と焼きそばを半分づつ食べ、ビールを飲んだ。
 
 その後、コンビニエンスストアにコピーをとりに行ったら、先にとっていたおじさんが「あ、すぐ終わるからちょっと待って」と話しかけてきた。
 コピーをとり終えたおじさんは「ほれほれ見てみ、これワシが昨夜見た幽霊の絵やねん」と、私に一枚の紙を見せた。半分開いたふすまのよこに着物姿で髪の長い、古典的な「幽霊らしきもの」が描いてある。お世辞にも上手いとは言えない。へえ〜怖かったですか、と聞くと「そんなもん怖かったに決まってるがな!これから飲み会でみんなに配るねん」と帰っていった。
 あんなものをもらってどうしろというのだろう。みなさん気の毒に。

・購入物:なし

・朝食:ふかしサツマイモ、珈琲
 昼食:おから、ちりめん山椒、鮭塩焼き、ご飯
 夕食:外食、お好み焼き、焼きそば、麦酒
 

 


2003年05月10日(土) 豆腐を食べにいく

 一日早い母の日を、ってことで母に何が食べたいか聞くと、豆腐料理がいいと言うので、「梅の花」を予約して豆腐懐石を食べに行った。うまく個室がとれて良かった。

 ふたりとも豆腐好きなので、パクパク食べる。最後の黄粉と黒蜜がかかっている豆乳アイスクリームまで、きれいに食べて満足。夕食にもおからの炊いたものを食べて、今日は豆腐の日だった。

 Tが買ってきてくれた柳宗理をまるごと特集した雑誌が楽しい。
 ARUNEに影響されて買った、柳宗理デザインのミルクパンは本当に使いやすい。この雑な私が使っても絶対にシリもれしない。ボウルやフライパン、鍋などひとつひとつ集めていきたいけど、割とお値段も高めなのでなかなか手がでない。この本を読むとさらに欲求が倍増するなあ。
 柳宗理がブックデザインした「民藝」の表紙が見開きでみることも出来る。うっとり。

・購入物:カーサ・ブルータス特別編集「柳宗理」(マガジンハウス)
     広告批評「特集・広告戦争」
     映画芸術403号「特集・笠原和夫と深作欣二」
     里見とん「初舞台・彼岸花」(講談社文芸文庫)

・朝食:レーズンパン、珈琲
 昼食:外食、梅の花膳(豆腐しゅうまい、湯豆腐、生麩田楽、湯葉揚げ、などなど)
 夕食:実家にて、鯖の塩焼き、まぐろの刺身、おからの煮物、豚汁、麦酒
 

 

 


2003年05月09日(金) サイン会とまぼろし

 寒い。涼しいのではなく寒い。マフラーを巻いている人もいた。それもまあどうかと思うけど。

 帰りに書店に寄ったら、島田雅彦がサイン会をしていたのでそっとのぞく。なるほど、作家にしては確かに男前だわ。他が悪すぎるのかな、誰とは言わないけど。
 並んでいる人も少なくて、静かな就職の個人面接みたいなサイン会だった。

 家に帰ってジャガイモの皮をむいていると(私はここ連日ジャガイモの皮をむいている)、宗教の営業電話みたいなのがかかってきた。興味ありませんので、と断ると、「こういうことには関心を持たれたほうがいいですよ〜」などと言うので頭にきた。余計なお世話じゃ。罵詈雑言を浴びせて電話を切る。すっとした。

 夜はフランソワオゾン「まぼろし」を観た。
 パスタをゆでる、トーストにバターをぬる、珈琲をいれる、木を集める、車を運転する、海岸で本を読む、ベッドで本を読む、ヴァージニアウルフを読む、などなどのことがしたくなった。
 先日観た「終わりなし」を彷彿とさせるけど、展開はだいぶ違う。まあ、これもあり、かな。

・購入物:山田稔「影とささやき」(編集工房ノア)
     内田樹「疲れすぎて眠れぬ夜のために」(角川書店)

・朝食:肉じゃが、味噌汁、ご飯
 昼食:クリームパン、チーズパン、牛乳
 夕食:レタスとひき肉のピリ辛炒め、ジャガイモとアスパラガスのサラダ、ご飯


2003年05月08日(木) また買っちゃった

 昨夜から降っていた雨は朝になっても降り続き、私の出かける時にはドドドドと音を立てて降っていた。傘などクソの役にも立たない。なんでこんな雨の中を歩いてんだろ、と思うと何か笑いがこみあげる。

 帰りにビデオを3本借りる。「まぼろし」「家路」「デカローグ」。映画館で見逃したものばかり。
 書店に寄って本も買う。よくもまあ毎日毎日、欲しい本があるもんだ。
 私達は趣味嗜好がほとんど同じなので本やCD、ビデオ代はふたりで半分づつ負担することにしている。だから何とかなっているけれど、これでもし私がひとり暮しで村上龍とか椎名誠とかのファンだったら、もうとっくに破産しているだろう。
 
・購入物:岡崎京子「うたかたの日々」(宝島社)
     澤田隆治「私説コメディアン史」(ちくま文庫)
     桂米朝コレクション6「事件発生」(ちくま文庫)
     宮田章司「江戸売り声百景」(岩波アクティブ新書)
     藤本和子「リチャードブローティガン」(新潮社)

・朝食:トースト、珈琲
 昼食:チーズカレーパン、野菜ジュース
 夕食:肉じゃが、味噌汁(豆腐、えのきだけ)、とろろかけご飯
 


2003年05月07日(水) 「終わりなし」

 シネリーブル梅田にてキェシロフスキ監督「終わりなし」を観た。
 キェシロフスキコレクションで上映される劇場未公開作品は全部観たいと思っていたが、結局1作しか無理だった。

 夫の死を受け入れられず苦しむ妻と、自分の死を受け入れられず現世をさまよう夫の物語。敏腕弁護士だった夫が、生前最後に担当していたスト事件をめぐりながら描かれる。
 妻は夫の影をどうやっても消せないし、また夫はその邪魔をする。一方、スト事件の被告とその家族には虚しい判決が下される。死と死による再生。絶望。
 夫の死をやがて認め力強く前向きに、私がんばって生きていくわ!、などという展開になっていないところがすばらしい。そんな映画は観たくない。ほんわかとした気持ちにはなれません。

 映画のことをつらつら考えながら帰宅。昨日に引き続き、また途中で雨が降ってきてぬれる。とても蒸し暑い。
 Tは飲みに行っているのでラジオを聞きながら、ひとりでビールを飲んで夕食。雨風の音を聞きながら、NHKラジオのニュウスを流しているとなんか台風の夜みたい。

・購入物:「新潮」6月号
     「マノエル・デ・オリヴェイラと現代ポルトガル映画」(E/Mブックス)
     
・朝食:チーズパン、目玉焼きトースト、珈琲
 昼食:冷やしそば
 夕食:(スーパーで買った)いなり寿司、ナスのピリ辛炒め、麦酒


 
 


2003年05月06日(火) 気分はどんより

 仕事でつまらない失敗をしてしまった。
 私はバカだ。うすらぼんやりだ。
 そのせいというわけではないが残業をして、社を出ると外は雨。傘持ってない。店でビニール傘を買い求め、自転車で帰る。
 帰ったら、干してある洗濯物が雨にぬれていた。2時間前はパリッと乾いていたろうに、と思いながらぬれた洗濯物を取り込むのは、虚しく、情けない。

 夜の9時頃から夕食作りにとりかかる。もう外食にしてしまいたいが、家の近所にはファミリーレストランしかなく、私達はあそこがどうも苦手なのだ。明るすぎて、うるさくて、味が濃いから。もう10年は足を踏み入れていない。
 
 連休明け早々、なんだか冴えない一日。ため息をついていたらTが、阪神勝ったよ、と元気づけてくれた。ちなみにTは阪神ファンでもなんでもない。というよりこの人はスポーツ全般に興味がない。本人いわく争いごとを好まない超ハト派なんだって。ほんとかよ。

・購入物:なし

・朝食:塩やきそば
 昼食:お弁当(芋の煮物、ごま高菜、ご飯)
 夕食:焼き魚(鰤)、水菜のゴマ和え、トマトサラダ、ポテトサラダの残り、ご飯


2003年05月05日(月) 連休最終日

 石橋蓮司の隣でジェットコースターに乗っている夢を見た。
 急激に落ちてくところで目覚めた。怖かった、いろんな意味で。

 ものすごく暑い。昼日中に出かけた私も私だが、5月とは思えないこの日差し。最高気温は30度を超えたらしい。暑いはずだよ。

 冷酒を飲む粋なグラスが欲しくてあちこちみてまわったがいいのがなく、かわりにまた古本を買ってしまった。「歌舞伎ナビ」を半額以下で。欲しかったのだが、3500円は高いなあ、と思っていたので大収穫。ブローティガンも入手して、連休の買い物のしめくくりとなった。

 夕方からまたジャガイモの皮をむき、イモの煮っころがしを作った。これがまたおいしいの!自分でいうのもなんだけど、誰も言わないから仕方がない。

 夜は「明暗」の続き。もうすぐ読み終わるけど、前はいったいこの小説の何を読んでいたのだろう、きっと何も読めていなかったに違いない。

・購入物:渡辺保「歌舞伎ナビ」(マガジンハウス)
     リチャードブローティガン「東京モンタナ急行」(晶文社)

・朝食:トースト、ポテトサラダ、ツナサラダ、アイスミルク珈琲
 昼食:冷やししょうゆうどん
 夕食:ニラと豚肉の煮物、芋の煮物、ポテトサラダ、レタスサラダ、麦酒、ご飯


2003年05月04日(日) ビールぐびぐび

 今日もくそ暑い。一日中、掃除や整理、料理と家事に明け暮れる。

 ジャガイモを小さいながらも20個ほど使って、ポテトサラダを作った。ハムで包んで、ビールを飲みながら食べるのが好き。それから豆板醤とおろしにんにくを入れたタレで和えた、サニーレタスのゴマ和えもビールにぴったり。この前はいまいちだったが、本日作ったふきの土佐煮はおいしくて(じっくり煮たので、味がよくしみたのかな)これまたビールがおいしい。
 そんなこんなでビールをたくさん飲んだ。

 昨日録画しておいたETV「仁義なき戦いをつくった男たち」を観た。
 私は映画の中では、群像劇が好きなのだが、「仁義なき戦い」も群像劇として好きな映画のひとつ。ただよう人間くささがたまらなくいい。観たら元気が出る。
 また笠原和夫の綿密な資料収集ぶりを見て舌を巻いた。早速、幻冬舎文庫から出ているシナリオ集を書棚からひっぱりだしてきて読んだ。
 番組内で「浪人街」のサイレント版が少しだけ紹介されていた。やっぱし「浪人街」はかっこいいなあ。

・購入物:なし

・朝・昼食:煮魚弁当、グレープフルーツ
 夕食:きずし、ポテトサラダ、ふきの土佐煮、サニーレタスのゴマ和え、ビール、ご飯、漬物


2003年05月03日(土) 名古屋県の人

 今日は6月下旬の気温だったそうで。どおりで暑いはずです。

 山田稔「北園町九十三番地ー天野忠さんのこと」を読んだ。
 天野忠の詩を、本書で初めて知った。ユーモアたっぷりで、辛辣で、鋭く、静かで、強い。ちらちらとのぞく誇り高さと頑固さ。
 山田稔はそんな天野さんの作品と人柄に惹かれ、家を訪ねて行くようになる。
『すでに私が読んだり、聞いたりしていることを老詩人が表情ゆたかに、ときには身振りをまじえながらくり返すのを黙って聴く、ながめる。好きな作家、好きな映画について論ずるのではなく、ただ「よろしいなあ」と歎ずるがごとくに言うそのときどきの声音と表情を、ちょうど噺家のはなしを聴くように聴く。その楽しみのために私は過去十年、この北園町九十三番地へ足を運んできたのだった。』

 それから夏目漱石の「明暗」を読み始めた。この連休中に漱石を一冊、読みたいと思っていたのだ。漱石はもうどれもこれも好きで、一冊はなかなか選べないのであるが、「明暗」は昔に1回きりしか読んだことがないことに気づいてとりあえず。
 
 実家へ帰る電車でのこと。横に座っていた女性二人連れのうち派手めなほうが、
「私さあ、最近まで名古屋って“名古屋県”やと思っててん、マジで」
と言いだし、もう一人にバカにされていたのだがそのうち話題がキムタクのことになった。“名古屋県”のほうが
「好きな男のナンバー1がキムタクで、ワーストが出川らしいけど、私は絶対キムタクより出川のほうがいいわ、キムタクってなんかあつ苦しくない?」と言って、これまた連れの人にそんな人はアンタだけだと笑われていた。
 “名古屋県”の人よ、私はアナタと同意見。もう会うことはないかもしれぬがアナタのセンスが私は好きよ。

・購入物:なし

・朝食:トースト、珈琲、たんかん
 昼食:鮭塩焼き、漬物、ご飯、グレープフルーツ
 夕食:実家にて。エビのチリソース、春野菜の炒めもの、ざるそば、ビール
 


2003年05月02日(金) 京都にて

 先日の代休を得たので今日から4連休。初日は京都へ行った。

 勧業会館での古本市をめぐる。文庫本を数冊と、ずっと探していた田中小実昌の「猫は夜中に散歩する」を確保して、今日の収穫はこれにて打ち止めかなと思っていると、端のほうのワゴンに吉田健一を発見しかも安いときて、理性を失ってしまった。計10冊購入。
 古本市に行くと、さあ会計しよ、とか、さあ帰ろ、とか思った時におっという本に出会って結局大散財し荷物が重くなる、というパターンが多い。
 
 ベンチで一休みして、京都国立近代美術館で開催中の東松照明の写真展を観る。この期間の展示のテーマは「さくら」。
 桜の木が単独で写っているものよりも、木の下で人間がチークダンスを踊っていたり、大量の大型ゴミといっしょに写っているもののほうが、なんだか生々しくて桜がいっそう美しく感じる。
 曇天の下での桜はおどろおどろしくてなんだかこわいみたい。
 この展示はテーマを変えて一年間開催されるらしく、全部は無理だけど「沖縄まんだら」と「長崎まんだら」は観に来たいと思う。
 常設展であい光の絵も見ることができて満足。

 それから三条通りのお店で、前から目をつけていたのれんを買った。マーチンデニーの音楽が似合いそうな竹ののれん。動くたびにカラカラと音がして、涼しげ。

 ご飯を食べた後「みゅ〜ず」で珈琲を飲んで、帰宅。

・購入物:吉田健一「旅の時間」「文学の楽しみ」(河出書房)「定本落日抄」(小澤書店)
     田中小実昌「猫は夜中に散歩する」(冬樹社)   
     今江祥智「子どもの国からの挨拶」(晶文社)
     戸板康二「女形」(ユニコンカラー双書)
     織田作之助「土曜夫人」(新潮文庫)
     安岡章太郎「小説家の小説家論」(福武文庫)
     吉田秀和「一枚のレコード」(中公文庫)
     石川淳「天馬賦」(中公文庫)       すべて古書
     竹ののれん

・朝、昼食:フランスパン、カレー、珈琲
 夕食:外食、かつくらにて(ロースかつと京野菜巻膳)           


2003年05月01日(木) 駆け込み寺なの?

 快晴。新緑が目にまぶしい。今日から5月だ。

 会社に来た他社の人が、阪神が強いと仕事もうまいこといくし体調もいいなあでもこれは一時の夢のようなもんやろか、と言ってた。阪神ファンは人生の本質をよく見抜いている。

 せっかくの映画の日なのに観たい映画がなく、仕方がないので本屋さんで「一冊の本」をもらってから、タワーレコードでCDを探すも欲しいディスクはすべて在庫なし。その後あちこちで服を物色する。しかし、どれもピンとこず購入するまでは至らなかった。お財布の中身的にはまあよかった。

 お家でホットチャイを飲みながら岩波の「図書」を読んでいると、友人Yより電話。
 次々と舞い込む仕事で多忙を極め、連日の残業で疲れているのに彼氏が優しくしてくれない、ついついイライラして過去の浮気疑惑などをチクチク責め立ててしまい怒りをかってしまったこんな私はどうしたらいいかしら、などという内容。
 彼氏だからといって人に優しくしてもらおうなどと思わないほうがよい、浮気が気になるならもう別れてしまえと非建設的なことを言っておく。 いろんな人がいろんな事を言ってくるけれど、私は瀬戸内寂聴ではないのだから気の利いた応えを期待されても困るのよ。

・購入物:なし

・朝食:カレーうどん
 昼食:ウィンナーのパン、メロンパン、トマトジュース
 夕食:外食、Bランチ(焼き肉とサラダ、ご飯と味噌汁)


フクダ |MAIL

My追加